労働問題に関する用語集
役付手当とは,管理者や監督者のような,いわゆる管理職の地位にある従業員に対して支給される手当であり,通勤手当,職務手当等と同様に,基本給とは別に諸費用として支払われる賃金のうちのひとつです。部長手当,課長手当などがこれにあたり,役職手当などと呼ばれることもあります。
役付手当は,ほかの手当の場合と同様,法律上当然に支払われるものではなく,賃金規定,雇用規定等にその支給が定められている場合にはじめて支払われます。
なお,個々の従業員の業務に応じて支払われる役付手当は,残業代等の割増賃金算定の基礎となります(管理職にあたる場合には,時間外労働の規制は適用されません)。いっぽう,退職金額の算定の基礎になるかどうかについては,その会社の職務規定の内容によります。
雇止めとは,終身雇用の正社員と異なり,労働期間の定めがある非正規雇用の従業員に対して,労働契約の更新を認めない(更新を拒否する)ことをいいます。
正社員を理由なく解雇した場合には,不当解雇としてその解雇は無効となります。いっぽう,非正規雇用で働く労働者についても,今まで何回も労働契約が更新されていたにもかかわらず,急に更新が打ち切られた場合や,更新を期待させる発言があった場合には,従業員の更新への期待を保護するため,実質的には解雇された場合と同じ扱いをするべきだと考えられています。
そのため,雇止めを受けた場合であっても,会社側の解雇権濫用を主張し,会社に対して,今までと同じ期間,同一条件での契約更新を認めるよう請求できることがあります。
雇止めが解雇として認められるか否かは,契約の更新回数や勤務期間,業務内容等から総合的に判断されることになります。そのため,雇止めの撤回を求める場合は,法律の専門家である弁護士に交渉を依頼することをおすすめいたします。
労働契約には,期間の定めがある場合とない場合とがあり,期間の定めがある場合の労働契約を「期間の定めのある労働契約」(有期労働契約)といいます。派遣社員,契約社員,パートタイマーは,多くの場合,有期労働契約です。
有期労働契約については,契約期間中は両当事者とも契約を解除することができないのが原則です。その一方で,契約期間が満了すれば,原則として雇用契約は終了するという点が大きな特徴です。
この「期間満了により雇用契約が終了する」という点は,有期労働契約を結んでいる労働者の生活を不安定にするという側面があります。そのため,判例では,労働の実態に基づいて実質的な保護を図っています。
たとえば,雇止めの事例で,雇止めの意思表示が実質的には解雇の意思表示にあたり,解雇権を濫用だと判断できる場合には,その雇止めは許されないとするものがあります。そのため,雇止めにあった場合でも,それを無効にし契約を更新できる可能性がありますので,雇止めに納得できない場合や,これまで通り働き続けたい場合には,弁護士に相談することをおすすめいたします。
諭旨解雇処分とは,会社の懲戒処分のひとつであり,会社が労働者に対して,一定の期間内に退職願や辞表の提出をすすめ,形式上は「本人の願い出による」という形で退職させる処分のことをいいます。
会社の懲戒処分のうち,もっとも重い処分は懲戒解雇です。懲戒解雇となった場合,退職金の一部ないしは全部が支給されず,解雇予告手当もなく即時に解雇されるのが一般的です。また,経歴書の賞罰の部分にも懲戒解雇されたことを記載しなければならず,そのために社会的信用を失い再就職が困難になるなど,労働者にとって非常に大きなデメリットがあります。
これに対し,諭旨解雇の場合は,あくまでも本人の意思による退職という形になるため,退職金が支払われるケースもあるなど,上記のデメリットを避けることがでることから,懲戒解雇に比べて比較的軽い処分だと考えられています。
労働基準法では,使用者が労働者を解雇する場合,原則として,少なくとも解雇の30日以上前には解雇する旨を通知(解雇予告)しなければならないと定めていますが,解雇予告をせずに即時解雇する場合,使用者はその労働者に対して,30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。これを予告手当といいます。
何の予告もなく急に解雇されてしまった場合,すぐに再就職先が見つかるわけではないため,労働者は収入を失い,生活に困ってしまいます。そうした状況を避けるために,30日以上前の解雇予告を行うか,平均賃金の30日分以上の予告手当を支払うことが定められています。急な解雇であったとしても,30日分以上の平均賃金が支払われるならば,再就職等の一応の準備が可能となります。
予告手当の金額を算出する際にベースとなる「平均賃金」は,原則として,解雇が問題となった日から3ヵ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額を,その期間の総日数で割った金額のことをいいます。
なお,急な解雇を行った場合でも,この予告手当を支払わない企業も存在します。そうした場合は,法律の専門家である弁護士に相談し,会社側に請求するようにしてください。
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