不当解雇に関するコラム

会社を訴える手順と費用は?不当解雇・未払い残業代・パワハラの証拠や受け取れるお金を解説

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突然会社から解雇を言い渡された、どれだけ働いても残業代が支払われなかった、上司からのパワハラに苦しんでいる、そんな状況で「会社を訴えたいけれど、何から始めればいいのかわからない」と、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。

会社を訴えるためには、どのようなケースで訴えることができるのか、どのような証拠を集めればよいのかなどについて、正しい知識を持っておくことが大切です。

そこで、このコラムでは、会社を訴えるための具体的な手順や請求できるお金の目安、訴える場合の注意点などについてご説明します。また、弁護士に依頼した場合のメリットや費用の目安についても解説します。
ご自身の状況と照らし合わせながら、泣き寝入りせずに正当な補償を得るためのヒントを見つけてみてください。

今回の記事でわかること
  • 会社を訴えられる具体的なケース(不当解雇・残業代未払い・パワハラなど)
  • 会社を訴えた際に請求できるお金の種類や相場
  • 不当解雇を解決する手順や弁護士に頼むメリット
目次
  1. 会社を訴えられる可能性が高い代表的なケース
    1. ①不当解雇(正当な理由のない解雇)
      1. 不適切な整理解雇
      2. 一度のミスによる解雇
      3. 個人的な感情による解雇
    2. ②未払い残業代の請求
    3. ③ パワハラ・セクハラなどのハラスメント
  2. 会社を訴えるときに請求できるお金
    1. ①解雇期間中の未払い賃金(バックペイ)
    2. ②未払い残業代・退職金
    3. ③慰謝料
    4. ④解雇予告手当
    5. ⑤解決金(和解金)
  3. 会社を訴えて労働トラブルを解決するための手順
    1. ①会社と直接交渉する
    2. ②労働審判を申し立てる
    3. ③訴訟を起こす
  4. 会社を訴えるには証拠が必要
  5. 会社を訴える際にかかる費用の目安
    1. 裁判手数料の相場
    2. 弁護士費用の相場
  6. 会社を訴える際に弁護士に依頼するメリット
    1. 会社と直接対決する精神的負担を軽減できる
    2. 解決金などの金銭を受け取れる可能性が高まる
    3. 敗訴や費用倒れのリスクを回避できる
  7. まとめ
    1. 不当解雇や労働トラブルでお困りならアディーレに相談を

会社を訴えられる可能性が高い代表的なケース

会社を訴えることができるのは、労働基準法などの法律に違反する不当な扱いを受けた場合です。
法律上、会社はいつでも自由に社員を解雇したり、労働条件を不当に下げたりできるわけではありません。

具体的にどのようなケースで会社を訴えることができるのか、代表的な3つの労働トラブルをご紹介します。

①不当解雇(正当な理由のない解雇)

解雇が有効と認められるためのハードルは、とても高く設定されています。そのため、会社から一方的に解雇を言い渡された場合でも、その多くは不当解雇として争う余地があります。

不適切な整理解雇

会社の業績悪化を理由とする解雇(整理解雇・リストラ)は、そもそも人員削減の必要がなかったり、会社側が解雇を避けるための努力を十分に尽くしていなかったりする場合、無効となる可能性が高いです。

一度のミスによる解雇

一度の遅刻や小さなミスに対し、注意や指導を行わずにすぐ解雇を言い渡すのは、処分として重すぎると見られます。

個人的な感情による解雇

「なんとなく社風に合わない」「意見が気に入らない」といったあいまいな理由だけで従業員をクビにすることは許されません。

不当解雇の定義や、よくみられるケースについてさらに知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

また整理解雇(リストラ)の有効性について詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

②未払い残業代の請求

「みなし残業代が含まれているから」「管理職だから」と言われて残業代が支払われていないケースでも、実態として法律の要件を満たしておらず、残業代を請求できるケースは非常に多いです。また、会社が勤怠管理をしていない場合でも、労働時間を証明できれば会社に請求することが可能です。

③ パワハラ・セクハラなどのハラスメント

職場における嫌がらせ(パワハラ、セクハラ、マタハラなど)によって精神的な苦痛を受けた場合、会社や加害者本人を訴えることができます。
会社には、従業員が安全で健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」があります。ハラスメントを放置していた場合、会社はこの義務に違反したとして損害賠償責任(慰謝料など)を問われることになります。

会社を訴えるときに請求できるお金

突然仕事を失ったり、タダ働きを強いられたり、ハラスメントで傷つけられたりした場合、正当な補償を求めることは労働者の大切な権利です。
会社を訴える際、状況に応じて下記のようなお金を請求できる可能性があります。

