不当解雇に関するコラム

不当解雇の相談は労働基準監督署にするべきではない?その理由とは?

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不当解雇をされたとき、なかには「労働基準監督署に相談しよう」と考える方もいらっしゃるでしょう。
確かに、労働基準監督署では労働問題の相談を受け付けていますが、あなた個人のために動いてくれる可能性はほとんどありません。

そこでこのページでは、不当解雇について労働基準監督署に相談するとどうなるかについてまずご説明します。また、労働基準監督署以外の相談先や、相談以外にすべきことなどについても解説いたします。
「不当解雇をされて、どうすればいいのかわからない…」という方はぜひ参考になさってください。

今回の記事でわかること
  • 労働基準監督署の役割と相談すべき内容
  • 労働基準監督署以外の相談先
  • 労働基準監督署への相談以外にすべきこと
目次
  1. 不当解雇について労働基準監督署に相談したらどうなる?
  2. 労働基準監督署が動く場合の流れと会社に与える影響
  3. 労働基準監督署以外なら不当解雇の相談はどこにすべき?
  4. 不当解雇と感じたら、労働基準監督署への相談以外にすべきこと
  5. 不当解雇は最終的にどうやって解決する?
  6. 不当解雇でお困りならアディーレへ

不当解雇について労働基準監督署に相談したらどうなる?

結論からいえば、労働基準監督署に不当解雇について相談しても、納得のいく問題解決は期待できないでしょう。
なぜなら、労働基準監督署は裁判所のように「この解雇は無効です」といった判断はしてくれませんし、弁護士のように会社と代わりに戦ってくれるわけでもないからです。

労働基準監督署について、以下でさらに詳しく見ていきましょう。

労働基準監督署の役割

労働基準監督署は、管轄する地域の会社が労働基準法などの法令をきちんと守っているかどうかを監督するための機関です。また、労働問題についての相談も無料で受け付けています。
しかし、会社への指導や勧告を行うことも労働基準監督署の重要な役割ですが、それは労働基準法、労働安全衛生法といった、労働関係について使用者に対し公的規制を定める法令が問題とされる場合に限られます。つまり、労働基準監督署は、使用者と労働者との間でトラブルが生じれば、いかなる事案でも指導や勧告ができるとはされていないのであり、民事上のトラブルには介入できないのです。

不当解雇の事例は、労働基準法などの使用者に対する公的規制を定める法令ではなく、労働契約法第16条が問題とされることが多いのであり、それは労働基準監督署が介入できない民事上のトラブルに該当します。
労働基準監督署に不当解雇の相談をしても具体的な解決に至ることが少ないのは、そういった背景があるのです。

労働基準法と労働契約法の違い

では、労働基準法と、先ほど出てきた労働契約法とは具体的に何が違うのでしょうか。

まず労働基準法とは、会社が労働者を雇用する際に最低限守らなければならない労働基準について定めた法律です。
具体的には、主に以下のような内容について定めています。

  • 賃金の支払い
  • 労働時間
  • 休暇や休憩時間
  • 時間外労働や休日労働
  • 解雇予告
  • 災害補償 など

一方、労働契約法は、会社と労働者の間で結ばれる契約などについて、基本原則や民事上のルールを規定した法律です。労働基準法に比べると、より個別具体的な内容について定めている点が異なります。
たとえば、労働契約はどういった場合に成立するのか、解雇はどういった場合に無効になるのか、などです。

2つの違いについて、簡単にまとめるとすれば、労働基準法は「行政と会社の間のルール」で、労働契約法は「会社と労働者の間のルール」であるといえるでしょう。
また、労働基準法によって定められた内容は労働者への影響が大きいため、守られなかった場合には罰則が科せられますが、労働契約法に違反してもそのこと自体に罰則はなく、改めて民事上の責任が問われる点も異なっています。

労働基準法と労働契約法の違い

不当解雇について労働基準監督署に相談すべき内容

労働基準監督署に不当解雇について相談するのであれば、以下のような内容にすべきでしょう。

  • 解雇予告手当が支払われないまま即日解雇された
  • 解雇理由に関する証明書の発行を依頼しても受け付けてもらえない
  • 業務上のケガを治療するために休業していたが、その期間中に解雇された
  • 産前産後の休業期間中に解雇された

