残業代請求コラム

残業は何時間まで?上限は原則月45時間|2026年9月の指導見直しも解説

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残業は何時間まで?上限は原則月45時間|2026年9月の指導見直しも解説

「毎月の残業が多いけれど、法律では何時間まで許されているのだろう」
「2026年9月から残業の規制が変わったと聞いたけど、何が変わったの?」
と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、いくつかの例外はあるものの、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間です。特別な事情があるなどで上限を延ばす場合でも、年720時間などの上限を超えることは原則としてできません。

2026年9月に変わったのは、労働基準監督署が会社を指導するときの方法です。法律が定める残業時間の上限そのものは変わっていません。

この記事では、残業時間の上限とその例外、上限を超えたときの会社への罰則、2026年9月の指導見直しの中身、上限を超えて働かされているときの対処法を、アディーレの弁護士が解説します。

この記事のポイント
  • 残業時間の上限は原則月45時間・年360時間。特別条項があっても年720時間などの上限がある。
  • 上限を超えた残業は違法となり、会社には6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性がある。
  • 2026年9月の指導見直しの後も上限規制は変わらない。上限を超えた分も含めて、働いた分の残業代は働いた時間を証明できれば請求できる。
目次
  1. 残業は何時間までできる?残業時間の上限は原則月45時間・年360時間
    1. 法定労働時間は1日8時間・週40時間
    2. 1日8時間・1週間40時間を超えて働かせる場合
    3. 待機や研修の時間も労働時間に含まれる
    4. 管理職でも肩書きだけでは働かせ放題というわけではない
  2. 月45時間・年360時間を超えて残業できるケース(特別条項付き36協定)
    1. 特別条項付き36協定とは
    2. 特別条項の上限とは
    3. 上限の数え方の注意点(休日労働・2〜6ヵ月平均)
    4. 適用が猶予されていた業種の2024年4月以降の上限
  3. 残業の上限を超えたら会社に罰則はある?
    1. 違法になるケース
    2. 会社への罰則
  4. 2026年9月からの指導見直しとは?上限規制は変わらない
    1. 見直しの内容(一律の削減指導から、健康確保措置の確認へ)
    2. 働く人にとって、上限も残業代のルールも変わらない
  5. 残業の上限を超えて働かされているときの対応
    1. 36協定の内容を確認する
    2. 労働時間の証拠を残す
    3. 未払い残業代がある場合には、残業代の請求を検討する
    4. 労働基準監督署・弁護士に相談する
    5. 健康を損なうおそれがある場合などには退職も検討する
  6. 月100時間の残業に対する残業代が少ない!解決金約600万円を獲得した事例
  7. 残業や残業代に関するよくある質問(Q&A)
    1. 1日の残業は何時間までですか?
    2. 月80時間の残業は違法ですか?
    3. パートやアルバイトでも、残業の上限は同じですか?
    4. 子育てや介護をしていても、残業しなければいけませんか?
    5. 残業代は、いつまで遡って請求することができますか?
    6. どのような資料であれば、残業したことを証明できるのでしょうか?
    7. 固定残業代制度だと、残業代は出ないのですか?
  8. まとめ

残業は何時間までできる?残業時間の上限は原則月45時間・年360時間

会社が労働者に残業をさせられるのは、原則として月45時間・年360時間までです。この上限は労働基準法で定められており、守らない会社には罰則があります。

法定労働時間は1日8時間・週40時間

労働基準法では、働かせてよい時間を原則1日8時間・週40時間と定めています(労働基準法第32条)。この1日8時間・週40時間以内の労働時間を「法定労働時間」といいます。

一方、法律上の「残業(法定時間外労働)」は、この法定労働時間を超えて働いた時間のことです。たとえば会社の定時が9時〜17時(休憩1時間・実働7時間)の場合、18時まで働いても1日8時間以内なので、法律上の残業(法定時間外労働)にはあたりません。

この場合の17時〜18時の1時間は「法定内残業」と呼ばれ、会社は割増のない通常の賃金を支払えばよいとされています。一方で、18時を超えて働いた分からが法律上の時間外労働となり、25%以上の割増賃金の対象になります。

定時を過ぎても、1日8時間までは割増なし

1日8時間・1週間40時間を超えて働かせる場合

労働基準法では、「1日に8時間、1週間に40時間を超える労働」が禁止され、かつ「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定められています。

