労働問題に関する用語集 は行

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パートタイマー [ぱーとたいまー]

パートタイマーは,一般的に「正社員」と呼ばれる正規雇用に対して非正規雇用に含まれますが,法律のうえではパートタイマーも正社員と同じ労働者であって,区別はされていません。ただし,正社員より労働時間が短かったり,契約期間が決まっていたりする点で異なる取扱いをされることはあります。アルバイトといわれることもありますが,両者に明確な違いはないといってよいでしょう。

パートタイマーも労働者であることに変わりないので,法律で決められたさまざまな保護を受ける権利があります。たとえば,パートタイマーが仕事中の事故で負傷したような場合には,労災を申請することができます。

また,パートタイマーであっても,合理的理由がないのに契約期間内に解雇されれば,そのような解雇は無効となることがあります。さらに,契約期間が満了した場合であっても,それまで契約を繰り返し更新して長年勤めていたようなケースでは,雇止め(更新拒絶)が実質的には解雇であったと判断され,解雇が無効となる可能性があります。したがって,雇止めに納得できない場合には,弁護士等に相談し,その無効を主張していくことが重要です。

配置転換 [はいちてんかん]

配置転換とは,職種,仕事の内容,勤務場所を同じ企業内で変更する人事異動のことをいいます。「配転(はいてん)」と省略されることもあります。また,勤務場所を変更する配置転換(命令)は,「転勤命令」と呼ばれます。 同じ使用者の下での異動である点で,出向命令や,転籍とは区別されています。 配置転換では,使用者が,労働者の同意なく行い得るかが問題となります。まず,就業規則や労働協約に「使用者が配置転換命令を出すことができる」という条項がある場合,使用者と労働者の間に,職種を限定する旨の合意がある場合を除き,原則として配置転換命令を出すことができます。出向命令や転籍命令と異なり,労務提供の相手方に変更がないためです。 なお,使用者が配置転換命令を出すことができる場合でも,異動の必要性がない場合や,配置転換が不当な目的で行われたものである場合,また,労働者に,通常受けてもやむを得ないと思われる以上の不利益を与えるものである場合には,権利の濫用であるとして配置転換命令が認められない場合もあります。したがって,急な配置転換命令を受け納得できない場合には,弁護士に相談することをおすすめいたします。

派遣期間 [はけんきかん]

派遣期間とは,派遣労働者が派遣先企業に受け入れられ就業する期間をいいます。一般的な労働者派遣の場合,派遣元企業との雇用契約と派遣元・派遣先企業での派遣契約の期間は一致することが多いです。

労働者の派遣には,派遣期間に制限が設けられている業務と制限が設けられていない業務の2種類があります。派遣期間が制限されている理由は,長期の派遣期間を認めてしまうことによって,派遣先の労働者の方の雇用を脅かす可能性を回避するためです。

制限が設けられている業務については,平成11年の労働者派遣法改正により解禁された一般的な業務がこれにあたり,派遣期間は原則1年間(最長3年間)とされています(「自由化業務」と呼ばれています)。

いっぽう,平成11年の法改正以前に派遣が認められていた26の業務については期間の制限がありません(「専門26業務」と呼ばれています)。ソフトウェア開発,通訳,秘書,研究開発等の職種が「専門26業務」と定められています。「専門26業務」については,専門的な技術を必要とすることから,派遣先の労働者の方の雇用を脅かす可能性が低いと認められるため,特に派遣期間は制限されていません。

派遣禁止業務 [はけんきんしぎょうむ]

派遣禁止業務とは,業務の実施の適正を確保するために,労働者派遣業務を行うことが法令で禁止されている業務をいいます(労働者派遣法4条)。

労働者派遣法は,労働者派遣の対象業務につき派遣元企業の自由との立場を採っており,法令で禁止されていない業務を行うことに制限はありません(いわゆる「ネガティブリスト方式」が採られています)。

法令で禁止されている業務として,(1)湾口運送業務,(2)建設業務,(3)警備の業務,(4)政令で禁止されている業務(たとえば医療関係業務)があります。

(1)湾口運送業務および(2)建設業務については,すでにほかの雇用調整制度(港湾労働法規定の制度および下請関係に基づく請負という業務形態)があり,派遣労働を認める必要性がないことから派遣禁止業務とされています。