  1. 解雇期間中の未払い賃金(バックペイ)
  2. 未払い残業代・退職金
  3. 慰謝料
  4. 解雇予告手当

①解雇期間中の未払い賃金(バックペイ)

不当解雇を受けた場合、中心となる請求は、解雇の無効を認めてもらい、解雇されていた期間に受け取れるはずだった賃金(バックペイ)を支払ってもらうことです。
法律上、不当解雇は無効となるため、従業員は引き続きその会社の社員であると扱われます。従業員が働けなかったのは会社が不当に解雇したせいであるため、働いていなくてもその期間の給与を受け取る権利があります。

バックペイについて詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

②未払い残業代・退職金

不当解雇を行うような会社では、日頃の労務管理もずさんなことが多く、残業代が未払いになっているケースがよく見受けられます。未払い残業代は過去3年分まで遡って請求することが可能です。
また、会社に懲戒解雇され、「退職金は支払わない」と会社が言ってきたとしても、状況により退職金を請求できることがあります。

安易にご自身で判断するのではなく、専門家に相談して、未払い残業代や退職金についての妥当性を判断してもらうことをおすすめします。

未払い残業代について知りたい方は、下記ページをご覧ください。

③慰謝料

不当解雇そのものに対する慰謝料が認められるケースは多くありませんが、極めて悪質なハラスメントを伴う不当解雇においては、会社に対して慰謝料を請求できる場合があります。

ただし、従業員側が、会社が不法行為を行ったことを証明しなければならないため、難易度は高いといえます。

慰謝料の相場は、被害の程度や期間によって異なりますが、高くとも50万円から100万円程度になることが一般的です。

不当解雇に対する慰謝料請求について詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

④解雇予告手当

会社が従業員を解雇する場合、原則として30日以上前に予告するか、不足する日数分の解雇予告手当を支払わなければなりません。もし、ある日突然「明日から来なくていい」と即時解雇された場合、会社に対して30日分の平均賃金を解雇予告手当として請求することができます。解雇予告手当は、解雇が有効でも支払わなければならないものです。一方、解雇そのものが無効であるとして未払い賃金等を請求する場合に解雇予告手当を請求すると、矛盾した請求となってしまうため注意が必要です。

解雇予告手当について詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

会社を訴えて労働トラブルを解決するための手順

会社を訴えて労働問題を解決する方法としては、「任意交渉(示談)」、「労働審判」、「訴訟(民事訴訟)」の3つがあります。労働審判と訴訟を併せて裁判と呼ぶこともあります。

会社との話合いから始めて、徐々に法的な手続へとステップを踏んでいくのが一般的な手順です。いきなり裁判を起こすのではなく、状況に合わせて適切な方法を選ぶことで、時間や費用を抑えながら有利に解決できる可能性が高まります。

不当解雇解決のための3つの手順

①会社と直接交渉する(任意交渉)

会社に対して書面を送り、復職や未払い賃金の支払いを求めて交渉を行います。話合いで双方が納得できる和解金を支払うことで合意できれば、早く問題を解決できます。
個人で交渉すると会社に軽く見られることもあるため、弁護士を代理人に立てて交渉を進めるのが効果的です。

②労働審判を申し立てる

交渉がうまくいかない場合は、裁判所で行われる労働審判という手続を申し立てます。労働審判は、裁判官と労働問題に詳しい審判員が間に入り、会社と労働者の言い分を聞いて話合いによる解決を目指す制度です。通常の訴訟と違って原則最大3回の話合いで終わるため、数ヵ月という比較的短い期間での解決を期待できます。手続が早く進み、費用も抑えられるため、長期化を望まないケースで利用されます。

③民事訴訟を起こす

複雑な事実関係を争う場合や、労働審判での話し合いによる解決が難しそうだなという場合は、訴訟を起こすことになります。訴訟では、お互いが主張や証拠を出し合い、最終的に、裁判官が法律に基づいて勝敗の判決を下します。手続が複雑で、一審判決までに1年以上の長い期間が想定されるため、法律の専門家である弁護士の対応が不可欠といえます。

会社を訴えるには証拠が必要

会社を訴えてこちらの主張を認めてもらうためには、会社から不当な扱いを受けた事実を示す客観的な証拠が重要です。いくら口頭で説明しても、それを裏付ける証拠がなければ裁判所は認めてくれません。
なお、証拠は時間が経つと集めにくくなるため、トラブルが起きた直後(可能であれば在職中)から行動することが大切です。

