労働トラブルコラム

不当解雇って何?正当な解雇との違いや不当解雇と思ったときの対処法を解説

公開日:

  • いきなり解雇を言い渡されて絶望している
  • 不当解雇にあったかもしれないけど、自分じゃ判断できない

このような経験をしたことはありませんか?
突然解雇を言い渡された場合、不当解雇にあたることがあります。しかし自分の解雇が不当解雇にあたるのか確信を持てず、泣く泣く今の生活を続けられなくなったという方もいると思われます。

もし不当解雇で悩んでいるのであれば、労働問題に詳しい弁護士に相談するべきです。しかし弁護士に相談するにしてもハードルが高く、まずは自分の解雇が不当解雇にあたるのかを確かめたいという方もいるのではないでしょうか?

本コラムでは、正当な解雇と不当解雇の違いを明確にしつつ、不当解雇の例をいくつか紹介していきます。

今回の記事でわかること
  • 不当解雇とは何なのか
  • 解雇が有効となるかどうかの判断
  • 不当解雇にあって困った場合の対処法
目次
  1. 不当解雇とは?
    1. 不当解雇の具体例
  2. 不当解雇になるかよく問題となる場合
  3. 労働契約法第16条による解雇の制限
    1. 具体例
      1. 労働者の義務違反を理由とする解雇
      2. 業務命令を理由とする解雇
  4. 自分の解雇が不当解雇かなと思ったら
  5. まとめ

不当解雇とは?

不当解雇とは、法律や就業規則で決められたルールを守らずになされた解雇のことです。

解雇とは、会社から労働者に対して労働契約を解約することを指しますが、労働者の地位を守るために法律でさまざまなルールが定められています。
また会社によっては就業規則に解雇のルールを定めている場合があります。
労働者の立場からして、会社から解雇されると仕事を失うことになり、生活に困ってしまうからです。

しかし、法律のルールを無視して解雇を言い渡されるケースがあり、それを不当解雇といいます。
法律上では、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇などの種類がありますが、本コラムでは普通解雇の不当解雇に焦点を当てて解説していきます。

不当解雇の具体例

法律上で、差別的な解雇の禁止、法律上の権利を行使したことを理由とする解雇の禁止が定められていますので、それらの具体例を見ていきましょう。

差別的な解雇の例としては、国籍・信条・社会的身分を理由とした解雇(労働基準法第3条)があります。
法律上の権利を行使したことを理由とした解雇の例には、育児・介護休業等の申し出・取得を理由とする解雇(育児介護休業法第10条・第16条)、公益通報したことを理由とする解雇(公益通報者保護法第3条)、労働基準監督署に法違反を申告したことを理由とする解雇(労基法第104条2項)などがあります。

以上のように差別的な解雇や法律上の権利を行使したことを理由とする解雇は法律で禁止されており、これらが理由となる解雇は不正解雇と言えるでしょう。

不当解雇になるかよく問題となる場合

差別的な解雇や法律上の権利を行使したことを理由とする解雇は、不当解雇であることが明らかです。
そのため、会社側もこのような理由で解雇を言い渡すことは多くないです。
会社としては明確に不当解雇と言えない理由で解雇してくるケースが多く、そのような場合によく不当解雇か否かと問題になります。
たとえば、労働者の義務違反、業務命令違反、能力不足などを理由とした解雇です。

労働契約法第16条において、解雇は客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とすると定められています。
そのため、会社が主張する解雇理由が事実なのか、事実である場合は解雇するに値するほど客観的で合理的な理由があるのか、解雇が一般常識で考えて妥当であると認められるかどうかが問題となります。

以下で労働契約法第16条による解雇制限を詳しく見ていきましょう。

労働契約法第16条による解雇の制限

労働契約法第16条の規定により解雇を行う場合は、以下の2点を検討することになります。

  1. 客観的合理的理由に基づくものかどうか
  2. 解雇が社会通念上相当であると認められるかどうか

検討の結果、2点の両方とも満たすと判断されれば解雇は有効とされます。
一方で2点のうちいずれかまたは両方が欠けると判断された場合の解雇は有効になりません。

事案によりますが、裁判等では客観的で合理的な理由があるとされても、労働者の生活に多大な影響を与える解雇という手段については、一般的な常識から逸脱している(社会通念上相当ではない)と判断する傾向があるように思います。

具体例

不当解雇の具体例について、2件見ていきましょう。

労働者の義務違反を理由とする解雇

たとえば、労働者が遅刻や早退したことを理由とする解雇はどうでしょうか?

