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残業代ちゃんともらってる?残業代を過少に計算する会社の手口を詳しく解説!

「働き方改革」が叫ばれて久しい昨今、サービス残業を当然視する風潮から脱却して、正しく残業代を支払おうと取り組む企業は増えつつあります。

しかし、残念ながら、中小・零細企業などでは労務管理が杜撰なことも多く、残業代の正しい計算方法を知ってか知らずか、残業代が間違った方法で計算され、労働者が本来よりも少ない額の残業代しか受け取っていなかった、というケースは今なお頻繁に見受けられます。

本コラムでは、使用者が残業代を過少に計算してカットする際の手口とその真偽について、解説いたします。

今回の記事でわかること
  • 法律上正しい残業代の計算方法
  • 残業時間を15分単位で切捨て計算することの違法性
  • 手待ち時間を休憩時間にすることの違法性

その残業代、違法にカットされていませんか?

労働者が残業をした場合に使用者が残業代を支払う義務を負うことは、労働基準法という法律で定められています。

労働基準法37条5項

使用者が、…(中略)…労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、…(中略)…割増賃金を支払わなければならない。

その労働者が管理監督者にあたる場合など、いくつかの例外はあるものの、原則的にはこの法律を根拠として、使用者は残業代の支払義務を負うことになります。
また、残業代の正しい計算方法についても、労働基準法やその関係法令、裁判例などによって、その大部分が確立されてきました。つまり、法律上支払うべき残業代よりも実際に支払った残業代が少ないのであれば、当然そのような未払いは違法となるわけです。

余談ですが、労働者からの残業代請求に対して、「うちの会社は労働基準法を採用していないから!」などと意味不明な言い訳をした使用者がいた、という都市伝説のような話を聞いたことがあります。しかしながら、日本国内で労働者を雇っている会社である以上、日本の法律を“採用”する・しないという選択肢が与えられているはずもなく(「私は道路交通法を採用しない!」と宣言しても、一般道を時速100㎞で走らせてもらえるはずがありませんよね)、法律と異なる計算方法で過少に残業代を計算することは、認められていないのです。

とはいえ、すべての労働者の方が、法律上正しい残業代の計算方法をご存知でないというのが現状です。これに対して、使用者としては、労働者との立場や経験の差を利用して、労働者に支払う残業代をできるだけ少なくしたい(その分利益を増やしたい)という誘惑に駆られます。

そこで、次項では、残業代を過少に計算するための使用者の手口として、実際によくみられるものをいくつかご紹介します。

残業代を過少に計算するための使用者の常套手段

残業時間の端数を一律切り捨てる

使用者のなかには、残業代を計算する際、1分単位で記録されたはずの残業時間を、15分単位、30分単位などで一律切り捨てているケースがあります。

たとえば、労働者が打刻したタイムカードでは「8:36」に出勤、「20:24」に退勤となっているのに、残業代を計算する際には、それぞれ「8:45」「20:15」とされている、などです。この方法は、打刻記録を事後的に修正しやすい、勤怠管理ソフトを用いた勤怠管理を行なっている使用者によく見られます。

しかし、このような方法で毎日の残業時間を切り捨てることは認められていません。
法律そのものではありませんが、厚生労働省の通達では、労働時間の端数処理として、下記の計算方法は違法ではない、とされています(昭和63年3月14日付通達 基発第150号)。

1ヶ月における残業時間数の合計に1時間未満の端数が生じた場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること

この計算方法について、注意すべき点は2点です。

  1. 「切捨て」だけでなく、「切上げ」となる場合が想定されていること
  2. 端数処理されるのは、“1ヵ月の合計残業時間数”であること

つまり、労働者の不利益にしかならない「一律切捨て」が行われていたり、1日ごとの残業時間を端数処理したりしている場合は、通達で認められた計算方法にはあたらないのです。