また,(3)警備の業務および(4)政令で禁止されている業務(たとえば医療関係業務)については,直接に雇用して十分な意思疎通の基に業務を行う必要があり,短期の就労を前提とする派遣労働になじまないことから,派遣禁止業務とされています。

派遣労働者(派遣社員) [はけんろうどうしゃ(はけんしゃいん)]

派遣労働者とは,派遣元企業と雇用契約を結び,派遣先企業の指揮監督の下,就労する労働者のことをいいます。

昭和61年の労働者派遣法の施行以後,派遣労働者の数は増加の一途をたどっていましたが,平成20年のいわゆるリーマンショック以降の世界的な景気後退の影響により,その数はピーク時から大幅に減少しています(平成20年度の約399万人から平成22年度には約271万人に減少)。

雇用契約を結んでいる会社と受け入れ先の会社とが異なるという派遣労働の性質上,派遣労働者として働く際には,以下の3つの点について特に気を付ける必要があります。

まず,1点目として,あらかじめ決められた就業条件通りの働き方であるかという点です。決められた条件と異なる働き方であれば,労働者派遣法違反になりますし,別の会社に派遣されている場合には,いわゆる「二重派遣」となり,職業安定法違反になります。

つぎに,2点目として,教育訓練・福利厚生が十分確保されているかという点です。短期の就労が前提であるとしても,派遣元企業は教育訓練の機会を確保するようにしなければなりません。また,福利厚生についても,派遣元企業は派遣先の労働者と同じ福利厚生を受けられるように努めなければなりません。派遣労働者といえども,派遣先と同様の福利厚生を求めることができるのです。

最後に,3点目として,業務を行っていくうえでの苦情の申立先が確保されているかという点です。派遣労働者という正社員と異なる立場ゆえ,業務について会社に苦情を述べることが憚られることもあるかと思いますが,苦情の受付先については,派遣元,派遣先の双方に定めることが法令上求められています。苦情を申し立てたことによる不利益な取扱いは禁止されていますので,苦情等がある場合には受付先に遠慮なく申し出て下さい。もし不安があれば,弁護士に相談することも有効です。

ハローワーク [はろーわーく]

ハローワークとは,職業紹介業務,雇用保険関連業務,雇用対策関連業務等を行う機関です。正式名称を「公共職業安定所」といいます。

ハローワークは,求職者の就職実現のために,求職者からの職業相談,求職者に対する仕事の紹介,事業者に対する人材の紹介等を行っています。ハローワークでは,求職者の希望,経験,能力等に応じた就職の実現のために,さまざまな支援を受けることができます。

また,ハローワークは,失業認定・雇用保険の給付・不正受給に対する返還処分等,雇用保険(雇用保険制度とは,労働者が失業した場合に,その生活の安定と早期再就職のために,国が失業者に対して給付を行う制度のことをいいます)の運用に関連する事務も行っています。

さらに,企業に対して障害者の雇用を指導したり,子育て中の女性の勤務時間の見直しを指導する等,雇用対策関連業務も行っています。しかし,ハローワークは使用者と労働者間のトラブルを解決する権限は持っていません。したがって,労働問題に悩んでいる場合には,法律の専門家である弁護士に相談する必要があります。

パワーハラスメント(パワハラ) [ぱわーはらすめんと(ぱわはら)]

パワーハラスメントとは,職権などの優位にある権限を背景に,本来の業務を超え,継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い,就労環境を悪化させ,職場内に不必要な緊張感や雇用不安を与えることいいます。「パワハラ」と省略して呼ばれることが多いです。

たとえば,(1)「無能」「給料泥棒」など人格を否定する叱り方をする,(2)ほかの社員の前で,大声で何回も非難する,(3)椅子を蹴飛ばしたり,書類を投げつけるなど,威圧的な態度を示す,(4)実現不可能な業務を指示し,それができないことを理由に叱責する,(5)能力に応じた仕事を与えない,(6)休日,上司の家を掃除させるなど仕事以外の事柄を強要することなどが挙げられます。

