ケース 116 一部の証拠から2年間分の残業代を取り戻す!弁護士の的確な判断が獲得の決め手に
- Eさんの解決事例(男性・20歳代)
- ご依頼内容 残業代の請求
- 雇用形態 正社員
運送会社でドライバーとして働いていたEさん。毎日,出社して打刻をした後に社用車で配送先を回り,会社に戻るのはいつも夜で,残業が当たり前となっていました。しかし,残業代は実際の残業時間の半分程度しか支払われず,不満を募らせていたEさんは転職を決意しました。そして,退職したらこれまでの未払い残業代を請求することはできないか,労働トラブルに詳しい弁護士に話を聞いてみたいと考え,当事務所にご相談くださいました。
Eさんから詳しくお話を伺うと,タイムカードを数ヵ月分保管しているとのことでした。弁護士は,タイムカードが数ヵ月分しかなくても,残業代請求の時効になっている2年間分(※)の未払い残業代を獲得できる可能性があることをご説明いたしました。
ほどなくしてEさんが退職し,正式にご依頼をいただいた弁護士は,会社との交渉を開始しました。会社がタイムカードや就業規則,賃金規定の提出を拒否したため,Eさんがお持ちだったタイムカードの期間の残業代を計算し,タイムカードのない期間についても,月間の平均残業時間から残業代を算出し,請求をしました。しかし会社は,「固定残業代として支払っている」と反論し,弁護士が「就業規則や賃金規定を開示していないため,固定残業代とは認められない」と主張を返すと,分が悪くなって対応を拒むようになりました。そこで弁護士は,Eさんに相談のうえ,労働審判を申し立てる準備を始めました。すると,労働審判の準備を知った会社が急に態度を変え,弁護士に未払い残業代の支払を認める連絡が入り,交渉の結果,2年間の未払い残業代110万円以上がEさんに支払われることで合意に至りました。
※当時の法制度による。法改正により,2020年4月1日以降に支払日が到来した賃金請求権(残業代請求権)の消滅時効期間は,3年に変更となりました。2020年3月31日までに支払日の到来した賃金請求権(残業代請求権)については,従前のとおり,消滅時効期間は2年のままです。