手待ち時間を休憩時間扱いにする

いくつかの職種では、出勤から退勤までの間に「手待ち時間」と呼ばれる時間が多く発生することがあります。トラック運転手の方でいえば、車列に並んで荷積み・荷降ろしを待っている時間、小売店などの店員の方でいえば、お客さんの来店に備えてレジに立っている時間などです。使用者のなかには、このような時間を「ただ待っていただけの時間なんだから…」と考えて、労働時間ではなく休憩時間として計算しているケースがあります。

しかし、判例上、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」であると定義されています(三菱重工長崎造船所事件:最高裁平成12年3月9日判決)。ごく簡単にいえば、“「次の作業をしてください」という指示があり次第、ただちに作業にあたらなければならないような状態に置かれていた時間”は、労働時間にあたるのです。

つまり、あくまでケースバイケースではありますが、いつ積み降ろしが始まるか分からないとか、いつお客さんが来て対応が必要になるか分からない、という状態だった場合には、そのような時間は、法的には労働時間にあたる可能性が大いにあります。使用者が、法律と異なる勝手な理解に基づいて、労働時間であるはずの時間を休憩時間と扱っているのであれば、それによって過少に計算された残業時間の分だけ、残業代が未払いにされているということになるのです。

固定残業代(みなし残業代)を、実際の残業時間に応じて減額する

詳細は下記の記事にてご説明していますが、使用者のなかには、固定残業代(みなし残業代)制を採用して残業代を支払っているケースもあります。固定残業代制とは、あらかじめ想定される残業時間分の残業代を、実際に残業をしたかどうかにかかわらず支払う制度のことです。このような残業代の支払い方自体は、労働基準法上も違法ではありません。

では、たとえば「残業30時間分の固定残業代として6万円を支払う」ことが雇用契約で決まっていた場合、「今月の残業時間は20時間だけだったから、固定残業代は4万円に減額する!」という支払い方法は認められるのでしょうか。

裁判例(ワークフロンティア事件:東京地裁平成24年9月4日判決)によれば、このような固定残業代の減額は認められないとされています。「実際に30時間の残業をしてもしなくても、6万円を支払います」という約束が使用者と労働者の間で交わされた以上、「30時間残業していなかったので、やっぱり減額します」というのは、単なる“約束破り”だからです。

したがって、この例のような場合には、差額の2万円が未払いの残業代ということになります。

まとめ

ここまで、端数の切捨て、手待ち時間の休憩扱い、固定残業代の減額といった手口について解説してきました。「上司からそんな言い訳を聞いたことがある!」など、心当たりがある方もいらっしゃったのではないでしょうか。

ここでご説明したもの以外にも、使用者が残業代の支払いを免れるための違法な手口は数多くあります。「私の残業代、ウチの会社はちゃんと計算してくれているんだろうか…?」、「法的には、もっと多くの残業代をもらえたんじゃないか…?」と、不安が募ってきた方もいらっしゃるかもしれません。

「未払いの残業代を請求したいけど、どれくらいの額になるのかわからない…」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひアディーレ法律事務所までご相談ください。

※現在アディーレでは、残業代請求を含む労働トラブルと、退職代行のみご相談・ご依頼をお引き受けしております。 残業代請求と退職代行に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にお問合せください。

監修者情報

弁護士

山内 涼太

やまうち りょうた

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
東京大学法学部、東京大学法科大学院

裁判に関するニュースに寄せられた、SNS上のコメントなどを見るにつけ、法律家が法的な思考をもとに下した判断と、多くの社会一般の方々が抱く考えとのギャップを痛感させられます。残念でならないのは、このようなギャップを「一般人の無知」と一笑に付すだけで、根本的な啓発もなく放置したり、それを利用していたずらに危機感を煽ったりするだけの法律家が未だにいることです。法の専門家として、専門知を独占するのではなく、広く一般の方々が気軽に相談し、納得して、法的解決手段を手に取ることができるよう、全力でサポートいたします。

弁護士  正木 裕美  [愛知県弁護士会]

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