退職代行を弁護士に依頼するメリット
退職代行を弁護士に依頼するメリットは大きく4つあります。
そもそも退職の意思を伝えるだけで何の問題もなく退職できるのであれば、退職代行を依頼する必要性は低いでしょう。
退職代行を検討する場合、たとえば、残業代の未払いや過剰な引継ぎ業務の要求など、何らかの労働トラブルが伴っていることも大いにあり得ます。その場合は、民間の代行業者では対応できないことばかりです。
弁護士なら、そういった問題に対しても、法律に基づきながら解決に導いてくれます。費用面のバランスを考えても、大いに検討する価値があるといえるでしょう。
1.さまざまな手続について交渉してくれる
弁護士に退職代行を依頼する最初のメリットは、退職に関わるさまざまな手続について、法律的な視点から、依頼者にとって有利になるよう交渉してくれることです。
次に説明する手続は、退職に関して特に重要な手続となりますので、一つずつ見ていきましょう。
退職そのものや有給消化について
自身で退職の意思を勤務先に伝え、有給消化を加味したうえで希望どおりの日付に退職できればそれに越したことはありません。
しかしなかには、「退職の申し入れから3ヵ月経過しないと退職は認めない」、「有期契約なので、契約期間が満了するまで退職は認めない」、「有給消化は認めない」などと強硬に主張してくる企業もあります。
このような場合、弁護士であれば、法律に基づき適切に反論・交渉を行うことができます。そもそも無期契約であれば、仮に勤務先が同意しなくとも、退職の申し入れ後、2週間経過することで退職の効果が発生する旨を主張できます。有期契約の場合でも、退職について「やむを得ない事由」があると主張し、即時の退職を求めることができます。
有給については、法定の要件を満たせば取得する権利が発生し、これを行使することは労働者の当然の権利であることを主張して、依頼者の方の希望どおりとなるよう交渉します。
また、なかには勤務先と退職の可否や有給消化について、話合いで解決できないケースもあります。その場合でも、弁護士であれば、裁判を起こして法的に終局的な解決を図ることができるので、いざというときも安心して任せることができるのです。
離職票などの退職書類について
退職するにあたっては、勤務先から労働者に対して渡されるべき書類がいくつもあります。
たとえば、「雇用保険被保険者離職票」、「健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書」、「源泉徴収票」、「退職証明書」などです。特に、離職票は失業手当を受給するために必要ですし、源泉徴収票や退職証明書といった書類は転職先から提出を求められることがあります。
ところが、勤務先との関係がうまくいっていない場合、そういった書類をもらえないことがあり得るでしょう。
その場合でも、弁護士に依頼をしていれば、法的根拠を示しながら書類の発行を求めていくことができます。弁護士が交渉することで、渋る勤務先からこれらの書類をスムーズに渡してもらえる可能性を高めることができるのです。
貸与物や私物の返還について
退職時には、勤務先から借りているものを返却する場合や、逆にお客さまが勤務先においている私物を返還してほしいといった場合があります。
勤務先からの貸与物については、後日トラブルにならないように、まずは返却すべき物を勤務先に確認したうえで、適切な方法とタイミングで返却しなければなりません。その際、勤務先とは返却の要否や返却方法などについて、諸々の交渉が必要になることもあります。弁護士に依頼をすれば、そういった交渉を代行してもらうことも可能です。
また、最終出勤時に勤務先においたままにした私物を返してほしい場合も、弁護士が勤務先にその旨を伝えて、返還を求めることができます。もし直接受け取りに行けない事情があれば、たとえば、依頼者の方の自宅宛に郵送するよう勤務先に求めるなどの対応もしてくれるでしょう。
業務の引継ぎや損害賠償請求について
退職の際、勤務先から業務の引継ぎを求められることがあります。なかには、勤務先から求められた引継ぎ内容が曖昧で労働者からすると何をすればいいのかわからなかったり、およそ不可能だと思われるような引継ぎを求められたりする場合もあり得ます。また「引継ぎをしなければ、損害賠償を請求する」などと脅してくるようなケースもあります。
弁護士であれば、何をどのようにして引継ぎさせたいのか、明確に提示するよう勤務先に求めてくれますし、対応可能な方法や範囲内での引継ぎ内容となるように交渉してくれるでしょう。
ほかに、勤務先が損害賠償請求をしてきた場合も、法律に基づいて交渉し、不当な請求を防ぐ、といったことも弁護士であれば可能です。
2.退職に関するやり取りや精神的な負担が減る
以上解説してきたように、退職代行を弁護士に依頼することで、退職の意思表明はもちろん、退職に関するさまざまな手続を代理で行ってもらえます。
退職代行を検討されている方は、勤務先との関係がうまくいっていないことも多いでしょう。そういった場合でも、弁護士を介してあらゆる手続や交渉が完結すれば、退職に関するやり取りの手間や精神的な負担を減らせます。
アディーレ法律事務所の退職代行なら、誰とも会うことなく、メールや電話でのやり取りで、迅速に退職手続を進められます。また貸与品などがある場合も、基本的には郵送での返却で問題ありません。「上司や同僚と顔を合わせづらい…」、「もう出社したくない…」といった悩みを抱えている方は、ぜひご検討ください。
3.未払い残業代など金銭面の問題を交渉してくれる
もし今まで残業代が支払われていなかった方は、退職を機に、未払い残業代の請求も行ないたいとお考えになるかもしれません。また、「勤務先が嫌がらせをして、給料や退職金、積立金などをきちんと支払ってくれないのではないか」という不安を抱えている方もなかにはいらっしゃるでしょう。
こういった金銭面の問題についても、弁護士であれば制限なく勤務先と法的な交渉をすることが可能です。
勤務先にこれらの金銭の支払い義務があると認められる場合、法律に基づき、適切な支払いに向けて交渉していくことができるのです。弁護士から法的根拠をもって請求することにより、勤務先にとっては強いプレッシャーとなりますので、スムーズに支払われる可能性を高めることができます。
また、どうしても相手方が任意で支払わない場合には、裁判を起こして強制的に支払わせるという方法も検討できます。弁護士から請求された場合、最終的に訴訟になるかもしれないという心理的プレッシャーを勤務先に与えることができるため、より効果的な交渉ができるという面もあるのです。
アディーレ法律事務所では、退職代行にあわせて、未払い残業代の請求もセットで受け付けております。その場合、退職代行の基本費用と残業代請求の弁護士費用は、回収できた残業代のなかから、まとめて後払いでのお支払いが可能です。退職代行の初期費用が気になるお客さまでも、ご依頼いただきやすい費用体系となっておりますので、ぜひご検討ください。
4.法律に違反する心配がない
今まで解説してきた、退職に関する交渉や未払い残業代の請求ですが、もし民間の代行業者が行うと、それは「非弁行為」といって実は法律に反する可能性があるのです。
たとえば、「退職の意思を勤務先に伝える」、「退職届を勤務先に届ける」といった内容だけであれば、違法となるリスクは低いかもしれません。
しかし、未払い残業代の請求はもちろんのこと、退職日の調整や引継ぎ内容の話合いなど、何かしらの交渉を伴う場合は、違法となる可能性が高いです。
仮にそういった代行業者に依頼し,その業者がいい加減な交渉を行ったせいでトラブルが拡大したり、非弁行為を行ったとして逮捕されたりした場合には、その依頼者が警察から事情聴取を受けるなどのリスクが発生します。
その点、弁護士なら何の心配もすることなく任せることができますし、法律知識に基づき交渉を有利に進めてくれるため、依頼するメリットは大きいといえるのです。