不当解雇に関するコラム

不当解雇されたらどこに相談すべき?相談先ごとのメリット・デメリットは?

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不当解雇をされたときの相談先としては、労働基準監督署や弁護士などがあります。
ただし、相談先によっては、対応範囲やメリット・デメリットなどが異なるため、相談前にそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

今回の記事では、不当解雇をされたときの各相続先について詳しく解説します。相談時に手元にあるとよい証拠などについても解説しますので、会社から解雇されてお困りの方は、ぜひ参考になさってください。

今回の記事でわかること
  • 不当解雇の各相談先の特徴
  • 不当解雇の各相談先のメリット・デメリット
  • 不当解雇の相談の際にあると便利な証拠
  • 不当解雇の相談から解決までの流れ
目次
  1. 不当解雇の相談ができる窓口
    1. 労働基準監督署
    2. 労働局
    3. 労働組合
    4. 弁護士
  2. 労働基準監督署と弁護士の対応の違い
  3. 不当解雇を労働基準監督署などに相談するメリット・デメリット
  4. 不当解雇を弁護士に相談するメリット・デメリット
    1. メリット
      1. 不当解雇の見込みを判断してもらえる
      2. 会社と不当解雇を争うための準備を任せられる
      3. 復職や未払い賃金の獲得に向けて動いてもらえる
      4. 代理人として交渉や労働審判・訴訟も任せられる
    2. デメリット
  5. 不当解雇の相談をする際にあると便利な証拠
    1. 雇用条件や就業規則がわかる書類
    2. 解雇理由や解雇された事実がわかる書類
    3. 解雇に関するやり取りの証拠
  6. 不当解雇の相談から解決までの流れ
    1. 弁護士や総合労働センターなどに相談
    2. 会社と交渉
    3. 労働審判・訴訟
  7. 不当解雇の解決方法
    1. 解雇の撤回や復職
    2. 金銭的な解決
  8. 不当解雇のご相談ならアディーレへ

不当解雇の相談ができる窓口

労働基準監督署

労働基準監督署は、管轄する地域の会社が労働基準法などの法令をきちんと守っているかどうかを監督するための機関です。もし違反があれば、会社に対して指導や勧告を行います。

解雇に関する相談も無料で受け付けていますが、労働基準監督署自体が労働者個人の代理人になれるわけではありません。会社に対して勧告や指導を行ってくれる場合はありますが、個別に問題を解決してくれるわけでありません。

労働局

労働局は、労働基準監督署を指揮監督している機関です。労働基準監督署と同様に、「総合労働相談センター」が設置されており、不当解雇についても相談することができます。
ただし、基本的には労働者一個人の問題解決を行う機関ではないことに注意してください。

なお、労働局は紛争調整委員会によるあっせん制度の案内を行っています。
あっせんは、労働問題の専門家が介入することで双方の意見の調整を行い、紛争の解決を図る方法のことです。ただし、あっせんに応じる義務が会社側にあるわけではなく、会社が同意しなければ手続は打ち切られます。

労働組合

労働組合は、労働者の権利を守るために組織された団体です。会社に労働組合があり、ご自身が組合に加入していれば、解雇に関する相談を受け付けてもらえます。

また労働組合であれば、団体交渉を通して、解雇の撤回や条件改善を会社に求めることが可能です。そして、会社はこの団体交渉を拒否することができません。
もちろん、交渉が必ずまとまるわけでありませんが、問題解決に向けて前進できる可能性があります。

弁護士

弁護士は、ほかの相談先と異なり、労働者個人の代理人として問題解決にあたってくれる点が大きな特長です。
「不当解雇かどうか」や「バックペイを請求できる可能性」などについて、法的観点から検討してもらえるため、相談するだけでも疑問や不安が解決する可能性が高いといえます。

また不当解雇に限らず、未払い賃金や残業代の問題についても相談できますし、依頼をすれば、会社への請求まで代わりに行ってもらうことができます。

労働基準監督署と弁護士の対応の違い

労働基準監督署は、労働基準法などの法令を遵守するよう会社を監督する行政機関です。そのため、解雇予告手当の未払いといった労働基準法に関する違反があれば、必要に応じて会社に是正勧告を行います。

しかし、「あなたの解雇は無効です」といったような判断をしてくれることはありません。また、不当解雇の事例では、労働基準法などではなく、労働契約法という法律に反するケースが多くありますが、労働契約法違反を理由とした是正勧告は行なってくれません。

一方、弁護士は、法的知識に基づいて不当解雇かどうかの見込みを検討してくれます。弁護士に依頼すれば、不当解雇を争う際に必要となる証拠集めについてのアドバイスをしてもらえますし、会社との交渉や裁判関係の手続も代わりに対応してもらうことができます。

