残業代請求コラム

【弁護士解説】固定残業代制の会社はホワイト?それともブラック?

公開日: 更新日:

「固定残業代」を取り入れている会社はホワイト企業でしょうか?それとも、ブラック企業でしょうか?民間企業では、「固定残業手当」や「固定時間外手当」などの名称で固定残業代を支払っているケースがあります。本コラムをお読みの方のなかには、「固定残業代が支払われていると通常の残業代が出ないのでは?」、「固定残業代が支払われている会社はブラック企業だ!」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
実は、これから解説するとおり、固定残業代のなかには適法なものもあれば違法なものもあります。したがって、固定残業代を導入しているというだけで、ブラック企業かどうかは判断できません。
そこで本コラムでは、法的な観点からホワイト(適法・有効)な固定残業代と、ブラック(違法・無効)な固定残業代について、弁護士がわかりやすく解説します。
あなたの会社の固定残業代はホワイトかブラックか、ぜひ、セルフチェックをしてみてください。

この記事のポイント
  • 固定残業代制というだけでホワイト・ブラックは判断できない
  • 固定残業時間が80時間以上の場合、固定残業代制は無効となる可能性が高い
  • 固定残業時間を超えて残業していた場合は、追加で残業代を請求できる
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目次
  1. 「固定残業代」とは?
    1. 固定残業代の仕組み
    2. 固定残業代のメリットとデメリット
  2. 【ブラック固定残業代診断】1つでも当てはまる場合は違法の可能性があります!
    1. 労働(雇用)契約書や就業規則で固定残業代が明確に定められていない
    2. 定められた残業時間が長すぎる
    3. 残業代と普通の給料(基本給など)がはっきりと区別できない
    4. 残業時間以外の要素が考慮されている
    5. 固定残業代を適法・有効なものと仮定すると最低賃金を下回る
  3. 違法な固定残業代への対応策は?
    1. 労働基準監督署に相談する
    2. 残業代請求に詳しい弁護士に相談する
  4. 固定残業代とは別に、解決金約200万円を獲得できた事例
  5. まとめ

「固定残業代」とは?

固定残業代の仕組み

固定残業代とは、あらかじめ決められた時間分の残業をしたかどうかにかかわらず、決められた金額が残業代として支払われる給与制度のことです。
たとえば、あらかじめ「月30時間分の残業代を『残業手当』として月5万円支給する」や、「基本給30万円(月30時間分の残業代5万円を含む)」と決められているとします。そして、実際には18時間の残業をしたと仮定して考えてみましょう。ここでは、月5万円が固定残業代にあたり、実際の残業時間は30時間未満です。

このとき、「月30時間分の残業代を『残業手当』として月5万円支給する」のであれば、残業手当として月5万円が支給されます。また、「基本給30万円(月30時間分の残業代5万円を含む)」であれば基本給30万円が支給されます。
このように、決められた時間分の残業をしたかどうかにかかわらず支払われるのが、固定残業代です。

固定残業代の仕組みについては、こちらの記事も合わせてご覧ください。

固定残業代のメリットとデメリット

もしかすると、会社から「うちは、固定残業代ですべての残業代を支払っているから、それとは別に残業代は出ない」などと言われた経験のある方がいらっしゃるかもしれません。そのため、固定残業代に対してネガティブなイメージをお持ちなのではないでしょうか。
確かに、固定残業代の制度を導入すると、会社が「固定残業代を支払っているから、それ以上は残業代を支払わない」という対応をとるケースがあります。そのようなケースでは、残業代の未払いトラブルが生じやすくなるデメリットがあります。また、固定残業代の制度を導入しているということは、契約で定められた時間数の残業が発生すると想定されていることになります。つまり、実際の労働時間が長くなるおそれがあるというデメリットもあります。

他方で、固定残業代によって給料の総額が安定するというメリットがあります。たとえば月5万円(残業30時間分)の固定残業代がある場合、実際に30時間分の残業をしていなくても、毎月5万円の給料がもらえるのです。また、業務を効率よくこなせば、労働1時間あたりでもらえる給料は増えるというメリットもあります。

このように、固定残業代は、内容次第で労働者にとってお得な側面もあります。そのため、固定残業代が導入されているからといって、必ずしもブラック企業であるとはいえません。では、どのような固定残業代を支払っていると、ブラック企業といえるのでしょうか。

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【ブラック固定残業代診断】1つでも当てはまる場合は違法の可能性があります!