したがって、労働者に残業させること、つまり1日に8時間を超えて、1週間に40時間を超えて働かせたり、1週間休みなく働かせたりすることは原則として労働基準法違反となります。

しかし、労働者の代表と「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出ている場合には、原則として月45時間・年360時間まで残業をさせることができます(労働基準法第36条第1項、第4項)。

月45時間は、1ヵ月の出勤日を20日とすると1日あたり2時間強の残業にあたります。これを超える残業が続いている場合は、36協定に「特別条項」があるかどうかを確認してください。

特別条項とは、特別の事情があるときに限って、月45時間・年360時間を超える残業を認める取決めです。詳しくは後述の「月45時間を超えて残業できるケース」で解説します。

36協定の基本については、次のコラムで詳しく解説しています。

待機や研修の時間も労働時間に含まれる

労働時間に数えるのは、実際に手を動かしていた時間だけではありません。会社の指示の下に置かれている時間は、作業をしていなくても労働時間にあたる場合があります。

休憩時間だと思っていても実質労働時間にあたり、それが法定労働時間を超えている場合には、残業代が発生する可能性があります。

労働時間に含まれ得る時間 労働時間に含まれない時間
・電話番や来客対応のために待機している時間
・参加が義務づけられており、断る自由のない研修・会議・イベントの時間
・電話があればすぐ対応しなければならないことが義務づけられている仮眠時間
・始業前の準備や終業後の片付けを指示されている時間
・職場にいても何の対応も求められていない自由な時間
・通勤の時間
・出張先への移動時間(移動中に業務の指示がない場合)

たとえば、「休憩時間」とされていても、電話が鳴ったら出るよう求められているなど、自由に過ごせない時間は労働時間にあたる可能性があります。こうした時間を含めると、実際の残業時間が月45時間を超えていたというケースもあります。

休憩中や始業前の時間の扱いについては、次のコラムで詳しく解説しています。

管理職でも肩書きだけでは働かせ放題というわけではない

管理監督者にあたる人は、労働時間の上限規制や、残業・休日労働の割増賃金のルールの対象外です。そのため、管理監督者にあたる人は、残業時間の制限がなく、残業をしても普通の労働者と同じようには残業代が出ません。

しかし、肩書きが「管理職」でも、実態として経営者と一体的な立場にない人は管理監督者にあたらず、労働時間の上限規制も残業代のルールも適用されます。

たとえば「店長」や「課長」という肩書きでも、仕事の方針や人事を自分で決められず、出退勤時間に自分の裁量がなく労働時間を会社に管理されているような場合などには、管理監督者にあたらない可能性があります。

管理職と管理監督者の違いについては、次のコラムで詳しく解説しています。

月45時間・年360時間を超えて残業できるケース(特別条項付き36協定)

月45時間・年360時間を超えて残業させられるのは、36協定に「特別条項」を設けた場合に限られます。その場合でも、年720時間などの上限を超えることはできません。

特別条項付き36協定とは

特別条項とは、通常は予想できない業務量の大幅な増加など、臨時的な特別の事情があるときに限って、月45時間・年360時間を超えて残業させられるようにする取決めです(労働基準法第36条第5項)。

「業務の都合上必要なとき」など理由があいまいで、毎月のように使われる特別条項は、厚生労働省の指針で認められないとされています。

特別条項の上限とは

特別条項があっても、次の4つの上限をすべて守らなければなりません(労働基準法第36条第5項・第6項)。

上限の種類 上限 数える時間
1年間の残業時間 720時間以内 法定時間外労働のみ
1ヵ月の残業時間 100時間未満 法定時間外労働+休日労働
2〜6ヵ月の平均 すべての期間で月80時間以内 法定時間外労働+休日労働
月45時間を超えられる回数 年6回(6ヵ月)まで 法定時間外労働のみ

上限の数え方の注意点(休日労働・2〜6ヵ月平均)

「月100時間未満」と「2〜6ヵ月平均80時間以内」は、法定時間外労働に休日労働を足した時間で数えます。

ここでいう休日労働とは、法律で必ず与えるべき休日(法定休日。週1日、または4週4日)に働いた時間のことです。たとえば土日休みの会社で日曜を法定休日としている場合、土曜の出勤は休日労働ではなく法定時間外労働として数えます。

休日労働になるのは、法定休日に働いた分だけ

「2〜6ヵ月平均80時間以内」は、直近の2ヵ月・3ヵ月・4ヵ月・5ヵ月・6ヵ月のどの期間で平均をとっても、80時間以内でなければならないというルールです。そのため、1ヵ月の残業時間が100時間未満でも、違反になることがあります。