上記のようなケースは、いずれも労働基準法違反となります。
労働基準に関するトラブルであれば、労働基準監督署が会社への指導や勧告を行ってくれる可能性があります。

とはいえ、基本的には労働者一個人の問題解決を行う機関ではないため、上記について相談したからといっても、すぐに対応してくれることは期待しないほうがいいでしょう。

なお、不当解雇についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページも併せてご覧ください。

労働基準監督署が動く場合の流れと会社に与える影響

不当解雇について相談しても、労働基準監督署が不当解雇ということで解雇を無効とする方向で動いてくれるのは、業務上のケガを治療するための休業期間中に解雇された、産前産後の休業期間中に解雇されたという労働基準法違反の事案に限られるでしょう。仮に労働基準監督署が動くことになった場合、基本的に以下のような対応が行われます。

  1. 会社への調査
  2. 指導や勧告
  3. 刑事手続

以下でそれぞれご説明します。

会社への調査

労働基準監督署は、会社に労働基準に関する労働基準法違反の疑いがあれば、必要に応じて会社への調査を行います。
具体的には、代表者や労働者に対して聞き取り調査を行ったり、労働基準監督官が会社の事務所に立ち入って、関係する資料などの提出を求めたりします。

指導や是正勧告

調査の結果、法令違反までは認められないものの、改善が望ましいとされる場合、労働基準監督署は改善事項を記載した指導票を会社に対して交付します。
法的な拘束力まではありませんが、会社は実際に改善を行ったかどうか報告することが望ましいとされています。

一方、法令違反が認められた場合は、会社に対して「是正勧告書」を交付します。指導票よりも効力が強いため、会社は実際にどのような是正・改善をしたのか、その具体的内容を是正(改善)報告書に記載して労働基準監督署に提出しなければなりません。

刑事手続

是正勧告をされた会社がいつまでも改善を行わず、労働基準法等の違反の状態が重大かつ悪質な場合には、労働
その結果、代表者などが逮捕されたり、会社が捜索・差押えを受けたりする場合がありますし、罰金刑や懲役刑などの制裁を受けることもあるでしょう。

ただし、刑事手続が開始されるような事態は稀です。不当解雇について相談したからといって、労働基準監督署がそこまで対応してくれることはほとんどないといえるでしょう。

労働基準監督署以外なら不当解雇の相談はどこにすべき?

労働組合

会社に労働組合がある方は、組合に相談することで、問題解決に繋がる可能性があります。また社内に労働組合がない方でも、ユニオンや合同労組と呼ばれる労働組合であれば加入することができるため、そちらを利用されてもよいでしょう。
ご自身が組合に加入していれば、解雇に関する相談も受け付けてもらえます。

労働組合は、労働者の権利を守るために組織された団体であり、団体交渉によって解雇の撤回や復職などを会社に求めることが可能です。
もちろん、交渉が必ずまとまるわけではありませんが、会社は団体交渉を拒否することができないため、少なくとも不当解雇について会社側と話し合う機会を得られます。

弁護士

不当解雇について具体的な解決を求めるのであれば、弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士であれば、労働者の方の代理人として、会社との交渉などを代わりに行ってもらうことができますし、労働審判や訴訟といった裁判所を通した法的手続の対応も任せることができます。
また、解雇期間中に未払いとなっていた賃金や、在職中に未払いとなっていた残業代など、金銭面の請求を代わりに行ってもらえる点もメリットです。

そもそも自分の解雇が不当解雇なのかどうかについて、法的観点から検討してもらうこともできるので、相談するだけでも疑問や不安が解消される可能性が高いといえます。

不当解雇と感じたら、労働基準監督署への相談以外にすべきこと

退職に合意していないことを明示する

不当解雇をされたという場合、相談以外にもするべきことがあります。
その1つは、会社に対して「解雇に納得できません」など、退職を受け入れないという意思表示を行うことです。