パワハラがあった場合,行使者だけでなく,会社も損害賠償責任を負う可能性があります。なぜなら,会社は労働者にとって働きやすい環境を保つように配慮する義務を負っているからです。またパワハラによる自殺について,労災が認められた事例もあります。

なお,パワハラのうち,特に,労働者の意に反する性的な言動により,その労働者の対応によって不利益に扱ったり,就業環境に重大な悪影響を与える行為については,セクシャルハラスメントといいます。

非正規雇用 [ひせいきこよう]

非正規雇用という言葉は,法律上の用語ではありません。正社員に対して,派遣労働者(派遣社員),契約社員,嘱託職員パートタイマーアルバイトなどの雇用形態を総称して,そのように呼んでいます。主な特徴として,正社員より労働時間が短い,雇用期間の定めがある正社員とは異なる人事労務管理がされるといった点が挙げられます。

総務省の労働力調査によれば,非正規労働者は近年増加しており,平成23年には1733万人を超え,全労働者の約35%を占めるまでになっています。

その背景としては,雇用調整のしやすさ,賃金の低さなど,雇用主側にとっての都合の良さが指摘されていますが,その反面,労働者が不安定な立場におかれる点に問題があります。

なお,非正規雇用であっても,労働者としての権利は認められているので,不当な扱いをされれば争っていくことができます。そういった場合には,まず弁護士に相談することが有効です。

日雇い労働 [ひやといろうどう]

日雇い労働とは,契約期間を1日と定めた期限付きの雇用契約で働くことをいい,非正規雇用の形態の一種といえます。

労働基準法は,期限付きの雇用契約の上限については原則3年までと定めていますが,下限については規制をしていないため,このような期限付きの雇用契約も認められることになります。さらに,日雇い労働者のことを「日日雇い入れられる者」と表現しており,30日前の解雇予告を不要としています。

また,日雇い労働に関連するものとして,日雇い労働者を派遣する日雇い派遣がありましたが,平成24年10月1日に労働者派遣法が改正され,原則として禁止となりました。

なお,労働者派遣法では,日雇い労働者を「日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者」と定義しているため,30日以内の雇用契約でも日雇い労働者にあたることになります。

歩合給 [ぶあいきゅう]

歩合給とは,企業において毎月支給される基本給のうち,労働者の製造した物の量・価格や売上の額などに応じて決まる給料のことをいいます。

基本給の定め方は,定額給,歩合給,総合給などがあります。1時間あたり(時給)や1ヵ月あたり(月給)といった形で,提供した労働の量に応じて毎月定額が支給される定額給と異なり,歩合給の場合は,提供した労働の量にかかわらず,その成果に応じて毎月の給料が変動します。

そのため,労働者の責めに帰すべきでない事由によって,著しく給料が低下することを防ぐため,出来高払いには保障給が定められています(労働基準法27条)。

【一般的な賃金体系】

毎月決まって支給される賃金
(月例賃金)
所定内賃金 基本給 定額給
1時間,1日,1ヵ月あたりで決められた定額の給料
(時給,日給,月給)
歩合給
仕事量に応じて決まる給料
総合給
定額給と歩合給とを併合した給料
諸手当 仕事給的手当
役職手当,外勤手当,資格手当など
生活給的手当
扶養手当,住宅手当など
その他の手当
通勤手当など
所定外賃金 時間外手当
休日手当
深夜手当
宿日直手当
特別に支給される賃金 賞与
退職金
付加金 [ふかきん]

付加金とは,労働者が使用者に対して,解雇予告手当,休業手当,時間外労働手当,年次有給休暇中の手当などを請求したにもかかわらず,使用者がそれを支払わない場合,裁判所が,この未払い金のほかに,これと同一の金額を使用者に支払わせるものです。これは裁判所の判断に基づく一種の民事制裁制度です。

たとえば,休業手当を10万円支払わなければならないにもかかわらずまったく払おうとしない使用者がいた場合,裁判所は,その倍額の20万円を支払うよう命じることができます。