弁護士 労働基準監督署
役割 労働者の代理人として権利を実現 会社が労働基準法を守っているか監督・指導
会社との交渉や裁判 交渉・労働審判・訴訟にも対応 代理人としての対応不可
証拠集め 会社からの証拠開示など、証拠集めをサポート 立入調査などまで行うことは稀
費用 有料 無料

不当解雇を労働基準監督署などに相談するメリット・デメリット

労働基準監督署や労働局、労働組合に不当解雇の相談をするデメリットは、以下の点が挙げられます。

メリット

  • 労基署は労働関係の法律に詳しい職員に、無料で相談に乗ってもらえる
  • 労基署は労働基準法に関する違反があれば、会社に指導・勧告をしてくれる
  • 労働組合は会社との交渉を、労働組合が代わりに行ってくれる可能性がある

デメリット

  • 労働関係以外の法律にも精通した専門家ではない
  • 裁判所での手続を代わりに対応してくれるわけではない

労働基準監督署や労働局は行政機関であり、あくまでも管轄する地域の監督が目的です。特に解雇に関する問題の場合、会社に対して具体的な指導を行ってくれることはまずありません。
簡単なアドバイスが欲しいなどであれば、一度相談してみるのもよいですが、解雇の撤回や金銭的な解決を求める場合は弁護士に依頼すべきでしょう。

不当解雇を弁護士に相談するメリット・デメリット

メリット

不当解雇にあたる可能性を判断してもらえる

弁護士は法律を扱う専門家です。あなたの解雇が本当に正当なものといえるかどうかを、関連する法律や過去の判例に照らして検討してもらうことができます。

また、検討結果をもとに、会社と不当解雇について争うべきかのアドバイスを受けることもできるでしょう。

会社と不当解雇を争うための準備を任せられる

解雇を争うためには、解雇理由証明書や就業規則など、さまざまな資料を準備する必要があります。

弁護士なら、どんな証拠があれば、会社との交渉や裁判を有利に進めることができるのか判断することができますし、証拠な集め方についても熟知しています。

また、会社との交渉や裁判に備えて、相手の主張に対する反論を準備してもらうことも可能です。

復職や未払い賃金の獲得に向けて動いてもらえる

弁護士は、依頼者の方の代理人として会社と交渉し、解雇の撤回による復職や、解雇期間中の未払い賃金の支払いなどを求めます。

労働関係の法律に詳しく、交渉経験も豊富な弁護士が行うことで、より有利な条件で解決できる可能性が高まります。

代理人として交渉や労働審判・訴訟も任せられる

会社との交渉がまとまらない場合、労働審判や訴訟を行うことになります。しかし、裁判所を通した手続である労働審判や訴訟は、一般の方は普段経験することがありません。慣れない手続では負担が大きく、スムーズに進めることも難しいはずです。

ですが、弁護士に依頼すればそういった心配は必要ありません。豊富な法的知識と交渉経験を活かして、労働審判や訴訟の手続を代わりに進めてもらえます。

デメリット

弁護士に依頼する場合のデメリットは、相談料をはじめ、着手金や報酬金、実費など、さまざまな費用が発生する点です。

金額は、事務所ごとに事件の内容や、解決までの時間などによって異なりますので、事前に十分確認して、納得できる事務所へ依頼するようにしましょう。

不当解雇の相談をする際にあると便利な証拠

不当解雇の相談をする際には、解雇の状況を客観的に証明できる証拠があると、スムーズに相談を進めることができます。特に以下の書類は、あなたの雇用状況や解雇の経緯を理解するうえで重要です。

雇用条件や就業規則がわかる書類

雇用契約書、労働条件通知書、就業規則などは、あなたの雇用条件や会社のルールを示す重要な証拠となります。

これらの書類があれば、「解雇理由が会社のルールに違反していないか」、「解雇の手続が適切に行われたか」などの判断に役立てることができます。

解雇理由や解雇された事実がわかる書類

解雇理由は、解雇に正当性があったかどうかを判断する際の重要な情報となるため、相談に先立って把握しておくことが望ましいといえます。

解雇理由を特定するには、通常、解雇理由証明書が必要になります。もし交付されていない場合には、会社に請求しておきましょう。法律上、会社は解雇理由証明書の発行を拒むことはできません。

会社から解雇を通告された際に受け取った解雇通知書も重要です。会社が「労働者の自己都合による退職だった」などと後に主張してきた場合に備えて、解雇された事実を裏付ける証拠となります。

解雇に関するやり取りの証拠

解雇に至るまでの経緯や、会社側の対応がわかるような証拠があれば、できるだけ集めておきましょう。

たとえば、上司と解雇に関する話合いをした場合、そのときの音声や書面、メールなどがあれば、ぜひ手元に残しておくべきです。

ほかにも、退職するように繰り返し圧力をかけられていた場合や、解雇理由証明書の発行を拒否された場合は、その事実がわかる証拠があると、会社との交渉や裁判で役に立つ可能性があります。