ブラック(違法・無効)な固定残業代は、以下のような、法的な問題があります。

  • 契約書などに固定残業代に関する記載がない
  • 定められた残業時間が長すぎる
  • 残業代と基本給の区別ができていない
  • 業務内容や資格の有無など、残業時間以外の要素が考慮されている
  • 固定残業代を適法・有効なものにすると、最低賃金を下回っている

もし、これらのうち1つでも当てはまれば、ブラックな固定残業代かもしれません。それでは、それぞれのケースについて詳しく解説していきます。

労働(雇用)契約書や就業規則で固定残業代が明確に定められていない

企業が給料や手当を「残業代」として支払う場合、企業と労働者との間で、「手当を残業代として支払う」という合意がなされている必要があります。合意は口頭でも成立しますが、通常、重要な労働条件は、労働契約書や就業規則などの書類で残されます。したがって、以下のような場合は、注意が必要です。

  • 労働契約書や就業規則に固定残業代に関する記載が一切ない場合
  • 労働契約書や就業規則に金額などの具体的な記載がない場合
  • 具体的な記載があるものの、契約書が交付されていない場合や、就業規則がいつでも見られる状態にない場合

これらに当てはまる固定残業代は、違法・無効となる可能性があります。

定められた残業時間が長すぎる

固定残業代の多くは、たとえば「30時間分の残業に対して5万円を支払う」というように、時間と金額が決められています。しかし、この残業時間数の設定が長すぎる場合は、違法となる可能性があります。労働基準法上、残業が許されるのは、原則として月45時間までです。つまり、45時間以上の残業時間を設定している固定残業代は、その時点で労働基準法に違反している可能性が高いのです。残業時間数の設定は、長ければ長いほど違法・無効と判断される可能性が高くなります。特に、厚生労働省で定められている、いわゆる「過労死ライン」である月80時間を超える時間数を設定した固定残業代は、違法・無効となる可能性が高いといえます。

残業代と普通の給料(基本給など)がはっきりと区別できない

固定残業代は、「固定残業手当」というように基本給とは別に手当として支払われるケースが多いですが、基本給の中に残業代を含めて支払うケースもあります。例えば,「基本給20万円のなかに残業代を含む」といった場合です。しかし、「基本給に残業代を含む」としか記載されず、残業代と基本給の内訳がわからないような場合は、違法・無効となる可能性があります。判例上、このようなケースは「残業代と残業代以外の給料(基本給)が明確に区別できないため、無効である」と判断されています。

残業時間以外の要素が考慮されている

残業代は、雇用契約書などの記載内容や支給方法・計算方法などを参照して、実質的にも残業代として支払われなければなりません。つまり、特定の役職や資格、業務に対して支払われている手当であると判断された場合、固定残業代としては違法・無効となることがあります。
たとえば、「営業手当」や「職務手当」などを固定残業代として支給しているものの、設定された残業時間数を超える部分の残業代が支払われていない場合や,職務や資格それ自体の対価として支払われている場合には、残業代として違法・無効といえるでしょう。

固定残業代を適法・有効なものと仮定すると最低賃金を下回る

日本では、最低賃金法という法律で、「時給換算した場合の賃金が一定の額を下回る場合は違法」であることが定められています(各都道府県の最低賃金はこちら)。つまり、固定残業代を有効だと仮定したとき、時給換算した賃金が最低賃金額を下回る場合は、違法・無効な設定金額といえます。

以下のケースを例に、固定残業代の設定金額が適法か違法かをチェックしてみましょう。

【Aさん】
1ヵ月の給料:基本給19万円 固定残業代4万円(月給) 通勤手当1万円
1ヵ月の平均所定労働時間:173時間(契約で決められた、労働者が1ヵ月に働くべき時間数)
【Bさん】
1ヵ月の給料:基本給10万円 固定残業代10万円(月給) 通勤手当1万円
1ヵ月の平均所定労働時間:173時間(契約で決められた、労働者が1ヵ月に働くべき時間数)
  • 2021年10月1日現在の東京都の最低賃金は1,041円
  • Aさん、Bさんともに、2021年10月1日現在、東京の会社に勤めている  

まず、「残業代の計算の基礎となる賃金」を求めます。

残業代の計算の基礎となる賃金=月給-残業代や通勤手当など特定の手当

次に、「時給換算した場合の賃金」を求めます。

時給換算した場合の賃金=残業代の計算の基礎となる賃金÷1ヵ月の平均所定労働時間

そして、「時給換算した場合の賃金」が最低賃金を下回っていないかを確認することで、固定残業代の設定金額が適法か違法か判断できます。

時給換算した場合の賃金>最低賃金=ホワイト(適法・有効)
時給換算した場合の賃金<最低賃金=ブラック(違法・無効)

