退職代行で心配なトラブル…実際に起きる?トラブル回避の方法を解説!
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退職代行を利用して会社を辞めようとお考えの方のなかには、「退職代行を使ったことで会社とトラブルになったらどうしよう?」とご不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これまでに退職代行を利用したことがなければ、「きちんと退職できるのかな?」、「自分に不利益があったら嫌だな…」と、心配になりますよね。今回のコラムでは、弁護士が退職代行で心配なトラブルに関する疑問にお答えするとともに、トラブル回避の方法を詳しく解説していきます。
- 今回の記事でわかること
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退職代行で心配されるトラブルが実際に起こるかどうか
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退職代行で心配されるトラブルを回避する方法
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退職代行を弁護士に依頼するメリット
- 目次
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実際どうなの?退職代行で心配なトラブルのQ&A
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退職そのものができないことはある?
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懲戒解雇される可能性はある?
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会社から損害賠償を請求されることはある?
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給与や退職金が支払われないことはある?
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有給消化が認められないことはある?
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退職までに会社で嫌がらせなどを受けることはある?
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退職後、必要書類を送ってくれないことはある?
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それでもやっぱり心配!もしものトラブルに備えるには?
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民間の退職代行業者に依頼するとトラブルに対応できない
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トラブル回避のためには弁護士に依頼するのが安心
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弁護士に退職代行を依頼するメリット
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すべての手続を代行してもらえる
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会社からの不当な要求に対する対応ができる
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未払い残業代があれば支払請求ができる
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まとめ
実際どうなの?退職代行で心配なトラブルのQ&A
まずは、退職代行を利用して、退職を申し入れる際に心配されがちなトラブルについて、「実際に起こることはあるの?」という疑問にお答えしていきます。
退職そのものができないことはある?
雇用形態が、いわゆる無期雇用契約(正社員など雇用期間の定めがない契約)か有期雇用契約(パートや派遣社員など雇用期間の定めがある契約)かで異なりますが、無期雇用契約であれば、退職できないということはありません。なぜなら、無期雇用契約の場合は、退職の申入日から2週間経過後に退職となると、民法第627条で規定されているからです。
有期雇用契約の場合、原則として、雇用期間が満了するまで辞めることはできません。しかし、法律上はいくつか例外もありますし、実際問題として、退職を希望している従業員を無理につなぎ留めても会社にとってメリットが少ないため、退職の申入れに応じてくれることが多いです。
懲戒解雇される可能性はある?
従業員には退職の自由が認められていますから、退職の意思表示をしたことを理由に、懲戒解雇されることはありません。
懲戒解雇という厳しい処分を行うためには、あらかじめ就業規則に懲戒解雇事由を規定しておかなければなりません。しかし、従業員に退職の自由がある以上、「退職の意思表示をしたこと」を懲戒解雇事由とするような就業規則は、そもそも無効となります。したがって、退職の意思表示をしたことで、懲戒解雇されることはありません。
しかし、たとえば、退職申入れから退職日までの2週間、使える有給休暇がなく欠勤状態になっているなど、ほかの懲戒事由がある場合は、これを理由に懲戒解雇を主張される場合があります。ただし、その場合であっても、解雇の有効性は、「解雇という厳しい処分をすることに、合理的理由や社会的相当性があるといえるかどうか」によって判断されます。そのため、いずれにしても懲戒解雇は容易に認められるものではありません。
会社から損害賠償を請求されることはある?
従業員には退職の自由がありますから、退職すること自体を理由として損害賠償を請求されることはありません。
もっとも、退職に際して引継ぎが必要なのに、まったく行わなかった場合や、転職先に会社の顧客名簿を提供したり、会社のパソコン内のデータを削除したりといったことを行った場合は、それらを理由として損害賠償を請求されるおそれがあります。
給与や退職金が支払われないことはある?
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- 給与について
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従業員には退職の自由がありますから、退職の意思表示をしたからといって、それを懲戒事由として、会社が給与を減額することはできません。給与の減額は、厳しく制限されており、原則として、就業規則などに規定がない限り減額することはできないのです。そして、退職の自由が認められる以上、「退職を申し出た者は給与を減額する」などという就業規則などは無効となります。したがって、退職の意思表示をしたことで、給与を減額することは許されません。
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- 退職金について
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法律上、会社は必ずしも退職金を支払うべき義務があるわけではありません。実際、世の中には退職金がない会社も少なくありません。したがって、もともと退職金が出ない会社の場合は、退職金をもらうことはできません。
ただし、会社が退職金規程などを定めており、その支給基準を満たしている場合、会社は退職金を支払うべき義務があります。そして、従業員が退職の意思表示をしたからといって、退職金を不支給とするということはできません。
もっとも、退職金規程で「自己都合退職の場合は、会社都合退職の場合の支給額の8割とする」などと定められている場合は、この支給基準を理由に減額されることはあります。
有給消化が認められないことはある?
退職にあたって有給休暇を消化しようとすると、会社から、業務に支障が生じるなどとして、有給申請を承認しないと主張される場合があります(時季変更権の行使)。しかし、これから退職しようとする労働者の場合、退職後に有給休暇を使える可能性がない以上、使用者は時季変更権を行使することはできないと考えられています。そのため、労働者が有給消化を望むのであれば、会社はそれを認めなければなりません。
退職までに会社で嫌がらせなどを受けることはある?