不当解雇の相談から解決までの流れ

不当解雇の可能性がある場合、実際にはどのように解決していけばよいのでしょうか。

一般的な流れとしては、以下のようになります。

弁護士や総合労働センターなどに相談

まずは、弁護士などの専門家に相談し、状況を整理しましょう。解雇理由が妥当かどうか、法的に問題がないかなど、専門家の意見を聞くことで、今後の対応方針を決めることができます。

弁護士であれば、不当解雇かどうかの判断に始まり、より詳細な法的アドバイスや、今後の交渉や訴訟に向けた戦略などを検討することができます。

まずは状況を整理したいのであれば、労働基準監督署などに設置された総合労働相談センターなどを利用してもよいでしょう。ただし、解雇の撤回などの根本的な解決までは望めません。早期に解決を図るうえでは、遠回りな方法になってしまうおそれもあるでしょう。

会社と交渉

弁護士などから受けたアドバイスを踏まえ、十分に検討したうえで会社との交渉を行います。交渉では、解雇の撤回や未払い賃金の請求など、あなたの希望を伝えて会社との合意点を探ります。もっとも、会社には顧問弁護士や顧問社労士がついていて、会社にとって有利な交渉が進むよう、裏で助言していることも多くありますから、一労働者が直接交渉に臨むのは容易ではありません。

弁護士に依頼する場合は、あなたの代理人として、代わりに交渉をしてもらうことができます。弁護士には法的知識や豊富な交渉経験があるため、会社に言いくるめられてしまう心配もありません。

労働審判・訴訟

会社との交渉がまとまらない場合は、労働審判や訴訟などの法的手続に進むことになります。

労働審判は、簡易で迅速な紛争解決手続である点が特徴で、原則として3回以内の期日で結論が出されます。具体的には、審判官と労働審判員が、双方の主張を聞いたうえで調停案を提示します。双方が調停案に合意すれば、その内容で和解が成立します。

一方、訴訟は、裁判所に訴えを起こし、判決を求める手続です。裁判所が、双方の主張や提出された証拠に基づいて総合的に判断し、法的強制力のある判決を言い渡します。労働審判とは異なり、細かい部分まで審理を尽くす関係上、判決が出るまでに何年もかかることがあります。

不当解雇の解決方法

解雇の撤回や復職

解雇が不当なものである場合、もとの雇用関係はそのまま続いているということになります。会社に対して不当解雇であることを認めるよう交渉し、会社が合意すればもとの職場に復職することができます。

しかし、会社が復職を拒否するケースも少なくありません。その場合、訴訟を起こして裁判所に復職を命じてもらうことも可能です。ただし、訴訟には時間と費用がかかるため、弁護士とよく相談のうえ、慎重に進める必要があります。

金銭的な解決

解雇が不当であると認められた場合、解雇期間中に未払いとなっていた賃金を請求することができます。
この未払い賃金は「バックペイ」とも呼ばれ、解雇日から復職日までの期間が請求対象となります。

また不当解雇は、労働者の社会的な信用を失墜させたり、将来への不安を与えたりするなど、精神的につらい状況に追い込むことがあります。このような精神的な損害を補填するものとして、バックペイとは別に、慰謝料の請求が認められる場合もあります。
ただし、そのようなケースは少なく、認められる慰謝料の金額も少額であることがほとんどです。

不当解雇のご相談ならアディーレへ

不当解雇の問題は、あなたの生活や将来に大きな影響を与える可能性があります。そのため、問題解決には、専門的な知識と経験を持つ弁護士に相談することがおすすめです。

アディーレ法律事務所なら、不当解雇に詳しい弁護士が多数在籍していますし、ご相談は何度でも無料で受け付けています。
不当解雇で悩んでいる方は、一人で抱え込まず、まずはアディーレにご相談ください。

監修者情報

山内 涼太
弁護士

山内 涼太

やまうち りょうた
資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部、東京大学法科大学院

裁判に関するニュースに寄せられた、SNS上のコメントなどを見るにつけ、法律家が法的な思考をもとに下した判断と、多くの社会一般の方々が抱く考えとのギャップを痛感させられます。残念でならないのは、このようなギャップを「一般人の無知」と一笑に付すだけで、根本的な啓発もなく放置したり、それを利用していたずらに危機感を煽ったりするだけの法律家が未だにいることです。法の専門家として、専門知を独占するのではなく、広く一般の方々が気軽に相談し、納得して、法的解決手段を手に取ることができるよう、全力でサポートいたします。

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