ただし,付加金の支払を命じるか否かは,裁判所の裁量で決まるものなので,必ず支払命令が行われるわけではないという点に注意が必要です。また,この請求は違反のあった時から2年以内にしなければならない点にも注意が必要です。このような付加金を請求する際には,まず弁護士に相談することをおすすめします。

服装規定 [ふくそうきてい]

服装規定とは,就業規則において定められた従業員の行為規範(これを「服務規律」といいます)のうち,服装・身だしなみに関する規律のことをいいます。

たとえば,職場での制服や制帽,記章等の着用が義務付けられている場合が典型的で,制服等がない場合でも,「見苦しい服装は禁止する」というように,抽象的に規律されている場合もあります。

このような服装規定は,企業がその企業秩序を維持するために定められています。企業は,企業秩序を維持するために,必要な諸事項を規則で一般的に定め,これに違反する行為があった場合には,その是正を命じたり,場合によっては制裁として懲戒処分を行うことができます。

いっぽうで,どのような服装や格好をするかという点については,労働者の自己表現の一種と考えられ,その人格や自由を保護する必要があります。また,労働者はあくまでも企業および労働契約の目的上必要かつ合理的な範囲でのみ企業秩序に服するのであって,職場の中とはいえども,企業の一般的な支配に服するものではありません。

したがって,服装規定は,その制限が必要かつ合理的な範囲になるよう制限的に解釈されることがあり,服装規定違反を理由とする懲戒処分が無効とされることもあります。

裁判例では,ハイヤーの運転手が口ひげを生やすことが「ひげをそり,頭髪は綺麗に櫛をかける」という服装規定に違反するかどうかが問題となった事件で,「同規定で禁止されたひげは無精ひげや異様・奇異なひげのみをさし,本件のように格別の不快感や反発感を生ぜしめない口ひげはそれに該当しない」と判断された例があります。

また,最近では,性同一性障害を持つ者が別性の服装で就労したことについて,「本件労働者が企業に対し別性の容姿をして就労することを認め,これに伴う配慮をしてほしいと求めることは相応の理由がある」とし,「懲戒解雇に相当するまで重大かつ悪質な企業秩序違反であると認めることはできない」と判断された例もあります。

服務規程 [ふくむきてい]

就業規則には,労働条件の細かな内容が定められていますが,その中でも,労働者の行為規範については「服務規程」として定められていることが多いようです。具体的には,出勤,退勤や職務命令への服従,秘密保持等について定められています。

服務規程に反する行為があると,会社から懲戒処分を受けることがあります。ただし,服務規定は使用者が無条件に定められるものではなく,法令や労働協約に反することはできません。これらに反した服務規程は無効になります。また,無効とまではならなくても,常識の範囲にまで制限的に解釈されることもあります。

無効な服務規程違反を理由とする懲戒処分は違法となりますので,服務規定に違反したことを原因として懲戒処分を受けた場合は,法律の専門家である弁護士に一度相談してみることをおすすめします。

普通解雇 [ふつうかいこ]

普通解雇とは,法律的にいえば,使用者の一方的意思表示によって行う労働契約の解約のことです。普通解雇の対概念としては,懲戒解雇があります。さらに,リストラ人員整理のために行われる整理解雇も,普通解雇とは異なるものとして位置付けられることがあります。

普通解雇は,一方的な労働契約の解消であることから,労働者に与える不利益は大きいものとなります。そこで,さまざまな法律で解雇理由に制限が加えられている(性別や信条を理由とする解雇をしてはいけない等)うえ,一般的規制として,解雇については「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当であること」が要求されています(労働契約法16条)。これらの要件を満たさない場合は,解雇権を濫用したとして,いわゆる不当解雇と判断され,解雇が無効となります。

また,手続面においても規制がされており,労働者から請求を受けた場合には,解雇の理由を記載した書面を交付しなければならないとされています。したがって,解雇された労働者は,そこに記載された解雇理由が正当なものかどうかを争っていくことになります。

このように,解雇にはさまざま規制や手続が定められているため,解雇を言いされた場合でも,安易に同意せず,弁護士に相談することが重要です。

不当解雇 [ふとうかいこ]