例:時間外・休日労働が4月70時間、5月95時間、6月85時間だった場合

  • 5〜6月の2ヵ月平均:(95+85)÷2=90時間 → 80時間を超えるため違反
  • 4〜6月の3ヵ月平均:(70+95+85)÷3=約83時間 → 80時間を超えるため違反
どの月も100時間未満でも、平均が80時間を超えれば違反

適用が猶予されていた業種の2024年4月以降の上限

建設業・自動車運転の業務・医師などは、上限規制の適用が2024年3月まで猶予されていました。2024年4月からはこれらの業種にも上限規制が適用されていますが、一部に特例があります。

業種 2024年4月以降の上限
建設事業(土木・建築・工作物の改造修理解体の工事など) ①災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制はすべて適用
②災害の復旧・復興の事業に関しては、上限規制のうち、以下の部分については適用なし
・月100時間未満
・2~6ヵ月平均80時間以内
自動車運転の業務(トラック・バス・タクシーの運転など) ①特別条項付き36協定の場合、年間の法定時間外労働の上限は年960時間
②上限規制のうち、以下の部分については適用なし
・月100時間未満
・2~6ヵ月平均80時間以内
・法定時間外労働時間が月45時間超となる月が最大6ヵ月まで
医師 ①一般の勤務医であれば、時間外・休日労働の年間上限は原則960時間(A水準)。
②地域医療に不可欠な病院の医師であれば、時間外・休日労働の年間上限は1,860時間(B水準)。
③研修医や高度な技術を習得中の医師であれば、時間外・休日労働の年間上限は1,860時間(C水準)。
鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業 一般の業種と同じ上限。

なお、新しい技術・商品・役務の研究開発の業務は上限規制の対象外です。ただし、1週間あたり40時間超の労働時間が月100時間を超えた場合、医師の面接指導が義務化され、企業は面接指導を行った医師の意見を踏まえて必要があるときには、就業場所の変更や職務内容の変更、有給休暇の付与などの措置を取らなければならないとされています。

医師の残業時間や残業代については、次のコラムで詳しく解説しています。

残業の上限を超えたら会社に罰則はある?

法律が定める上限を超えて残業させることは労働基準法違反となり、会社には刑事罰が科される可能性があります。

違法になるケース

次のような場合は労働基準法違反になります。

  • 36協定を結ばずに、または労働基準監督署に届け出ずに、1日8時間・週40時間を超えて働かせた
  • 36協定で決めた時間を超えて働かせた
  • 特別条項がないのに、月45時間・年360時間を超えて働かせた
  • 特別条項があっても、年720時間・月100時間未満・2〜6ヵ月平均80時間以内・年6回までのいずれかを超えた

違法な残業の具体例については、次のコラムで詳しく解説しています。

会社への罰則

労働時間の上限規制のうち、法定時間外労働に休日労働を足した時間を月100時間未満とする規制や2〜6ヵ月平均80時間以内とする規制に違反した者には、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります(労働基準法第119条)。

この罰則は、働き方改革にともなう労働基準法の改正で設けられたものです。大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から適用されており、それまでは月100時間未満・2〜6ヵ月平均80時間以内などの基準に法的な強制力がなく、超えても罰則はありませんでした。

罰則は違反を指示した上司や役員などの個人だけでなく、会社そのものにも罰金が科されることがあります(両罰規定、労働基準法第121条)。実際には、まず労働基準監督署が会社に「違反を改めるように」と指導します。それでも改善されない場合や、違反の内容が悪質な場合には、罰則が科される可能性があります。

2026年9月からの指導見直しとは?上限規制は変わらない

2026年9月1日から変わったのは、労働基準監督署が会社を指導するときの方法です。月45時間・年360時間をはじめとする法律上の上限は、2026年9月以降も変更はありません。

見直しの内容(一律の削減指導から、健康確保措置の確認へ)

厚生労働省は2026年8月19日、労働基準監督署の指導方法を2026年9月1日から見直すと発表しました。2026年7月の閣議決定(日本成長戦略及び経済財政運営と改革の基本方針2026)により、労使の合意にそった指導を行うよう見直す方針が示されたことを受けたものです。

