退職代行に関するコラム

退職代行を利用して会社を辞めても未払いの給与は取り戻せる?弁護士が解説

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退職代行を利用して退職したいとお考えの方のなかには、「支払い予定日を過ぎているのに、勤務先から支払われていない給与(月給や賞与など)がある」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、退職代行を利用すると、「会社と余計に揉めて、受け取れていない給与をもらえなくなってしまうのではないか?」、「退職後に支払われるべき給与を支払ってもらえなくなるのではないか?」と心配されているのではないでしょうか。実際には、弁護士に退職代行を依頼することで、未払いの給与はきちんと請求できます。

この記事では、弁護士に退職代行を依頼するメリットや、退職代行を利用する際の注意点を解説します。

今回の記事でわかること
  • 退職代行を利用しても未払いの給与は支払われる
  • 弁護士に退職代行を依頼するメリット
  • 退職代行を利用する際の注意点
目次
  1. 退職代行を利用して会社を辞めても未払いの給与は取り戻せる
    1. そもそも未払い給与を取り戻すのに、退職の方法は関係ない
    2. 退職代行を頼める事業者などについて
      1. ①民間の代行業者
      2. ②労働組合
      3. ③弁護士
  2. 弁護士に退職代行を依頼するメリット
    1. 未払いの給与を支払うよう会社に請求してもらえる
    2. 未払いの残業代がある場合には会社に請求してもらえる
  3. 退職代行を利用する場合の注意点
  4. まとめ

退職代行を利用して会社を辞めても未払いの給与は取り戻せる

退職代行を使うと、勤務先と余計に揉めてしまい、「未払い給与や退職後の給与が支払われなくなるのではないか」とご不安な方もいらっしゃるかと思います。しかし、退職代行を使ったからといって、勤務先が給与の支払義務を免れるわけはありません。

むしろ、弁護士に退職代行を依頼すれば、退職申入れとともに、未払い給与や退職後の給与をきちんと支払うよう法律に基づいて勤務先と交渉してくれます。つまり、ご自身で対応するよりも、給与をきちんと支払ってもらえる可能性を高められるのです。

そもそも未払い給与を取り戻すのに、退職の方法は関係ない

労働基準法第24条では、「賃金は、労働者に、その全額を支払わなければならない。賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」とされています。したがって、自身で退職を申し入れる場合でも、弁護士に退職代行を依頼する場合でも、使用者は労働者に対して、働いてもらった分の賃金を支払う義務があるのです。退職代行を使っても、勤務先が給与を支払う義務は消滅することはありません。

退職代行を頼める事業者などについて

現在、退職代行を請け負っている事業者には大きく3つあります。①民間の退職代行業者、②労働組合、③弁護士です。それぞれに特徴がありますので、見ていきましょう。

①民間の代行業者

弁護士などの国家資格はなく、株式会社や個人事業主による代行業者です。法的な専門知識や資格をもっているわけではなく、事実上、勤務先と法的な交渉をすることは困難です。
また、弁護士法第72条では、「弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して、代理その他の法律事務を取り扱うことができない」とされています。つまり、弁護士資格のない民間の代行業者が退職について勤務先と何らかの交渉を行うことはそもそも「違法」です。そのため、勤務先が「違法な業者と話はできない」として退職交渉に応じてくれないおそれがあります。

②労働組合

最近、増えてきた形態です。もともと民間の代行業者が「労働組合」と名乗り退職代行を行っているケースもあるようです。

労働組合法では、労働組合とは「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体またはその連合団体」のことを言うとされています(第2条)。また、労働組合法第5条では、「労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第2条および第5条2項の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を与えられない」とされています。

上記のとおり、労働組合とは労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的とした組織です。そのため、労働者の退職代行を行うことが労働組合の本来の使命といえるのか疑問があります。労働組合への退職代行の依頼を検討されている方は、少なくとも、依頼する労働組合が労働組合法第2条と第5条2項の要件を満たす「法適合組合」であるかどうか確認することをおすすめします。

③弁護士

弁護士法第72条で、「弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して、代理その他の法律事務を取り扱うことができない」とされていることの裏返しとして、弁護士は、すべての法律業務を行うことができます。つまり、弁護士は、勤務先と退職の交渉ができるのはもちろん、以下のような、退職に関連するあらゆる対応を適法に行えます。

  • 未払い給与や残業代の支払い交渉
  • 退職金の請求
  • 離職票などの退職書類の請求
  • 相手方からの損害賠償請求に対する交渉

弁護士が労働者側の代理人となっていれば、それだけで勤務先も法律にしたがって対応してくれることが多いです。

弁護士に退職代行を依頼するメリット

労働者にとって、給与は生活の糧であり、仕事をする主な目的です。そのため、働いた分の給与をきちんと支払ってもらうことは極めて重要です。
しかし、あなたが勤務先に何も言わず、突然退職(いわゆる「飛ぶ」)すれば、勤務先はそれまでの給与を支払わないおそれがあります。また、勤務先の不都合な時期に退職した場合、勤務先が嫌がらせとして給与を支払わないことも考えられます。

