監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 青山学院大学法学部,専修大学法科大学院
弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。
退職代行に関するコラム
公開日: 更新日:
「退職届を出しても受け取ってもらえない…。早く辞めたいのに、いったいどうすればいいの!」
このように困っている方はいらっしゃいませんか。
今回のコラムでは、会社に退職届を受け取ってもらえないときの対処法をはじめ、退職時に想定されるトラブルとその対応方法もご紹介いたします。
「早く退職したいのに!」というお気持ちもよくわかります。しかし、無理に辞めようとしてトラブルに巻き込まれてしまっては、元も子もありません。ぜひ本コラムを参考にしていただければと思います。
退職届を受け取ってもらえないとき、具体的には何をどうすればいいのでしょうか?
退職するためには、「そもそも退職届の受理が必須なのか?」という点と併せて、早速対処法をご紹介しましょう。
従業員から退職届が提出されると、会社は従業員の退職を食い止めるため、受取りを拒否する場合があります。
しかし法律上、会社は従業員から退職の意思表示をされた場合、これを拒否することはできず、同様に、退職届の受取りを拒否することもできません。
この点に関しては、雇用形態によって違いがありますので、詳しく説明いたします。
期間の定めなく雇用されることを「無期雇用」といい、一般的には正社員がこれにあたります。
正社員の場合、民法第627条1項の効力により、退職の申入日から2週間経過後に退職となります。退職届を出すということは、その行為自体が退職を申し入れたのと同じです。そして、退職申入れは、労働者からの一方的な通知ですから、会社が退職届を受理しようがしまいが関係ありません。退職届を提出して2週間経過したときが退職日となります。
ただ、法律上は確かにそうなのですが、実際にはうまくいかないこともあります。
たとえば、上司から「そのあと話し合って、結局もう少し頑張ってみるということになった」とか、「本人が退職届を取り下げた」などと言われて、事実上、退職の申入れ自体がなかったことにされてしまう場合もあるのです。
一方で、パートや派遣社員のように期間の定めのある雇用を「有期雇用」といいます。
この場合、先ほどお話しした「退職申入日から2週間経過後に辞められる」という民法の規定は適用されません。原則として、期間満了まで退職が制限されます。
とはいえ、ほとんどの会社は、本気で辞めたがっていることがわかれば、働く気がなくなってしまった社員を雇っておく意味は薄いので、退職を認めてくれる場合がほとんどです。
しかし、正社員同様、退職届を受理されない場合には、次にご紹介する方法を実践してみましょう。
退職届を手渡ししようとしても、きちんと受理してもらえない場合には、郵送やFAX、メールなど、退職申入日が証拠となって残るかたちで、退職届を提出することをおすすめします。
郵送する場合は、配達証明付き内容証明郵便にしましょう。内容証明とは、いつ、いかなる内容の文書が、誰から誰あてに差し出されたのかということを、差出人が作成した謄本(原本の全部の写し)によって日本郵便が証明する制度です。また、配達証明とは、会社が書面を受け取った日時や受け取った事実を証明するものです。
仮に、会社が内容証明郵便の受取りを拒否したとしても、退職の意思表示が到達したものとして判断される可能性が高いです。
それでも心配な方は、法律事務所に依頼して弁護士から退職通知書を出してもらう、という方法もよいでしょう。
ご説明したように、民法では、無期雇用の場合は退職申入日から2週間後に退職できると規定されています。また憲法でも、奴隷的拘束の禁止(18条)、職業選択の自由(22条)が保障され、労働者には「退職の自由」が認められているのです。
しかし、いくら法的に問題がないとはいえ、上司や会社側の反発を無視して退職を強行した場合、何らかのトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
そこで次は、退職時に揉めてしまいがちなトラブルについて、それぞれ見ていきましょう。
退職を強行し、業務の引継ぎをきちんとしなかった場合、業務に支障が生じたとして、会社側から損害賠償請求されることがあります。
たとえば、自分しか知らない情報を有する営業職の方が、引継ぎせずに退職したことで、会社が大切な顧客や大口取引を失ったような場合です。ほかにも、あなたが医師などの国家資格や職人的技術を持った方で、代替人員を確保することが難しく、会社としてもあなたが一定期間在職してくれることを前提にシフトを組んでいる場合などにも、退職を強行しようとすると損害賠償請求をされる可能性があるでしょう。
また、有期雇用で、会社としても労働者が期間満了までは在職してくれることを前提に業務計画を立てているような場合にも、損害賠償請求をされることはあり得ます。