不当解雇とは,使用者が労働者を解雇する際に定められている規定や手続を無視して,労働者を一方的に解雇するなど,解雇権の汎用と判断されたこと場合をいいます。また,仮に規定通りであっても,解雇に客観的で合理的な理由がなく,社会通念上の相当性も認められない場合にも,不当解雇となります。

解雇には,大きく分けて3つの種類があります。就業規則等に定めた懲戒事由に該当するとしてなされる懲戒解雇人員整理を目的とした整理解雇,一般的な解雇(普通解雇)です。

たとえば,就業規則に懲戒事由が定められていたとしても,「遅刻を1回すれば解雇」などといった客観的に合理性がない懲戒解雇は,不当解雇となります。また,整理解雇(いわゆるリストラ)についても,労働者に非がない状態で行われる解雇であるため,人員削減の必要性や解雇回避の努力がなされていること,解雇基準や選定に合理性があること,労働者側との協議など手続の妥当性があることなどさまざまな要件が定められています。このような要件を満たさずに整理解雇を行った場合には,不当解雇として無効となる可能性が高いと考えられます。

不当解雇は法律上許されるものではなく,労働者の権利を著しく侵害する行為です。もし,不当解雇が疑われる場合には,安易に同意せず,すぐに法律の専門家である弁護士に相談し,今後の対応を検討することが重要です。

フレキシブルタイム [ふれきしぶるたいむ]

フレキシブルタイムとは,労働者が自ら仕事の開始時間と終了時間を決めることができる制度であるフレックスタイム制度において,必ず勤務しなければならないコアタイム以外の,出勤や退勤が自由な時間帯のことをいいます。

フレックスタイム制を導入するには,就業規則においてその旨を定めておき,さらに,労働者との間でフレックスタイム協定を締結しなければならないとされています。さらに,フレキシブルタイムを導入する場合は,この協定において,開始,終了時刻を定めなければなりません(労働基準法施行規則12条の3)。

たとえば,フレックスタイム協定にコアタイムとフレキシブルタイムについての定めがある場合,労働者は,コアタイムには必ず勤務していなければなりませんが,フレキシブルタイムについては,どのように時間を使ってもよいとされています。なお,コアタイムについての定めを置かず,終日フレキシブルタイムとすることもできます。

フレックスタイム制度 [ふれっくすたいむせいど]

フレックスタイム制度とは,労働者が,自ら仕事の開始時間と終了時間を決めることができる制度のことをいいます。この制度は,昭和62年の労働基準法の改正で認められ,労働者が,自分たちの生活時間と労働時間を調整しながら働けるようにすることを目的としています。

法律では,使用者は,原則として1日8時間,1週間40時間を超えて,労働者に労働をさせることはできません(労働基準法32条)。もし,労働者がその時間を超えて働いた場合には,使用者に対して,時間外労働としていわゆる残業代(割増賃金)を請求することができます。

いっぽう,労働者と使用者との間で,フレキシブルタイムコアタイム等を決めたフレックスタイム協定を締結すれば,法律で決まっている1日,1週間ごとの労働時間の規制を受けることはなくなります。この制度を利用することで,1ヵ月以内の総労働時間の範囲内で,労働者が毎日の仕事を開始する時間と終了する時間を自由に決めて働くことができるようになるのです。

この制度を導入している場合,労働時間が,法律で定めた1日,1週間の労働時間を超えても,1ヵ月以内の総労働時間が法定の枠内であれば,時間外労働とはならず,残業代を請求することはできません。しかし,フレックスタイム制度であるからといって,残業代が発生しないわけではなく,月の所定労働時間を超えた場合などは残業代が発生しますのでので,その点には注意が必要です。

平均賃金 [へいきんちんぎん]

平均賃金とは,平均賃金を計算しなければならない事情が発生した日以前の3ヵ月間に,その労働者に対して支払われた賃金の総額を,その期間の総日数で割った金額のことをいいます(労働基準法12条1項)。