前提として、労働者はいわゆる定時と呼ばれる契約上決められた時間労務を提供する義務があります。そのため、遅刻や早退した場合、契約上決められた時間について労務を提供していないことになるので、労働契約上の義務に違反したということになりえます。
しかし、労働者が労働契約上の義務に違反しただけでただちに解雇が有効となるわけではありません。なぜなら解雇の客観的で合理的な理由があるとは判断されないことが多いからです。

たとえば、労働者が1度だけ5分程度遅刻しただけで解雇の客観的で合理的な理由があるとは判断されないでしょう。また、体調不良で5分早退した場合にも解雇の客観的で合理的な理由があるとは判断されないでしょう。

一方で、遅刻や早退する回数が多く、長時間の遅刻や定時よりも大幅に早く早退する回数が多い場合には、解雇の客観的で合理的な理由があると判断される可能性があります。

ほかにも会社が都度注意や指導をしていたり、戒告等の懲戒処分をしていたりと労働者に改善の機会を与えているのに労働者が遅刻・早退をし続けるなどの場合には、一般常識で考えても解雇は妥当であると判断される可能性があります。

このように義務違反の頻度や程度、会社として指導や注意をしていたか、その他の処分を経ているかどうかが解雇の有効性の判断を行うポイントです。

業務命令を理由とする解雇

会社から出された業務命令を労働者が拒否して、会社から業務命令違反を理由とした解雇をされた場合にはどうでしょうか?

この場合は業務命令が正当なものである必要があります。
そのため業務上の必要もなく、嫌がらせ目的など不当な目的で出された業務命令であれば、拒んだとしても解雇に客観的で合理的な理由があるとは言えないでしょう。

また、正当な業務命令を拒否して、業務命令に違反したとして解雇された場合でも、一般常識で考えて解雇は妥当といえないと判断される可能性があります。
たとえば、以下のケースは一般常識で考えて、解雇が妥当とはいえないと判断される可能性があります。

  • 拒否した回数が1回
  • 違反の程度が微々たるもの
  • 業務命令の趣旨等について会社から十分な説明がなされていない
  • 業務命令違反後に指導や注意、戒告等の懲戒処分などを経ていない

このように、業務命令が正当なものか、業務命令違反の回数や程度、指導や注意をしているか、そのほかの処分をしているのか、いきなり解雇なのかなどが業務命令違反を理由とした解雇に対する有効性判断のポイントとなります。

自分の解雇が不当解雇かなと思ったら

ここまで普通解雇の例を見ながら解雇が有効かどうかの考え方を説明してきました。
もちろんこれ以外にもさまざまなルールがありますし、個別具体的な事情を考慮しないと解雇の有効性の判断はできないものです。

解雇された労働者の方が少しでも疑問をもち、不当解雇かなと思ったら、労働問題に詳しい弁護士の意見を聞くのが一番です。

まとめ

いかがだったでしょうか?
解雇に関するルールや不当解雇の例などを紹介してきました。
日本では、労働者保護のルールがあり、解雇が有効とされるためにはハードルがそれなりに高いと思われたのではないでしょうか?
解雇について、少しでも不当解雇だと思うのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。

  • 現在アディーレでは、残業代請求を含む労働トラブルと、退職代行のみご相談・ご依頼をお引き受けしております。 残業代請求と退職代行に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せください。

監修者情報

小野寺 智範
弁護士

小野寺 智範

おのでら とものり
資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
青山学院大学法学部,専修大学法科大学院

弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。

成功報酬制なので
初期費用もかかりません
お早めに一度ご相談ください!

残業代請求には時効があります!まずはご相談を!

free call
0120-610ロウドウ-241ツヨイ 9:00~22:00 土日祝日も受付中!
FREE
電話で無料相談する 9:00~22:00 土日祝日も受付中!
free call
0120-610ロウドウ-241 ツヨイ 9:00~22:00 土日祝日も受付中!
24時間Webから相談を申し込む

\電話受付:朝9時~夜10時・土日祝もOK/