退職の意思表示をすると、会社からしつこく引き留められたり、嫌味を言われたりと、さまざまな嫌がらせを受けることがあります。
しかし、退職の意思表示をした日から有給休暇の消化を求めるなどして、できるだけ出勤しないで済むよう交渉すれば、そのような状況は回避できるでしょう。
退職後、必要書類を送ってくれないことはある?
退職の際、会社が意地悪をして離職票などの必要書類を交付してくれないことがあります。しかし、そのような場合でも、離職票などはご自身でハローワークなどに行けば発行してもらうことが可能ですので、あまり心配しなくてもよいでしょう。
それでもやっぱり心配!もしものトラブルに備えるには?
これまで解説してきたように、退職を申し入れた際に起きると思われがちなトラブルは、多くの場合実際には起こりませんし、仮に起こったとしても交渉により解決可能であることが多いです。
とはいえ、「もしもトラブルが発生したらどうしよう?」と依然心配な方もいらっしゃるかもしれません。そこで、退職代行を利用するにあたり、どのような点に注意すれば、トラブルが起きてしまった場合に適切に対応できるのか、解説していきます。
民間の退職代行業者に依頼するとトラブルに対応できない
民間の退職代行業者を利用すると、トラブルが発生しても交渉で解決できないため、注意が必要です。
民間の退職代行業者は、弁護士法の規定上、退職者の代理人になることができない、つまり、退職者の意思を伝えるメッセンジャーになることしかできません。したがって、何かトラブルが起きても、退職者に代わり、会社と交渉することはできないのです。これは、民間の退職代行業者と法律事務所の退職代行の最大の違いです。
トラブル回避のためには弁護士に依頼するのが安心
他方、弁護士は、退職者の代理人として、退職者に「代わって」退職の意思表示をしたり、交渉したり、損害賠償請求に対して反論を行ったりできます。そのため、もしものトラブルに備えるためにも、退職代行は弁護士に依頼するのが安心といえるでしょう。
弁護士に退職代行を依頼するメリット
このように、弁護士に退職代行を依頼すれば、心配されているトラブルにも適切に対応でき、安心です。さらに、弁護士に退職代行を依頼すれば、もしものトラブルに備えられるだけでなく、さまざまなメリットがありますので、詳しく見ていきましょう。
すべての手続を代行してもらえる
退職は「その意思を伝えたら終わり」ではありません。退職にあたっては、下記のように行うべき手続が、数多くあります。
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有給休暇を消化したうえで退職できるよう交渉する
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離職票や源泉徴収票を会社に発行してもらう
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健康保険証を会社に返却する
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会社に置いたままの私物を返してもらう
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会社の制服や備品を返却する
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業務の引継ぎを行う
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最終給料の支払方法に関する交渉をする
弁護士であれば、これらの退職に伴うさまざまな手続を、あなたの代わりに行うことができるのです。また、会社から競業避止義務や守秘義務に関する誓約書の提出を求められたときも、対応方法について適切なアドバイスができます。
会社からの不当な要求に対する対応ができる
会社との関係が悪化したなかで退職を強行するような場合、会社から、嫌がらせ的に、損害賠償請求や懲戒解雇をほのめかされることもよくあることです。
弁護士による退職代行であれば、法律的な観点から、会社の主張が単なる嫌がらせなのか、本当に損害賠償請求や懲戒処分され得るものなのかを判断し、適切に対応することができます。
未払い残業代があれば支払請求ができる
弁護士であれば、退職した会社が、これまで残業代を支払ってくれていないような場合は、退職後、そのまま残業代請求を行うことも可能です。すでに退職代行を依頼していますから、再び重い腰を上げて、残業代請求のために新たに弁護士を探す必要はなく、時間的にも、精神的にも負担が軽減できます。
まとめ
これまで解説してきたとおり、退職を申し入れた際に起きると思われがちなトラブルは、実際に起きるケースは少なく、仮に起きてしまったとしても交渉により解決できることが多いです。
そして、弁護士に退職代行を依頼すれば、退職にまつわるさまざまな交渉を、あなたに代わり一手に引き受けてもらえます。退職に関する不安も、きっと解消されることでしょう。
アディーレ法律事務所では、退職代行や残業代請求に関するご相談は何度でも無料です。退職代行の利用をご検討されている方は、ぜひお気軽にお問合せください。
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※現在アディーレでは、残業代請求を含む労働トラブルと、退職代行のみご相談・ご依頼をお引き受けしております。 残業代請求と退職代行に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せください。
監修者情報
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資格
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弁護士、行政書士(有資格)、華語文能力試験高等(台湾)
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所属
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東京弁護士会
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出身大学
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早稲田大学第一文学部、台湾大学大学院法律研究所、早稲田大学大学院法務研究科
人が法律事務所の門を叩くときは、どんな時でしょうか。もちろん個人によってさまざまなご事情があるでしょうが、人生において何か一つ区切りをつけて新たな出発をしたいと強く願っている点では、共通していると思います。先行きの見えないこんな時代だからこそ、その出発が希望に満ちたものでありますように。そのお手伝いをさせていただくことこそが弁護士の役割だと思っております。