平均賃金を計算しなければならない事情とは,たとえば,解雇予告手当(労働基準法20条)を支給する場合です。

使用者が労働者を解雇する場合,少なくとも30日前に解雇する旨の予告をする必要(解雇予告)がありますが,何らかの事情で30日前の予告が出来ないときには,解雇予告手当(予告手当ともいいます)を支払うことになります。その金額については,解雇までの残り日数と平均賃金を基に算出されることになります。

そのほかに,平均賃金は,休業手当(26条),年次有給休暇の日について支払われる賃金(39条6項),災害補償ないし休業補償等(76条ないし82条),減給の制限額(91条)を算出する際にも利用されます。

変形労働時間制 [へんけいろうどうじかんせい]

変形労働時間制とは,一定の条件のもとで,一定期間内の特定の日または週に法定労働時間を超過することを認める制度です。

変形労働時間制が認められた期間中は,平均して法定労働時間内であることを前提に,業務量に応じた労働時間の配分ができるようなっています。対象となる期間には,(1)1ヵ月単位,(2)1年単位の変形制,(3)1週間単位の非定型的変形制があります。

(1)は,就業規則,労使協定によって導入することができます。(2)は,事業場において過半数の労働者を組織する労働組合がある場合にはその組合,ない場合には過半数の労働者を代表する者(過半数代表者)との労使協定を締結する必要があります。(3)も労使協定の締結が必要とされていますが,対象となる事業場は常時30人未満の小売業,旅館,飲食店等に限定されています。なお,これらの制度の下でも時間外労働が成立する場合があります。

労働時間に関する弾力化の方法は,変形労働時間制のほかにもフレックスタイム制や裁量労働時間制がありますが,フレックスタイム制とは,所定労働時間を定める点で異なるほか,裁量労働制とは,労働時間をみなし計算するのではなく,一定期間の労働時間枠を変更するという点でそれぞれ異なります。

法定外休日 [ほうていがいきゅうじつ]

使用者は,労働者に対し,少なくとも週に1回は休日を与える必要があります(労働基準法35条1項。ただし,4週間を通じて4日以上休日があれば週1回でなくても構いません。)この労働基準法の規定を満たすための休日のことを「法定休日」といいますが,会社の規定などで法定休日よりも多くの休日を定めることも可能であり,そのような形で法定休日より多く定められた休日のことを「法定外休日」といいます。

労働基準法上の割増賃金の対象となる「休日労働」における休日とは「法定休日」のことをいい,「法定外休日」は含まれません。したがって,「法定外休日」に労働しても,労働基準法上の割増賃金の対象とはならない点に注意が必要です(もちろん,労働契約等で割増賃金の対象とすることは可能です)。

たとえば,土日が休日の会社で,土日ともに働いたとしても,どちらかは休日労働になりますが,どちらかは休日労働にならない可能性があります。

法定休日 [ほうていきゅうじつ]

使用者は,労働者に対し,少なくとも週に1回は休日を与える必要があります(労働基準法35条1項。ただし,4週間を通じて4日以上休日があれば週1回でなくても構いません)。この労働基準法の規定を満たすための休日のことを「法定休日」といいます。

法定休日というと,土日祝祭日をイメージする方が多いと思いますが,必ずしも土日祝祭日を休日とする必要はありません。また,週休2日制を採用している会社では,1日は法定休日ですが,もう1日は法定外休日となります。

この「法定休日」に労働させた場合,使用者は労働基準法の定める割増賃金を支払う必要があり,最低でも35%の割増賃金が支払われなければならないこととなります。また,法定休日の深夜に労働させた場合には,休日労働の35%以上の割増賃金に加えて,深夜労働の25%の割増賃金で計算された賃金を支払わなければなりません。

法定労働時間 [ほうていろうどうじかん]

法定労働時間とは,法律上許される最長労働時間のことをいい,1日につき8時間,1週間につき40時間と定められています(労働基準法32条)。法律では,原則としてこれを超える時間の労働を禁止しており,就業規則等により定められた時間(所定労働時間)が法定労働時間を超えている場合には無効となります(同法13条)。