これらを踏まえて、AさんとBさんの給料が、最低賃金法に違反していないかどうかをチェックしてみましょう。

【Aさん】
19万円(基本給のみ)÷173時間≒1,098円>最低賃金1,041円
【Bさん】
10万円(基本給のみ)÷173時間≒578円<最低賃金1,041円

以上のとおり、Aさんは最低賃金を下回っていませんが、Bさんは、固定残業代を認めてしまうと、最低賃金を大きく下回っています。したがって、Bさんの会社の固定残業代の設定金額は、違法・無効の可能性があります。

なお、支払われるべき適切な残業代は、月給制の場合、以下の計算式で求められます。

残業代の計算の基礎となる賃金(基本給など)÷1ヵ月の平均所定労働時間×割増率×残業時間

こちらも、ぜひ参考にしてみてください。

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違法な固定残業代への対応策は?

いかがでしたか?1つでも当てはまっていた方は、一生懸命働いたのに、十分な残業代を受け取れていないかもしれません。そこで、ブラックな固定残業代には、どのように対応すればよいのかを解説します。なお、残業代には時効があり、給料日から3年を経過してしまうと、法的に請求できなくなるおそれがあります。したがって,お早めにご対応いただくのがよいでしょう。

労働基準監督署に相談する

有効な手段の一つとして、労働基準監督署への相談が挙げられます。労働基準監督署は、労働基準法などで定められたルールを会社が守っているかを監督し、守られていない場合には行政指導や調査などを行う行政機関です。労働基準監督署に相談することで、残業代請求についての助言をもらえるでしょう。また、ブラックな固定残業代にもかかわらず、会社が未払い残業代の支払いを拒否している場合には、残業代を支払うよう会社へ指導してくれる可能性があります。

ただし、労働基準監督署への相談は、以下のような難しい側面もあります。

  • 労働基準監督署に通報するための証拠が集められない
  • 労働基準監督署が指導しても会社が支払いを拒否する

このように、労働基準監督署に相談するだけでは、残業代が思うように支払われないこともあります。

残業代請求に詳しい弁護士に相談する

適切な残業代をスムーズに受け取るためには、残業代請求や労働問題に詳しい弁護士へ相談するのがおすすめです。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 自分の力だけでは集められない就業規則やタイムカード、賃金台帳などの証拠が収集できる
  • 資料をもとに具体的な金額を算定して残業代を請求できる
  • 会社から「残業代は固定残業代で支払い済である」と言われても、法律や判例を踏まえて適切に反論できる

このように、スムーズに残業代請求をするためにも、弁護士へ相談するのがよいでしょう。

固定残業代とは別に、解決金約200万円を獲得できた事例

機械の販売・修繕を担当していたEさん。毎月の残業は50時間に及んでいましたが、支払われる手当はそれに見合わない金額でした。

ご依頼を受けた当事務所の弁護士がタイムカードを精査したところ、実際の労働時間を前提にすると、固定残業代として支払われていた手当だけでは到底足りないことが判明しました。
弁護士は、多額の未払い残業代が発生しているとして会社と粘り強く交渉。その結果、解決金約200万円を獲得することができました。

  • 事例の内容はご相談当時の状況や条件等によります。

まとめ

これまでご説明してきたとおり、「固定残業代」といっても、ホワイト(適法・有効)かブラック(違法・無効)かを判断するにはさまざまなポイントがあります。【ブラック固定残業代診断】に1つでも当てはまる場合、残業代が未払いになっているかもしれません。ぜひ、セルフチェックしてみてください。
ブラックな固定残業代のポイントに当てはまった方でも、「うちの会社では固定残業代が支払われているからそれ以上残業代は出ないんだ」と諦める必要はありません。アディーレでは、労働問題や残業代請求を担当する弁護士が多数在籍しておりますので、知識がないと難しい計算もお任せいただけます。また、アディーレでは残業代に関する無料相談も実施しております。「自分の固定残業代がブラックかどうか気になる!」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者情報

岩井 直也
弁護士

岩井 直也

いわい なおや
資格
弁護士、行政書士、ファイナンシャルプランナー検定2級、E資格
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部

私は、困っている人に対して、法律という武器を駆使して手を差しのべたいと思い、弁護士になりました。しかし、いまだ弁護士へ相談する心理的・経済的なハードルは存在し、結果として泣き寝入りしているケースもまだまだ多いのではないかと思います。そのような状況を変えるべく、事務所として施策を進めることはもちろん、私個人としても「この人に頼めば安心だ」と思っていただけるよう質の高い仕事をし、安心してご依頼いただける弁護士になりたいです。これから、日々邁進していく所存です。

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