労働トラブルコラム

タイムカードがないけど残業代は請求できる?証拠集めから請求方法まで解説

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「うちの会社はブラックで、残業代を支払ってくれない。タイムカードもないし、このまま諦めるしかないのかな?」

本コラムでは、そのように思ったあなたのお悩みを解決していきます。結論からいうと、タイムカードがなくても、労働時間を立証できれば残業代を請求できる可能性があります。

今回は、タイムカードがない会社に対して残業代を請求したいあなたのために、証拠を集める具体策や、証拠を集めたあとの行動について解説していきます。
労働時間を証明できず、残業代を支払ってもらえなくて困っている方はぜひ参考にしてください。

今回の記事でわかること
  • タイムカードがないことの問題点
  • タイムカードがない場合に残業代を請求する方法
  • タイムカードがなくても違法ではない
目次
  1. タイムカードがないことの問題点とは?
  2. タイムカードがないのは違法にならないの?
  3. タイムカードがないときに有効な勤怠管理資料
    1. 労働時間管理ソフト
    2. 入退館記録
    3. パソコンのログイン・ログアウト記録
    4. 電子メールの送信時刻
    5. シフト表
    6. 本人の手書きメモ
  4. 残業の証拠を集めたらどうすればいい?
    1. 会社と話し合って交渉
    2. 内容証明郵便を送付
    3. 労働基準監督署に相談
    4. 労働審判
    5. 通常訴訟
  5. 会社に残業代を請求するなら弁護士への相談がおすすめ
  6. まとめ

タイムカードがないことの問題点とは?

タイムカードがないことの問題点は、労働時間の立証が難しくなることです。

残業代請求においては、労働者の側が「自分はこれだけ働いた」と言って、自分の労働時間を証明しなければなりません。その証明に使われるのがタイムカードであり、これがないと、いくら「毎月50時間残業していたんだ」と叫んでも、労働時間の証明ができず、労働審判や訴訟の場では、残業時間0として扱われてしまうのが、原則なのです。

つまり、証拠がなければ、いくら残業していたとしても、それに見合った残業代を払ってもらえないことになってしまうのです。

タイムカードがないのは違法にならないの?

「そもそもタイムカードがないような会社の方が悪いんだから、労働時間の立証ができなくても、残業代を請求できないの?」

このように考える方もいるでしょう。お気持ちはわかります。労働安全衛生法第66条の8の3では、会社が従業員の労働時間を把握することを義務づけていますので、会社の勤怠管理がまったく行われていない状態は違法でもあります。

しかし、会社が違法であることと、残業代請求は別の話。たとえ、相手が勤怠管理をまったく行っていないような違法な会社であっても、これらの会社に残業代請求するには、労働者側で労働時間を立証しなければなりません。
ですから、あとで述べるように、タイムカードまたは、これに代わる勤怠管理がまったく存在しないような会社を相手に残業代請求するには、自分で自分の労働時間を証明するために、勤怠管理資料を集めておく必要があるのです。残業代請求においては、自分の身は自分で守るしかないのです。

タイムカードがないときに有効な勤怠管理資料

上述のとおり、残業代を請求するのに重要なのは、証拠でもって、自分の労働時間を立証することです。

タイムカードは、自分の労働時間を立証するための典型的な証拠です。しかし、絶対にタイムカードでなければならないわけではありません。

以下では、タイムカード以外にも、労働時間の立証に利用できる勤怠管理資料を6つ紹介していきます。タイムカードがないからと残業代の請求を諦めるのではなく、これから紹介する資料がないかどうかも探してみてください!