労働者に法定労働時間を超える労働(時間外労働)を行わせるためには,使用者と労働者との間で,「36協定」に代表される特別な労使協定を結ぶ必要があります。さらに,このような協定を結んだ場合でも,時間外労働の対価として,所定の割増率に応じた時間外割増賃金を支払わなければなりません。

なお,この法定労働時間による規制がおよばない例として,宿日直勤務を行う者や,管理監督者などが挙げられます。そのような特殊な業務や地位にある者以外の労働者については,原則としてこの法定労働時間内で労働することが求められています。

法内残業 [ほうないざんぎょう]

法内残業とは,法定労働時間内で残業をすること,すなわち,就業規則等で定められた労働時間は超えるものの,法定労働時間の範囲内において残業をすることをいいます。

労働基準法が定める残業(時間外労働)とは,あくまでも1日8時間を超える労働のことをいいます(労働基準法32条)。同法では,法定労働時間を超える時間外労働についてのみ割増賃金(時間外割増賃金)を支払う必要があると定めています(時間あたり単価の125%以上の割増賃金)。

そのため,労働者側から見た場合,定められた時間を超えた労働さえすれば,残業代としてその分の割増賃金を請求できそうですが,1日8時間を超えない部分の労働については,労働基準法が定める時間外労働にあたらないため,割増賃金を請求することはできません。

たとえば,労働時間を1日7時間と定められている人が,1日10時間働いた場合,計3時間の残業を行ったことになりますが,最初の1時間は法定労働時間8時間の範囲内となるため法内残業にあたり,残りの2時間の残業についてのみ,時間外労働として割増賃金が発生することになります。

もっとも,法内残業であっても本来の所定労働時間を超えて働いていることには変わりなく,当然,通常働いている時と同じ額の賃金は支払われる必要があります。また,就業規則等で,法内残業についても割増賃金を支払う旨の規定がある場合には,割増賃金を請求することができます。

ボーナス [ぼーなす]

ボーナスとは,労働者に対して,給与や各種手当とは別に,特別に支給される金銭のことをいいます。賞与とも呼ばれます。

ボーナスは,法律上,使用者にその支払が当然に義務付けられているわけではありません。就業規則等で支給基準が明記されていてはじめて支払義務が発生します。また,このような場合には,法律上は「賃金」にあたり,原則として通貨で,直接,全額を支払うというルールが適用されることになります。

ボーナスは,就業規則等により,具体的な支給額や支給基準が定まっていなければ請求権は発生しないものとされています。たとえば,ボーナスのカットがあった場合に,それまで長年に渡って定額のボーナスを支給されていたとしても,それが単なる慣行としてなされていたにすぎない場合には,従来の金額の支払を請求することはできません。

なお,ボーナスの査定期間中に在籍していても,ボーナスの支給日に在籍していない場合には支給しないとする「支給日在籍要件」を定めている企業も多数あります。この点について,判例では,自主退社や会社都合による解雇,また定年退職の場合など,退職の種類に関係なく,支給日在籍要件は有効であるとしています。

本採用の拒否 [ほんさいようのきょひ]

本採用の拒否とは,会社が,試用期間中の従業員に関して,社員としての適格性がないと判断した場合に,社員として本採用することを拒否することをいいます。

試用期間であっても,すでに従業員との間で雇用契約が成立しているため,試用期間の満了時に本採用を拒否することは解雇にあたります。そのため,会社が本採用を拒否するには,通常の解雇と同様に「客観的で合理的な理由」があり「本採用を拒否することが社会通念上相当」と認められることが必要です(労働契約法16条)。

どのような場合に本採用の拒否が認められるかは一概にはいえませんが,具体的な例としては,試用期間中に遅刻や無断欠勤が多かった場合や,復帰のめどが立たないような傷病等にかかった場合,言動が不適切で協調性が欠如している場合,業務に関して不適格である場合等が挙げられます。以上のような不適格性が,会社の指導によっても改善の見込みがないような場合には,会社は従業員の本採用を拒否することができます。

なお,本採用の拒否は解雇にあたるため,会社は少なくとも30日以上前にその予告をしなければなりません。30日前に予告をしない場合には,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります(労働基準法20条1項)。

弁護士 篠田 恵里香

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