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就業規則に「残業代なし」って書いてあるけど、もらえる方法ってあるの?

「残業代を請求したいけど、うちの会社の就業規則によると、残業代は支払ってもらえないらしい…?」
しかし、一見、残業代は支払わないといった内容の就業規則であっても、実は法律上残業代を支払ってもらえるようなケースがあります。本記事では、残業代を支払わない会社によく見られる就業規則の内容とその効力について、解説いたします。

今回の記事でわかること
  • 就業規則で「残業代を支払わない」と定めるのは違法
  • 「管理監督者」でも、残業代を支払ってもらえるケースがある
  • 雇用契約書より不利な内容の就業規則については、雇用契約書の内容が優先される

残業代を支払わない会社の就業規則

「残業しているはずなのに、給与明細を見ても残業代が支払われていない。これっておかしいんじゃ……」
そう思って上司や先輩に聞いたところ、「うちの会社の就業規則では、残業代は支払わない、と決められている」と言われた。あるいは、自分で就業規則を見てみたところ、残業代は支払わないといった規定があった。このようなご経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

就業規則とは、賃金や懲戒制度、定年といった労働条件を、会社(正確には、個人事業主や各種法人も同様ですが、便宜上、本記事では代表して「会社」といいます)が一律に定めた規則集のことです。労働条件は、個々の労働者ごとに取り交わす労働契約のなかでも定められますが、どの労働者にも一律同じような部分については、就業規則でまとめて定められていることが一般的です。なお、本社の従業員用と支社の従業員用、正社員用とパートタイマー用など、働き方が異なる労働者を対象にした複数の就業規則が作られている場合もあります。
さて、この就業規則、ただ定めていればどんな内容でも労働条件になるというわけではありません。大まかにいえば、就業規則は、①法律上有効な“内容”を、②法律上必要な“手続”を経て定められている場合にかぎり、対象となる労働者全員の労働条件となります(労働契約法第7条本文、下図参照)。

では、就業規則によって「残業代は支払わない」という労働条件を定められてしまうケースはあるのでしょうか?逆にいえば、どのような場合には、就業規則で定めた労働条件が無効となる(残業代を支払ってもらえる)のでしょうか?以下では、よく見られる就業規則の“内容”について、いくつか解説していきます。

なお、就業規則とは別に、賃金に関する規則集が“賃金規程”といったタイトルで作られている場合も多くありますが、法的な扱いとしては就業規則とまったく同じであるため、本記事ではこれらもまとめて「就業規則」と呼んで解説します。

雇用契約書

〇や△は、それぞれAさん、Bさんのみに適用される。
一方、☆は、全従業員に共通で適用される。
つまり、各々の労働条件は、Aさん:〇☆、Bさん:△☆となる。

実は残業代を支払ってもらえる就業規則の内容

単に「残業代は支払わない」と定めている場合

たとえば、以下の就業規則は有効なのでしょうか。

●条(給与)
正社員に対しては、残業代は一切支給しない。

答えは×です。
就業規則では、法律に反する(法律よりも労働者に不利な)内容を定めることはできません(労働基準法第92条1項)。そのような内容は無効となり、法律の規定が優先適用されることとなります(労働契約法第13条)。
労働基準法は、1日8時間を超える労働などに対して残業代(正式には、「割増賃金」)を支払わなければならないと定めていますから(労働基準法第37条1項、同条4項)、これに反した上記の就業規則は無効となり、法律どおり残業代を支払ってもらえるのです。

「管理監督者には残業代を支払わない」と定めている場合

●条(管理監督者)
課長職以上の職位にある者は管理監督者とし、残業代は支給しない。

このような就業規則はどうでしょうか。昇進した際などに、「うちは○○以上の役職は管理職扱いだから、残業代は出ないよ」と伝えられた方もいらっしゃるかと思います。
このケースで注意すべき点は2つ。

1つ目は、管理監督者にあたるかどうかは、就業規則の内容で決まるものではないという点です。
確かに、労働基準法第41条2号では、「監督若しくは管理の地位にある者」、いわゆる管理監督者については、残業代に関する主な条文は適用されない、つまり、原則的には残業代を支払わなくてよいと定められています。しかし、この管理監督者にあたるかどうかは、その役職にどのような権限や裁量があり、どのような待遇を与えられているかといった実態によって決まるのであって(日本マクドナルド事件・平成20年1月28日東京地裁判決)など。