項目 2026年8月まで 2026年9月1日から
労働基準監督署の指導 残業時間の数だけを見て、月45時間以内に減らすよう一律に求めていた 一律の指導をやめ、36協定で定めた健康確保措置が実施されているかを重点的に確認する
特別条項で月45時間超が認められている会社 月45時間以内に減らすよう求められることもあった 確認した状況に応じて、必要な指導を行う
過重労働で健康を損なうおそれが高い職場 指導の対象 引き続き指導の対象
法律上の上限(月45時間・年360時間、特別条項の年720時間など) 適用 変わらず適用

健康確保措置とは、長時間働く人の健康を守るために、会社が36協定の中で決めておく取組みです。医師による面接指導、終業から次の始業までの休息時間(勤務間インターバル)の確保、代わりの休日の付与などがあります。

あわせて、全国の働き方改革推進支援センターに、36協定の締結などを支援する会社向けの専門相談窓口も設けられました。

働く人にとって、上限も残業代のルールも変わらない

今回の見直しで変わったのは、労働基準監督署が会社のどこを重点的に確認するかという点だけです。働く人を守るための残業時間の上限も、残業代の支払ルールも、これまでと変わりません。

そのため、特別条項がないのに月45時間を超えて残業させることは、2026年9月以降も違法です。過重労働で健康を損なうおそれが高い職場も、引き続き労働基準監督署の指導の対象になります。

残業の上限を超えて働かされているときの対応

法律に定められた上限を超える残業が続いているときは、36協定の確認と証拠集めから始め、労働基準監督署や弁護士に相談するのが基本です。未払い残業代がある場合には残業代の請求を、健康を損なうおそれがある場合には退職も検討しましょう。

36協定の内容を確認する

会社は36協定を、職場への掲示や書面の配布、社内システムなどで労働者に知らせる義務があります(労働基準法第106条第1項)。まずは次の点を確認してみてください。

  • 36協定が結ばれ、労働基準監督署に届け出られているか
  • 1ヵ月・1年で延長できる残業時間は何時間か
  • 特別条項があるか。ある場合、どんな事情のときに、年何回まで使えるか
  • 健康確保措置として何が定められ、実際に行われているか

36協定がどこにあるかわからない場合は、総務や人事の担当者に見せてほしいと伝えましょう。会社には周知する義務があるため、見せることを拒むことはできません。

なお、36協定が結ばれていない場合や、36協定で決めた時間・法律の上限を超える場合、会社の残業命令には原則として従う義務はありません。なぜなら、残業をすべき法的根拠がないからです。ただし、実際に断るのは難しいことも多いため、まずは次の証拠集めと相談を進めることをおすすめします。

労働時間の証拠を残す

会社に改善を求めるときも、残業代を請求するときも、実際に何時間働いたかを示す証拠が重要です。

タイムカード、勤怠管理ソフトの打刻記録、パソコンのログイン・ログオフ記録、デジタルタコグラフ、入退館記録、業務メールの送信履歴、業務日報、毎日の出退勤を書いた手帳のメモなどを残しておきましょう。

残業代請求に必要な証拠については、次のコラムで詳しく解説しています。

未払い残業代がある場合には、残業代の請求を検討する

上限を超えた違法な残業であっても、会社は実際に働いた時間分の残業代を支払わなければなりません。「違法な残業だから残業代は出ない」ということはありません。

残業代の割増率

種類 割増率
法定時間外労働(1日8時間・週40時間を超えたとき) 25%以上
法定時間外労働のうち月60時間を超えたとき 50%以上(中小企業も2023年4月から)
休日労働(法定休日に働いたとき) 35%以上
深夜労働(22時〜翌5時に働いたとき) 25%以上

月60時間を超える法定時間外労働を行うと割増率が上がるため、長く残業をしていた人ほど、未払いの残業代が高額になりやすいといえます。

残業代は「1時間あたりの基礎賃金 × 割増率 × 残業時間」で計算します。月給制の場合、1時間あたりの基礎賃金は、月給から通勤手当・家族手当・住宅手当など一部の手当を除いた額を、1ヵ月の平均所定労働時間で割って求めます。

たとえば、1時間あたりの基礎賃金が2,000円の人が、1ヵ月に法定時間外労働を80時間した場合を考えてみましょう。

  • 60時間までの分:2,000円 × 1.25 × 60時間 = 15万円
  • 60時間を超えた20時間分:2,000円 × 1.5 × 20時間 = 6万円
  • 1ヵ月の残業代の合計:21万円
80時間の残業で、残業代は1か月21万円