そのようなトラブルを防ぐためにも、弁護士に退職代行を依頼してきちんと退職手続をするのがよいでしょう。弁護士に退職代行を依頼すれば、以下のようなメリットもあります。

未払いの給与を支払うよう会社に請求してもらえる

法律に基づいて、未払い給与の支払い請求ができるのは、弁護士に退職代行を依頼する大きなメリットといえるでしょう。

労働基準法第23条では、「使用者は、労働者の退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、7日以内に賃金を支払わなければならない」とされています。つまり、給与支給日が退職後7日以内に到来しない場合でも、労働者が希望すれば、勤務先は退職後7日以内に給与を支払う義務があるのです。

また、賃金の支払いの確保等に関する法律第6条では、下記のとおり定められています。

事業主は、その事業を退職した労働者にかかる賃金の全部または一部をその退職の日(退職の日後に支払い期日が到来する賃金にあっては、当該支払い期日)までに支払わなかった場合には、当該労働者に対し、当該退職の日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該退職の日の経過後まだ支払われていない賃金の額に年14.6%を超えない範囲内で政令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

つまり、使用者は、退職後の賃金の支払いが遅れた場合、通常よりも高い遅延利息を支払う義務があります。

弁護士は、このような法律に基づき、勤務先に対して未払い給与を支払うように請求します。弁護士から請求を受ければ、通常、相手方は請求に応じなければ法的対応を取られることを意識するでしょう。そのため、きちんと未払い給与を支払ってもらえる可能性が高くなるのです。

未払いの残業代がある場合には会社に請求してもらえる

弁護士に退職代行を依頼すれば、未払い給与の請求はもちろん、在職中の未払い残業代も併せて請求できます。

未払いの残業代が発生している場合、在職中に勤務先へ請求することは、心理上困難かもしれません。しかし、退職後であれば、もう勤務先と関わることがなくなるため、未払い残業代を請求することに不都合はなくなるのではないでしょうか。

退職代行と併せて未払い残業代請求をし、よりスムーズに退職手続ができるのも、弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

退職代行を利用する場合の注意点

弁護士以外にも、退職代行サービスを提供している民間業者や労働組合がありますが、これらの業者が法律の知識を持っているのかはわかりません。そもそも民間の代行業者が退職に関する「交渉」を行うことは違法であり許されませんし、かえって勤務先とトラブルを生じさせてしまい、事態が悪化するおそれがあります。また、民間の代行業者の場合、勤務先が交渉のテーブルについてくれず、話がまったく進まないこともありますので、注意が必要です。

しかし、弁護士であればそのような心配はいりません。法律知識を適切に使って、有給消化など、依頼者がより有利な形で退職できるように勤務先と交渉できますし、未払い給与や残業代の請求も可能です。このように、退職代行は最初から弁護士に依頼したほうが安心でしょう。

まとめ

弁護士に退職代行を依頼すると、「勤務先が怒って未払い給与を支払ってくれなくなるのではないか」と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろその逆です。

弁護士に依頼すれば、労働基準法などに基づいて、適切に、未払い給与を支払うよう勤務先と交渉します。そうすることで、自身で対応するよりも、勤務先が未払い給与を支払う可能性は高くなるのです。また、弁護士に退職代行を依頼すれば、未払い給与だけでなく、未払い残業代も併せて請求できます。

アディーレでは、退職代行と残業代請求を併せて依頼される場合、退職代行の弁護士費用は、獲得できた残業代からお支払いいただく後払いです。そのため、ご依頼時には費用をご用意いただく必要がありません。アディーレに退職代行をご依頼いただく場合は、ぜひ、残業代請求も併せてご検討ください。

監修者情報

重光 勇次
弁護士

重光 勇次

しげみつ ゆうじ
資格
弁護士,応用情報技術者,基本情報技術者,2級知的財産管理技能士,ビジネス著作権検定上級(AdvancedLevel)
所属
神奈川県弁護士会
出身大学
同志社大学法学部,同志社大学法科大学院

弁護士になってから,さまざまな方のご相談を受けてまいりました。その中で,「先生に話を聞いてもらって,とにかく気が楽になった」という方や,「心配に思っていた点が実はそんなに心配するようなことではないとわかって,安心した」という方がたくさんいらっしゃいました。不安に思われている点や悩みを解決したい方は,とにかく気軽に弁護士にご相談ください。あなたの立場にたって,親身にかつ真摯にお話をお聞きします。

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