詳しくは、こちらの別記事をご覧ください。

ただ就業規則に定めていれば、必ず管理監督者にあたるわけではありません。法的には管理監督者といえないのに、会社が勝手に管理職扱いをして残業代を支払っていない、いわゆる「名ばかり管理職」のケースでは、残業代を支払ってもらえるのです。

2つ目は、仮に管理監督者にあたる人であっても、支払われる残業代があるという点です。
先ほど挙げた労働基準法第41条2号を根拠にして、管理監督者には一切残業代を支払わなくてよいと考えている会社は少なくありません。
しかし、これは間違いです。残業代と呼ばれる賃金には以下の3種類があります。

  • 1日8時間、または1週間40時間を超える労働(時間外労働)に対する賃金
  • 法定休日にした労働(休日労働)に対する賃金
  • 午後10時~午前5時にした労働(深夜労働)に対する賃金

判例上、3だけは管理監督者であっても支払わなければならないとされています(ことぶき事件・平成21年12月18日最高裁判決)。このような例外があるため、管理監督者には一切残業代を支払わなくてよい、ということにはならないのです。

雇用契約書よりも不利な内容を定めている場合

入社時に作った雇用契約書では、「賃金:基本給 25万円」としか書かれていなかったのに、就業規則を見ると、「●条(固定残業代)基本給のうち5万円は、時間外労働に対する固定残業代として支給する。」と定められていた。

このようなケースはどうでしょうか。

定められた労働条件が違う?

詳しい解説は別記事に譲りますが、固定残業代(固定割増賃金、みなし残業代ともいいます)とは、あらかじめ想定される残業時間分の残業代を、実際に残業をしたかどうかにかかわらず支払う制度のことです。つまり、上記の就業規則の場合、基本給のなかに含まれている5万円の固定残業代は、実際に残業をしたかどうかにかかわらず支払ってもらえますが、別途残業代が追加で支払われるのは、残業時間が5万円分を超えたときのみとなります。

一方、上記の雇用契約書を見ると、固定残業代についての定めはありません。つまり、1分でも残業すれば、基本給の25万円とは別に残業代が支払われることになります。

では、このように雇用契約書と就業規則とで異なる労働条件が定められていた場合、どちらが優先されるのでしょうか。

有利な労働条件が優先

法律では、就業規則と雇用契約書とで労働条件が異なる場合、労働者にとって有利なほうが優先適用されると定められています(労働契約法第7条、第12条)。
上記のケースでは、残業時間が5万円分を超えるまでは25万円しか支払われない就業規則よりも、1分でも残業すれば25万円とは別に残業代が支払われる雇用契約書のほうが、労働者に有利な労働条件といえます。したがって、雇用契約書で定められた労働条件が優先適用される結果、1分でも残業すれば残業代を支払ってもらえるのです。

まとめ

残業代を支払わない会社によくある就業規則の内容と、実は法律上残業代を支払ってもらえるケースについて、いくつか例を挙げて解説いたしました。このほかにも、きちんと定められているように見えて、実は無効であるなど、法律上残業代を支払ってもらえるような就業規則の内容はさまざまです。
「残業代が未払いかも…」、「うちの就業規則の場合、残業代はいくら支払ってもらえる?」と気になられた方、ぜひアディーレ法律事務所までご相談ください。

※現在アディーレでは、残業代請求を含む労働トラブルと、退職代行のみご相談・ご依頼をお引き受けしております。 残業代請求と退職代行に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せください。

監修者情報

弁護士

山内 涼太

やまうち りょうた

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部、東京大学法科大学院

裁判に関するニュースに寄せられた、SNS上のコメントなどを見るにつけ、法律家が法的な思考をもとに下した判断と、多くの社会一般の方々が抱く考えとのギャップを痛感させられます。残念でならないのは、このようなギャップを「一般人の無知」と一笑に付すだけで、根本的な啓発もなく放置したり、それを利用していたずらに危機感を煽ったりするだけの法律家が未だにいることです。法の専門家として、専門知を独占するのではなく、広く一般の方々が気軽に相談し、納得して、法的解決手段を手に取ることができるよう、全力でサポートいたします。

弁護士  正木 裕美  [愛知県弁護士会]

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