労働時間管理ソフト

最近ではタイムカード打刻の代わりにパソコンなどでWeb打刻をする会社も増えています。

Web打刻も機械的正確性等の点でタイムカードと同じなので、労働時間の立証の点でとても有用です。在職中にプリントアウトできるのであれば、しておきましょう。

Web打刻の問題として、ノートパソコンで打刻する場合に、会社から「家で打刻していたのではないか」という反論があることです。

そのような場合に備えて、スマホのGPS機能付き打刻アプリを使って、個人的に出社時・退社時に欠かさず打刻する、外回りの営業職であれば、業務日報にきちんと訪問先と時間を記録するなどの対策もおすすめです。

入退館記録

会社が入居するビルの入退館記録も、労働時間を立証するうえで有力な証拠になります。
特に、会社の勤怠管理がいい加減な場合は、保安会社の入退館記録のほうが信用できるものといえます。
もっとも、入退館記録につきものの問題としては、会社から「入退館記録は、あくまでビルを出入りした時刻にすぎないから、労働時間を記録したものではない」という反論があることです。

そのような場合は、入館してから会社の玄関までの移動時間や、会社に着いたあとはすみやかに仕事を開始していたこと等を丁寧に主張していきます。

パソコンのログイン・ログアウト記録

パソコンのログイン・ログアウト記録を見ることで、会社のパソコンをいつ使い始めて、いつ使い終えたのかがわかります。そのためこちらも労働時間の立証に有効な資料の1つです。

ただ、パソコンのログイン記録は、共用パソコンの場合には当人の労働時間の立証に使えない、退職後は会社が開示してくれないことが多いなどの問題点があります。

できれば、これだけに頼ろうとせず、スマホのGPS機能付き打刻アプリを使って、個人的に出社時と退社時に打刻するなどの自衛手段もとっておきましょう。

電子メールの送信時刻

電子メールを送っていれば、その時間に働いていたことと紐づけることができるので、労働時間の立証手段として有効です。

ただ、電子メールの送信時刻は、守秘義務との関係でなかなか使いにくい証拠でもあります。
パソコンのログイン記録と同様、これだけに頼らず、スマホのGPS機能付き打刻アプリを使い、個人的に出社時と退社時に打刻するなどの自衛の手段もとっておきましょう。

シフト表

シフト表は、特に、シフト自体が法定労働時間を超えているような場合には、有効です(店舗でオープンからラストまで10時間のシフトが入っているような場合)。
もし、会社にタイムカードがないならば、シフト表をコピーしたり、シフト表をスマホで撮影したりしておきましょう。

本人の手書きメモ

本人の手書きメモは、なかなか信用性を認めてもらえませんが、毎日欠かさず正確に記録することで、労働時間に対する効力も高まります。
虫食いだらけや、ほかの客観資料と矛盾が散見されるようなメモは、ほとんど証拠としての価値が無いものとして扱われてしまいます。
また、こちらもスマホのGPS機能付きの打刻アプリを使用するなど、ほかの手段と併用することを考えましょう。

残業の証拠を集めたらどうすればいい?

これまでに紹介してきた方法を実践して、残業の証拠を集めたら、請求できる残業代を計算のうえ、会社に対して残業代の請求をします。

会社に対して残業代の請求を行う手順は以下のとおりです。

  1. 会社と話し合って交渉
  2. 内容証明郵便を送付
  3. 労働基準監督署に相談
  4. 労働審判
  5. 通常訴訟

それぞれの手順について、以下で簡単に説明していきます。

会社と話し合って交渉

まずは残業代が支払われていない証拠を持参して会社と交渉を行います。
交渉する相手は、直属の上司や、総務の担当者などです。
人間関係を悪くしないためにも、証拠に基づき丁寧に説明する必要があります。

内容証明郵便を送付

会社と直接交渉を行って残業代が支払われなかった場合は、内容証明郵便を使って残業代を請求します。
しかし、実際には、従業員から内容証明郵便を送っても、会社は「未払い残業代は、ないと考えます。以上」という簡単な返事だけ送ってきて、まったく相手にしてくれなかったり、無視したりすることが多いです。そうなると、もう個人では対応できません。