本当に訴訟提起までしてくることは、決して多くありませんが、退職申入れの直後は、会社側も感情的になっています。そのため、単なる嫌がらせ目的で、「損害賠償請求をする」と言ってくることがあるのです。
退職届を提出したものの、上司や会社から受取りを拒否され、結局、退職申入れの事実があったかどうかが曖昧になったまま出勤するのをやめてしまった場合、それが無断欠勤であるとして、懲戒解雇されてしまう場合があります。
懲戒解雇となれば、当然経歴に大きな傷が付きますし、転職活動にも影響がでてしまうかもしれません。
このような事態を避けるためにも、退職申入れを曖昧なかたちで終わらせてしまうことにはリスクがあります。先ほどご紹介したように、証拠の残るかたちで、確実に相手方に提出することをぜひ心がけましょう。
「キミに突然辞められて、会社には損害が生じた。その損害賠償と最終給料とを相殺させてもらう」などといって、会社が退職申入れ後の給料を支払ってくれないことがあります。
法律上、このようなことは許されないのですが、最終賃金の振り込まれない貯金通帳を眺めながら、泣き寝入りする方が多いのもまた事実です。
退職届を提出したものの、上司や会社から受取りを拒否され、結局、退職申入れの事実があったかどうかが曖昧になってしまった状態で、会社に対して、有給休暇の申請をした場合、会社から時季変更権を行使されて、有給申請を承認してもらえない場合があります。
「今有給を使われると業務に支障が出る。そもそも辞めていくような社員に有給休暇は出さない」などといって、嫌がらせを受けることがあり得るでしょう。
離職票は、失業保険の受給に必要ですし、転職先から提出を求められることもある大切な書類です。
しかし、退職届の受取りを拒否されているような場合は、「辞めるとは聞いていない」として、会社から離職票の発行を拒否されることがあります。
これでは、失業保険の受給は進みませんから、就職先が見つかるまで金銭面の負担が大きくなってしまうでしょう。
「仮に退職できても、そんなトラブルに巻き込まれたくない…!」
ここまでの説明を聞かれて、そのように思う方も少なくないかと思います。
では、そういったトラブルを回避し、なおかつスムーズに退職できる方法はないのでしょうか?
結論としては、「弁護士に退職代行を依頼する」という方法があります。
まず、「退職代行」という言葉をご存じない方のために軽くご説明します。退職代行とは「本人の代わりに、上司や会社へ退職の意思を伝えてくれるサービス」のことです。
退職代行自体は、「民間の業者」でも行っているサービスです。では、なぜ“弁護士に”退職代行を依頼すべきなのでしょうか?
すでにお話ししてきましたように、退職を行う際、労働者は会社からさまざまな不利益を受けることがあります。
そのような場合に、民間の退職代行業者は、会社に反論したり交渉したりすることができません。これは弁護士法で定められていることです。
一方、弁護士であれば、退職時に仮にトラブルが起きたとしても対応ができます。豊富な知識と経験をもとに、有給休暇の消化交渉や、損害賠償請求に対する反論など、あなたに代わって行ってくれるのです。
退職に際して、「会社と揉めそうだ…」、「うちは意地悪な会社だから、いろいろと嫌がらせをしてくるに違いない…」といったご不安がある方は、弁護士による退職代行サービスを利用されたほうがずっと安心できるはずです。
では最後に、アディーレに退職代行をご依頼いただいてから、退職完了までの流れをご紹介します。
詳しい内容は下記ページに記載しておりますので、退職代行を少しでもご検討されている方は、ぜひ参考にしていただければと思います。
労働者の退職申入れというのは、基本的に会社が拒否できるようなことではありません。
しかし、それでも会社が退職届を受理してくれないからといって、退職を強行することはおすすめできません。会社の対応次第では、さまざまな不利益を被ることがあるでしょうし、そのせいで泣き寝入りせざるを得ないこともあるでしょう。
退職は、ご本人にとって大きな影響がある出来事ですから、慎重に対応すべきです。
だからこそ、弁護士による退職代行サービスをご利用いただければと思います。弁護士であれば、退職にまつわるさまざまな交渉を、あなたに代わり一手に引き受けてくれます。退職に関する不安も、きっと解消されることでしょう。
またアディーレ法律事務所では、退職代行サービスだけでなく、「残業代請求」を行うサービスも取り扱っております。未払いの残業代に心当たりがある方は、ぜひ退職代行と併せてご検討ください。
退職代行や残業代請求に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せいただければと思います。
弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。
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