労働基準監督署・弁護士に相談する

証拠がある程度集まったら、労働基準監督署や弁護士に相談するようにしましょう。ただし、未払いの残業代も合わせて取り戻したい場合は、弁護士への相談がおすすめです。

なぜなら、労働基準監督署は会社の法律違反を調べて改善を指導する機関であり、未払いの残業代を本人に代わって会社から取り立てることはできないからです。

弁護士に依頼すると、次のような対応を任せられます。

  • 会社に給与明細やタイムカードなどの資料を開示するよう求め、残業代を正確に計算する
  • 本人に代わって会社と交渉する(自分で会社とやり取りする必要がない)
  • 交渉で解決しない場合は、労働審判や訴訟で請求する

会社が「管理職だから」「固定残業代を払っているから」などと未払いの残業代の支払いを拒んでも、弁護士であれば会社のそのような主張が法的に妥当なものであるかどうかを精査した上で、法的に妥当ではない点について、法律に基づき反論することができます。退職した後でも、時効(3年)の範囲内であれば請求できる可能性があります。

時効や時効を止める方法については、次のコラムで詳しく解説しています。

自分の残業代がいくらになる可能性があるか知りたい方は、残業代計算ツールで目安を計算できます。当ツールはあくまで証拠を精査する前に、自己申告に基づき概算を計算するためのツールではありますが、弁護士に相談すべきかどうかを判断する目安になり得ます。

弁護士に依頼するメリットや費用、依頼の流れについては、次のコラムで詳しく解説しています。

健康を損なうおそれがある場合などには退職も検討する

残業時間の上限が月45時間とされているのは、長時間労働が健康に与える影響が大きいためです。

厚生労働省の労災認定の基準では、法定時間外・休日労働が月45時間を超えて長くなるほど、脳や心臓の病気との関連が徐々に強まるとされています。法定時間外・休日労働が月100時間を超える、または2〜6ヵ月の平均で月80時間を超える状態は「過労死ライン」と呼ばれ、脳や心臓の病気との関連が強いとされています。

過労死ラインについては、次のコラムで詳しく解説しています。

月100時間の残業に対する残業代が少ない!解決金約600万円を獲得した事例

製造業の会社で課長を務めていたZさん(40代・会社員)は、残業が当たり前になっており、多い月には100時間を超える残業をしていました。それなのに、支払われていたのはわずかな深夜手当だけでした。Zさんは、課長という肩書きから「管理監督者だから残業代が出ないのでは」と不安に思いながら、当事務所にご相談くださいました。

弁護士は、Zさんの働き方が管理監督者の要件にあてはまるかを確認し、管理監督者ではないと主張できる可能性があることを説明しました。会社の資料開示に時間がかかったため、Zさんが持っていたタイムカードを基に残業代を計算して請求しました。交渉の結果、会社は解決金の支払いに応じ、約600万円が支払われることで合意しました。

  • ※事例の内容はご相談当時の状況や条件等によります。

残業や残業代に関するよくある質問(Q&A)

最後に、残業や残業代に関するよくある質問をまとめています。ぜひ参考にしてください。

1日の残業は何時間までですか?

法律では、1日の残業時間そのものの上限は決まっていません。36協定で定めた「1日に延長できる時間」の範囲内であれば、残業させることができます。
ただし、1日に長く残業すれば、そのぶん月45時間や月100時間未満などの上限に早く達します。また、坑内での労働など健康上特に有害な業務は、1日2時間までと法律で決められています(労働基準法第36条第6項第1号)。
自分の職場で1日何時間まで残業できるかは、36協定及び就業規則を見ると確認できます。

月80時間の残業は違法ですか?

36協定に特別条項がなければ、月45時間を超えた時点で違法です。
特別条項がある場合は、その月だけを見て直ちに違法とはいえません。ただし、次のいずれかに当てはまると違法になります。

  • 直近2〜6ヵ月のどの期間で平均しても月80時間を超えている(法定時間外労働+休日労働)
  • 月100時間を超えている(法定時間外労働+休日労働)
  • 月45時間を超えた月が、1年で7回目以上になった
  • 1年間の法定時間外労働が720時間を超えた

なお、月80時間を超える状態が続くことは「過労死ライン」とも呼ばれ、健康への影響が大きいとされています。

パートやアルバイトでも、残業の上限は同じですか?