<労働トラブルを証明できる代表的な証拠>

  • 不当解雇の証拠: 解雇通知書、解雇理由証明書、会社とのメールやメッセージ履歴など
  • 未払い残業代の証拠: タイムカード、職場の入退館記録、業務PCのログイン・ログオフ履歴、業務メールの送信履歴、タスクの指示書など
  • パワハラ・ハラスメントの証拠: 暴言や過度な叱責の録音データ、メール・LINEの履歴、診断書など

不当解雇を争ううえで特に重要なのは「解雇通知書」や「解雇理由証明書」といった書面です。
会社には、労働者から退職日までに請求された際に「解雇理由証明書」を渡す義務がある(労働基準法第22条)ため、請求を拒否することはできません。

会社を訴える際にかかる費用の目安

会社を訴えることを考えたとき、気になるのは「どんなことにお金がかかり、全体でいくら必要なのか」という点だと思います。選ぶ解決方法やトラブルの複雑さによって、必要な費用は大きく変わってきます。費用倒れを避け、納得のいく結果を得るためには、あらかじめ全体の目安を把握して見通しを立てておくことが大切です。

<労働トラブルの裁判で必要となる費用>

  • 裁判手数料
  • 弁護士費用

裁判手数料の相場

労働審判や訴訟を起こすときには、裁判所に手数料を納めます。

<裁判手数料の内訳>

  • 印紙代
  • 郵便切手代

この手数料は、会社に対していくら請求するかによって金額が変わります。

■未払い賃金や慰謝料として300万円を請求する労働審判を申し立てる場合

  • 裁判所に納める印紙代:1万円
  • 郵便切手代:数千円

■未払い賃金や慰謝料として300万円を請求する訴訟を起こす場合

  • 裁判所に納める印紙代:2万円
  • 郵便切手代:数千円

弁護士費用の相場

弁護士に依頼する場合、最初に支払う着手金と、無事に解決したときに支払う報酬金などがかかります。着手金の相場は数十万円程度ですが、最近では相談料や着手金を0円にしている法律事務所もあります。
報酬金は、会社から回収できた金額の15~30%ほどに設定されているのが一般的です。費用倒れを防ぐためにも、初回の無料相談を利用して、自分のケースでどれくらいの費用がかかるのかを見積もってもらいましょう。

<弁護士費用の内訳>

  • 相談料:1万円程度(無料の事務所もあり)
  • 着手金:数十万円程度(0円の事務所もあり)
  • 成功報酬:会社から回収できた金額の15~30%ほど
  • 期日等手数料
  • 事務手数料 など

会社を訴える際に弁護士に依頼するメリット

不当解雇で会社を訴える手続はご自身で行うこともできますが、法律の専門知識や交渉の技術がないと、会社側に有利に丸め込まれてしまう恐れがあります。
弁護士に依頼すると費用はかかりますが、法的知識や交渉経験を活かしたサポートを受けられるため、結果的によりよい条件での解決を目指すことができます。

会社と直接対決する精神的負担を軽減できる

弁護士に依頼するメリットの一つは、会社と直接やり取りする強いストレスから解放されることです。依頼した後は、弁護士が代理人としてすべての連絡や交渉を行うため、嫌な上司や会社の人事担当者と直接顔を合わせたり、電話で話したりする必要がなくなります。

また、法的な手続をすべて任せることができるため、次の仕事を探す時間などを確保することも可能です。

解決金などの金銭を受け取れる可能性が高まる

一方的に解雇された場合、未払いの賃金や、退職を前提とした解決金などを会社に対して請求できる場合があります。しかし、労働者自身で請求しても、支払いを断られたり、低い金額で言いくるめられたりすることがあり得ます。
しかし、弁護士であれば、法的知識を駆使して交渉を有利に進められるため、適切な金額を受け取れる可能性が高まります。

敗訴や費用倒れのリスクを回避できる

労働問題に詳しい弁護士に依頼すれば、有効な証拠を集める方法の助言を受けることができるため、敗訴するリスクの軽減につながります。
また、弁護士なら、どれくらいの金額を回収できる見込みがあるのかを試算することが可能です。労働者の方は、試算結果をもとに「弁護士費用を支払っても手元にお金が残るかどうか」を検討できるため、費用倒れになって損をしてしまう事態を避けられます。

まとめ

不当解雇や未払い残業代、パワハラなどで会社を訴えるためには、客観的な証拠を集め、適切な法的手続を進めていくことが大切です。しかし、ご自身だけで会社と直接交渉したり裁判を起こしたりすることは、精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。また、敗訴して費用倒れになってしまうリスクも心配な点です。補償を得て安心できる生活を取り戻すためには、労働問題に詳しい弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

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監修者情報

小野寺 智範
弁護士

小野寺 智範

おのでら とものり
資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
青山学院大学法学部,専修大学法科大学院

弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。

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