というのも、解雇を告げられた際、退職に納得していないということを明確に示しておかなければ、会社は「双方合意のうえで退職になった」とあとから主張してくることがあるからです。
また、退職届の提出や、退職合意書へのサインを求められた際にも、必ず拒否するようにしましょう。不当解雇について争う際、これらの書面が証拠となって、解雇ではなく、自主退職であったとか、合意退職であったと会社から主張され、非常に不利な状況となってしまうからです。

不当解雇の証拠を集める

不当解雇であることを客観的に証明できる証拠を集めておくことも必要です。
証拠がなければ、会社側はまともに取り合おうとしないでしょうし、弁護士などに依頼する場合も証拠がなければ、スムーズに交渉を進めてもらうことができないからです。

具体的には、以下のような証拠を準備しておきましょう。

  • 雇用契約書
  • 解雇通知書や解雇理由証明書
  • 人事評価書や勤務成績表
  • 就業規則や賃金規程
  • 給与明細
  • 解雇に関して会社側とのやり取りを記載した書面 など

なかには、会社に対して資料の開示や発行を請求しなければならない証拠もあります。しかし、不当解雇の発覚を恐れて会社が請求を拒否することもあるでしょう。
そのような場合には、無理に個人で対応せず、弁護士に依頼して代わりに請求してもらうことをおすすめします。

不当解雇は最終的にどうやって解決する?

不当解雇をされた場合、解決策としては「復職」と「金銭による解決」の大きく2つに分かれます。以下でそれぞれ見ていきましょう。

復職

不当解雇を争う場合、基本的には復職を目指して会社側と交渉することになります。
そのためには、解雇に法律上の正当性がなかったことを証明しなければなりません。解雇が不当なものだと証明できれば、雇用関係は続いていることになりますので、今までと同じように働くことができます。

会社側がどうしても復職を拒否する場合は、訴訟を起こして不当解雇であることを証明し、裁判所から判決を得ることになります。判決には法的拘束力があるため、たとえ会社が拒否しても、復職することが可能です。
ただし、訴訟を起こして判決を得るには1年以上かかることが多く、相応の費用も必要になります。一般の方だけで対応することも難しいため、慎重に検討したうえで行うようにしましょう。

金銭による解決

会社側が労働者に対して金銭を支払うことで解決する場合もあります。

不当解雇が認められた場合、労働者は復職できることになりますが、復職を希望しないケースも多いです。また会社側も、基本的に労働者の復職を望ましく思っていないため、両者の希望が一致して、合意退職というかたちを取ることがあります。

しかし、不当に解雇されたにもかかわらず、金銭的な補償がなければ労働者も納得しづらいため、「解決金」という名目で会社が金銭を支払うことにより、両者納得のうえ決着するというわけです。

不当解雇でお困りならアディーレへ

会社から突然解雇されてしまえば、何をすればいいのかわからなくなって当然です。そういった場合、まず状況を整理するという意味なら、労働基準監督署に相談することも有効な手段でしょう。
しかし、復職や金銭的な解決を望む場合は、ご説明してきたように、弁護士に依頼するべきだといえます。

アディーレなら、不当解雇に関するご相談は何度でも無料です。労働問題に詳しい弁護士が、法律的な観点からあなたにとって最適な解決策をご提案いたします。「不当解雇かどうかわからない…」という方でも構いませんので、まずは一度お問合せください。

監修者情報

山内 涼太
弁護士

山内 涼太

やまうち りょうた
資格
弁護士、応用情報技術者、基本情報技術者
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部、東京大学法科大学院

裁判に関するニュースに寄せられた、SNS上のコメントなどを見るにつけ、法律家が法的な思考をもとに下した判断と、多くの社会一般の方々が抱く考えとのギャップを痛感させられます。残念でならないのは、このようなギャップを「一般人の無知」と一笑に付すだけで、根本的な啓発もなく放置したり、それを利用していたずらに危機感を煽ったりするだけの法律家が未だにいることです。法の専門家として、専門知を独占するのではなく、広く一般の方々が気軽に相談し、納得して、法的解決手段を手に取ることができるよう、全力でサポートいたします。

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