同じです。パートやアルバイトでも、残業の上限は原則として月45時間・年360時間です。
ただし、法律上の残業(法定時間外労働)は1日8時間・週40時間を超えた時間です。たとえば1日5時間勤務の契約の人が7時間働いた場合、超えた2時間は法定内残業となり、割増のない通常の賃金が支払われます。

子育てや介護をしていても、残業しなければいけませんか?

小学校に入る前の子どもを育てている人や、家族を介護している人は、会社に請求すれば、例外はあるものの原則として、残業を月24時間・年150時間までに制限できます(育児・介護休業法第17条、第18条)。
さらに、小学校に入る前の子どもを育てている人や家族を介護している人は、一定の条件を満たしている場合であれば、請求すれば残業そのものを免除してもらえる場合もあります(2025年4月から、子どもの年齢の対象が3歳未満から小学校入学前までに広がりました)(育児・介護休業法第16条の8、第16条の9)。
いずれも、事業の正常な運営を妨げる場合は会社が断れることがありますが、単に「忙しいから」という理由では認められません。

残業代は、いつまで遡って請求することができますか?

原則として、未払いの残業代や賃金は給料の支払日から3年分までさかのぼって請求できます。
ただ、例外的に3年以上前の分について請求できる場合があります。たとえば、時効が更新された場合(時効の期間が経過する前に、労働者が裁判などで未払い残業代を請求した場合など)には、更新の時からさらに3年経たなければ時効にはかからないので、それ以上前の分でも請求できることになります。

どのような資料であれば、残業したことを証明できるのでしょうか?

タイムカードや勤怠管理ソフトの打刻記録、デジタルタコグラフの記録などが残業した証拠になります。
ほかには、パソコンのログ、業務メールの送信履歴、アナログタコグラフの記録、争いになる前に自分で毎日記録し続けた主観を交えない客観的なメモ(仕事の時間帯や移動方法、仕事で行った場所、仕事の内容など)や会社から家への「帰るよ」というメールの送信履歴も証拠になり得ます。
「資料が手元にない…」という方でも、弁護士に依頼すれば、会社側に資料の開示を求めることもできますので、まずはお気軽にご相談ください。

固定残業代制度だと、残業代は出ないのですか?

固定残業代(みなし残業代)制度であっても、固定残業代として決められた時間を超えて働いた分は、別に支払われる必要があります。
たとえば「月30時間分」の固定残業代を受け取っている人が、実際には月40時間残業した場合、超えた10時間分の残業代を別に請求できます。
詳しくは次のコラムをご覧ください。

まとめ

  • 残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間(36協定を締結している場合)
  • 36協定に特別条項があっても、年720時間・月100時間未満・2〜6ヵ月平均80時間以内・月45時間超は年6回までの上限がある
  • 上限を超えた残業は違法で、特に月100時間未満・2〜6ヵ月平均80時間以内の上限を超えた場合、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性がある
  • 2026年9月に見直されたのは労働基準監督署の指導方法で、法律上の労働時間の上限は変わっていない
  • 上限を超えた分も含め、働いた時間を証明できれば、残業代は全額請求できる可能性がある

アディーレ法律事務所では、残業代請求をはじめとした労働問題を取り扱う専属チームを設け、迅速に対応できる体制を整えております。

自分ではなかなか集めにくい就業規則や、タイムカード・勤怠管理ソフトなどの勤怠資料をはじめとした、会社が持っている必要資料の収集は、弁護士が行います。また、それに基づく計算、交渉、労働審判や民事訴訟などの法的手続まで、残業代請求の手続をトータルサポートいたします。

残業代の請求についてお悩みの方は、ぜひアディーレへご相談ください。

監修者情報

山内 涼太
弁護士

山内 涼太

やまうち りょうた
資格
弁護士、応用情報技術者、基本情報技術者
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部、東京大学法科大学院

裁判に関するニュースに寄せられた、SNS上のコメントなどを見るにつけ、法律家が法的な思考をもとに下した判断と、多くの社会一般の方々が抱く考えとのギャップを痛感させられます。残念でならないのは、このようなギャップを「一般人の無知」と一笑に付すだけで、根本的な啓発もなく放置したり、それを利用していたずらに危機感を煽ったりするだけの法律家が未だにいることです。法の専門家として、専門知を独占するのではなく、広く一般の方々が気軽に相談し、納得して、法的解決手段を手に取ることができるよう、全力でサポートいたします。

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