残業代請求などの労働問題は弁護士に無料相談 アディーレ法律事務所

基礎知識 ご相談の流れ 選ばれる理由 事務所案内 弁護士紹介 弁護士費用

先延ばしにしていたら請求できる残業代が減る!?残業代の時効を止めるには

「未払いの残業代があるけど、あとでまとめて請求すればいっか!」

皆さまは、未払い残業代の請求に時効があるのをご存じでしょうか?
残業をしていたのに、支払ってもらっていなかった残業代を後日まとめて請求しようと考えていたとしても、時効が成立していた場合には、請求できない可能性があります。これが、残業代請求の大きな落とし穴です。

そこで、本コラムでは、未払い残業代請求の時効とは何か、請求期間はいつからいつまでなのか。また、時効を止めるにはどのような方法があるのかについて、詳しく解説します。

今回の記事でわかること
  • 未払い残業代の時効制度と残業代の時効を止める方法
  • 先延ばしにしていたら請求できる残業代が減る
  • 残業代の請求に向けてすべきこと

残業代請求の時効とは

時効の制度について

時効とは、長期間継続した事実関係を保護する目的のために作られた制度です。時効には、消滅時効と取得時効があり、残業代請求の場合は「消滅時効」にあたります。よって、ここでは、消滅時効をメインに解説します。

消滅時効とは、権利者が義務者に対して長期間権利行使をしない場合には、その権利が消滅するというものです。

たとえば、お金を貸している人(権利者)がお金を借りている人(義務者)に、5年も10年も「返して!」と請求しなかったら、お金を借りている人(義務者)は、「何年も前の借金だし、返済の請求もされないってことは、もう返さなくていいのかな?」と期待してしまいますよね。このような長期間継続した事実関係と、義務者の期待を保護するのが消滅時効なのです。また、時効の制度には、「権利者が長期間請求などをしなかったのだから、権利を失っても仕方ないよね?」という価値判断もあります(権利のうえに眠るものは保護しない)。

この消滅時効を残業代請求に当てはめると、残業代を請求したいあなた(権利者)が、残業代を支払うべき会社(義務者)に対して、長期間、残業代の請求をしなかったら、残業代を請求できる権利がなくなってしまうという、非常に怖い制度なのです。

このように、時効の制度により、本来権利があるのに、長期間権利を行使しないと権利がなくなってしまいます。長期間権利を行使しなければ、法律では保護されない、つまり「残業代を請求できる権利が消滅してしまう(=請求できる残業代が減る)」ことになってしまいますので、残業代請求をお考えの方は、早めに残業代の請求手続をされることをおすすめします。

時効の援用

長期間権利を行使しなければ、時効が完成してしまうことがわかりましたね。

しかし、義務者が時効の「援用」をしないと、時効の効力(効果)は発生しません。「援用」とは、時効の利益を受ける意思表示をすることをいいます。

そのため、義務者が「時効の利益を受けます」と権利者に伝えなければ、時効の効力は発生しないのです。先ほどの例でいうと、お金を借りている人(義務者)がお金を貸している人(権利者)に対して、「時効の利益を受けます!」という主張(=時効の援用)をしなければ、時効は完成せず、借金を返済する義務は残ったままになります。

これを残業代請求に当てはめると、すでに時効になっている部分も含めて残業代を請求し、会社が時効の援用をしてこなければ、時効になっている部分も含めて支払ってくれる可能性が考えられます。しかし、会社は、弁護士・税理士・社労士など法律に詳しい人とつながりがあることが多く、そういった方からの助言を受けることがあるため、実際のところ、時効の援用をしないで、時効になっている残業代もまとめて支払ってくれるということは、ほとんどありません。

残業代を請求できる期間と残業代の時効

次に、時効が完成する期間を確認しましょう。
時効の期間については、2020年4月に民法が改正されましたので、少し複雑になっています。旧民法との違いも併せて見ていきましょう。