また、内容証明郵便を送ってしまうと、これが時効を一時的にストップさせる催告ともなり、ここから半年以内に裁判上の請求を行う必要が生じる場合もあります。
できれば、内容証明郵便を送る前に、一度、弁護士にご相談しておくことをおすすめします。

労働基準監督署に相談

労働基準監督署に頼んで残業代請求をすれば、会社が支払ってくれる場合もあります。しかし、公的な役割を背負い、多くの案件を抱えている労働基準監督署が、必ずしも無制限に個人の残業代請求のために動いてくれるとは限りません。その場合は、法律事務所に相談することもお考えください。

労働審判

話合いで解決しない場合は、法的措置を取ることになります。労働審判は、通常の訴訟に比べて短期間で審理を行える手続です。多くの場合、労働審判までいけば残業代の問題を解決できます。

通常訴訟

労働審判を行っても残業代を支払ってもらえない場合は、裁判を起こすことになります。
遅延賠償金や、付加金の支払いも認められる可能性があり、受け取れる金額が高額になる場合もあります。ただし、さまざまな手続を重ねるため、判決が出るまでに1年以上かかることもあります。

会社に残業代を請求するなら弁護士への相談がおすすめ

残業代の請求ができないと悩んでいるなら、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士に相談することで、証拠を集めるためのアドバイスを行ったり、集めた証拠をもとに正確な残業代を計算したりできます。さらには、あなたに代わって弁護士が交渉を進めたり、労働審判・訴訟を起こしたりすることも可能です。

残業代の請求には時効があり、「退職してからゆっくり弁護士に相談しよう」と考えていると、本来請求できるはずの残業代が時効消滅してしまい、請求できなくなる可能性もあります。

残業代が支払われなくて悩んでいる方は、今すぐ弁護士へ相談してみてください。
アディーレでも残業代に関する相談を受け付けております。まずは無料の電話相談やオンライン面談でお話をお聞かせください。

まとめ

いかがだったでしょうか?
タイムカードがない会社に対する残業代の請求について解説してきました。

残業代請求でもっとも大切なのは、労働時間の立証といっても過言ではありません。

あなたがまだ在職中であれば、タイムカードやシフト表をコピーする、スマホで撮影するなどしておきましょう。また、会社が勤怠管理を行っていないような場合は、スマホの打刻アプリを使うなどして今日から残業の証拠集めを行いましょう。

もし、あなたがすでに退職している場合は、会社に対してWeb打刻の時間や、電子メールの送付時間などの開示を求めましょう。

しかし、現実には、すでに退職した一従業員から、勤怠管理資料の開示を求められても、会社は相手にしてくれないことが多いです。元従業員と会社では、力の差は歴然です。そこで、少しでも不安がある場合は、ぜひ法律事務所をご活用ください。

アディーレ法律事務所では、着手金無料で、損はさせない保証などのサービスも充実しています。

本コラムで紹介したような勤怠管理資料がなくても、残業代請求ができる可能性があります。残業代請求をお考えの場合は、アディーレ法律事務所へお気軽にご相談ください。

  • 現在アディーレでは、残業代請求を含む労働トラブルと、退職代行のみご相談・ご依頼をお引き受けしております。 残業代請求と退職代行に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せください。

監修者情報

中田 祥二郎
弁護士

中田 祥二郎

なかだ しょうじろう
資格
弁護士、行政書士(有資格)、華語文能力試験高等(台湾)
所属
東京弁護士会
出身大学
早稲田大学第一文学部、台湾大学大学院法律研究所、早稲田大学大学院法務研究科

人が法律事務所の門を叩くときは、どんな時でしょうか。もちろん個人によってさまざまなご事情があるでしょうが、人生において何か一つ区切りをつけて新たな出発をしたいと強く願っている点では、共通していると思います。先行きの見えないこんな時代だからこそ、その出発が希望に満ちたものでありますように。そのお手伝いをさせていただくことこそが弁護士の役割だと思っております。

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