2020年4月以前の旧民法では、残業代請求(雇用契約に基づく賃金請求権)の消滅時効の時効期間は1年でした。ところが、1年では短く、労働者の保護に欠けるということで、労働基準法では消滅時効の時効期間が2年とされていました。法律は、一般法である民法より、特別法である労働基準法のほうが優先されますので、残業代は2年で消滅時効にかかることになっていました。つまり、残業代請求において、2年前までさかのぼって請求できるが、それより前の残業代は時効により請求できないということになっていたのです。
そこで、2020年4月の民法改正にて、ほかの債権と合わせて、残業代請求も5年の消滅時効の時効期間に変更しようとされたのです。ところが、民法改正のタイミングで、突然2年から5年に延びると、法律関係が安定しません(労働者にとってはメリットが大きいものの、今度は雇用者の負担が大きすぎる点が問題となりました)ので、いったん様子をみましょうということで、経過措置がとられています。
そのため、現在、残業代請求の消滅時効の時効期間は3年となっております。

ここで注意していただきたいのは、残業代が支払われるべき時期によって、時効の長さが異なる点です。2020年4月以降に発生した未払い残業代については、残業代が支払われるべき日の翌日からカウントして3年が経過すると、時効が完成します。
一方で、2020年3月末日までに発生した未払い残業代については、消滅時効の時効期間は2年となります。すでに裁判上の請求を行っている場合には、時効の完成が猶予されますし(民法第147条1項)、すでに相手方が残業代請求権があることを承認していた場合には、時効が更新され、新たに消滅時効が進行することになります(民法第152条1項)。

残業代の時効を止めるには?

おおざっぱに言えば、改正前の旧民法では、時効が止まることを「時効の中断」、「時効の停止」と表現していましたが、わかりにくいということで、改正民法では、時効が止まることを「時効の完成猶予」、時効期間の経過がリセットされ、0からスタートすることを「時効の更新」と表記するようになりました。

改正民法では、いくつか時効の要素(完成猶予事由と更新事由)が定められています。そのなかでも、残業代請求に関わることが多い、①催告、②裁判上の請求、③承認、④協議を行う旨の合意による時効の完成猶予の4つについて、順番に解説したいと思います。

催告

「催告(さいこく)」とは、相手に対して一定の行為を請求すること(=履行を求める債権者の意思の通知)をいいます。有効な催告をすることにより、6ヵ月間時効の完成が猶予されます。つまり、6ヵ月間は時効が成立しないことになるので、時効を止めるには一番手っ取り早い方法です。

ただし、有効な催告にあたるかどうかは、履行を請求する意思の通知と認められるかどうかの解釈問題です。

たとえば、労働者から会社に対し、「言いたいことわかりますよね?ちゃんとしてくださいね」と伝えただけでは、何のこと(どのような請求権のこと)を言っているのかもわかりませんし、「ちゃんとしてくださいね」というのが、具体的に何をしてほしいのかもわかりません。ですので、このような伝え方には、未払いの残業代請求の催告としての効力はないでしょう。

他方で、「過去3年分(※)の未払い残業代を支払ってください」と明確に伝えた場合には、未払いの残業代を請求する意思であることが明確ですので、催告として有効となるでしょう。

※2020年4月1日以降に支払日の到来した賃金請求権(残業代請求権)の消滅時効の時効期間は、3年です。ただし、2020年3月31日までに支払日の到来した賃金請求権(残業代請求権)については、消滅時効の時効期間は2年となりますが、すでに裁判上の請求を行っている場合には、時効の完成が猶予されますし(民法第147条1項)、すでに相手方が残業代請求権があることを承認していた場合には、時効が更新され、新たに消滅時効が進行することになります(民法第152条1項)。

また催告は、口頭でも書面でも行うことができます。しかし、口頭だと、「言った/言わない」の争いや、どのようなことを言ったのか内容が争点になる可能性がありますので、書面で明確に伝えるのがよいでしょう。さらにいえば、「内容証明郵便」という特別な郵便で相手に通知すると記録が残りますので、内容証明郵便による通知にするとベターです。

なお、催告は暫定的な効力しかなく、6ヵ月間は時効が成立しませんが、その6ヵ月の間に何もしないと効力がなくなり、時効になってしまいます。そこで、催告をした場合、そのあと6ヵ月の間に裁判上の請求や、債務承認(会社に支払義務があると認めてもらうこと)などをすべきでしょう。

裁判上の請求

裁判上の請求は、文字どおり裁判手続をとることをいいます。たとえば、裁判の提起や労働審判の申立てがこれにあたります。

裁判手続や労働審判手続が終わるまでは、時効が完成しないことになりますので、残業代請求の時効を止めるにはかなり有効といえます。

承認

義務者が権利の承認をすることで、時効はその時点から新たに進行を始めます。これを時効の更新といいます。経過していた時効期間がいったん0になり、その時点から時効が再スタートすることを意味します。

残業代請求でいえば、会社が一部残業代を支払う場合や、金額はともかく未払いの残業代があることを認めた場合が、この承認にあたります。

協議を行う旨の合意による時効の完成猶予

改正民法で、新設されたものですが、協議を行う旨の合意により時効の完成が猶予されるというものです。

具体的には、協議を行う旨の合意がなされたときから1年間、または権利者と義務者が1年未満にすると合意した場合にはその期間、時効の完成が猶予されます。この期間内に、再度の合意をすることは可能であり、合計5年以内であれば、時効の完成を猶予させることができます。もっとも、上記の催告をしている場合に、協議を行う旨の合意をしても、後者による時効の完成は猶予されません(催告か、協議を行う旨の合意かどちらか先に行ったほうが採用されます)。

残業代の請求に向けて具体的に何をすればいい?

残業代の時効を止めるには、上記のような、債務承認をしてもらう方法や、協議を行う旨の合意によって時効の完成を猶予する方法などがありますが、こちらの要求に会社が応じてこないことも多いです。たとえば、「会社としては未払いの残業代はないと考えているから、協議を行う必要もないし、残業代の未払いがあることを認めない」と反論してくるケースです。

そのため、会社と協議を行う旨の合意をするまでに、時効期間が経過してしまう、会社がなかなか残業代の未払いを承認してくれないため、時効期間が経過してしまうなんてこともあります。

そこで、労働者本人ができることとしては、催告や裁判上の請求ということになります。
ただ、労働者本人から会社に請求する場合、それが有効な催告に該当するのかが争いになることもありますし、適切な事項での内容証明郵便を送るのが確実ではありますが、内容証明郵便は所定の書式があり結構大変です。また、有効な催告をしても、そのあと6ヵ月以内に、会社から各種資料の開示をしてもらい、その資料に基づき残業代の未払い額の計算を行ったうえで、会社に請求をすることはなかなか大変です。労働者本人で、裁判上の請求をするとなると、訴状などを作成する必要があるので、もっと難しいでしょう。

このように、未払いの残業代請求は、労働者本人で請求することも可能ではありますが、準備書類は適切な内容でなければならず、時効という時間制限がありますので、初めから残業代請求を得意としている弁護士に依頼されることをおすすめします。なお、労働基準監督署に相談するという方法もありますが、労働基準監督署は労働者の代理人になることができず、あなたの代わりに残業代の計算や請求、裁判への出廷などの対応はしてくれませんので、やはり弁護士に依頼するほうが得策といえます。

まとめ

これまで、残業代の時効の制度と期間、時効を止める方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

時効期間が経過しないように、早急に未払い残業代の額を計算し、スムーズに残業代請求をすることは意外と難しいもの。いざ残業代請求をしても、残業代があることを会社が認めてくれないこともよくありますし、すぐに支払ってくれることもあまり多くありません。残業代を請求したとしても、会社の対応によっては、裁判や労働審判手続までしないと、時効で残業代が消滅するおそれもあります。こういったリスクまで見据えると、あなたの代理人となって手続を進めてくれる弁護士に任せるのがベターでしょう。

残業代請求は、ある意味、時間との勝負です。未払いの残業代を確実に請求するためにも、法律知識があり交渉に慣れている弁護士へ相談してみませんか?アディーレ法律事務所では、残業代請求に関するご相談は何度でも無料ですので、ぜひ一度お話を聞かせてください。あなたが頑張って働いた分の残業代を支払ってもらうべく、お力になれるよう我々が全力でサポートいたします。

監修者情報

弁護士

小野寺 智範

おのでら とものり

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
青山学院大学法学部,専修大学法科大学院

弁護士の仕事は,法的紛争を解決に導くことだけでなく,依頼者の方の不安や悩みを解消することにもあると考えています。些細なことでも不安や悩みをお持ちであれば,気軽に弁護士に相談していただけたらと思います。依頼者の方にご満足いただけるリーガル・サービスを提供していけるよう全力で取り組んでいく所存です。

弁護士  正木 裕美  [愛知県弁護士会]

残業代請求に関するご相談は何度でも無料!

  • 残業代請求のご相談なら、何度でも無料です!
  • 会社に対して、何らかの請求や主張をするお考えがない場合、ご相談をお受けしておりません。
    あらかじめご了承ください。