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「みなし残業は残業代が出ない」ってホント!?会社のテキトー発言に騙されないために学ぶ、みなし残業とは?

どれだけ働いても残業代が1円も支払われない場合、「残業代が出ないなんておかしい!」と気づくことも多いと思います。
でも、以下の場合を考えてみてください。

  • そういえば入社のとき、「みなしだから残業代出ないよ。」って言われたな
  • 雇用契約書を見直してみたら、「みなし残業」って書いてある
  • 上司に残業代は出るのか聞いたら、「うちはみなし残業だから。『営業手当』が残業代だよ。」と言われて、周りのみんなも納得しているみたい
  • 給与明細を見ると「みなし残業手当」「見なし残業」「見做し」などの名目で、毎月いくらか支払われている

この場合、「よくわからないけど会社の言い分が正しいのかな…」、「この会社では残業代が出なくても仕方ないのかな…」、とモヤモヤしながら無理やり納得してしまっていませんか?
そもそも、みなし残業とは何でしょうか?みなし残業って本当に有効なのでしょうか?

今回の記事でわかること
  • みなし残業と固定残業代制の違い
  • 会社の言う「みなし残業」の種類は大きく3つある
  • みなし残業でも残業代が請求できる場合がある

みなし残業の仕組み

(1)残業代のおおまかなルール

残業代については、労働基準法という法律がルールや計算方法を定めています。細かく言うときりがないので、このコラムでは、一日8時間労働の会社をモデルにざっくりとご説明します。

基本的なルールとして、一日8時間を超えて働いた残業部分については、通常の25%増しの賃金(残業代)をもらえることになっています。

たとえば、時給1,000円の人が一日10時間働いた場合、定時内の給料が1,000円×8時間で8,000円、残業代が1,000円×2時間×1.25で2,500円なので、合計1万500円の給料をもらえることになります

(2)みなし残業って何?

ところが、実際には毎回きっかり2時間の残業となるわけではなく、残業時間は日によって1時間42分、2時間8分、56分とまちまちだったり、あるいは早退して早く帰ったので残業していませんという日もあったり、さらに従業員ごとに時給額も違ったりするわけです。

そうすると、会社としては、従業員全員の労働時間を分単位ですべて確認して、残業代があるかないか、いくらなのかを計算しなければならないので大変です。
そこで、

  • うちの会社では、8時間以上働いても働かなくても、一日8時間労働したとみなします
  • うちの会社では、みんな毎日2時間くらいは残業になるので、10時間以上働いても働かなくても一日10時間労働したとみなして、一日2時間分の残業代を固定で支払います

といった「みなし残業」を採用する会社が現れるのです。

(3)みなし残業は違法?

このあとにも説明しますが、みなし残業だから全部違法だとか、反対に全部有効で残業代は発生しないとかいうものではありません。

会社が、労働基準法の定めたルールを守って、きちんと定めた有効なみなし残業もあれば、労働基準法が定めたルールを守っていないので違法(=無効)なみなし残業もあります。ただし、違法なみなし残業を定めていた場合は無効となりますので、契約書や給与明細にあらかじめ「みなし残業」などと書いてあっても、残業代を請求できる可能性が出てきます。

みなし残業の種類

会社の言う「みなし残業」には、大きく3つの種類があります。

  • 労働基準法の定めるみなし残業制(事業外労働、専門業務型裁量労働、企画業務型裁量労働)
  • 固定残業代制
  • 会社独自のみなし残業

ただし、このなかには無効なものもありますので、順番に見て行きましょう。

(1)労働基準法上のみなし残業

【1】事業場外労働のみなし残業制(労働基準法第38条の2)

対象となる職業の例)外回りの営業

この場合のみなし残業とは?

客先回りが中心の営業など、社外で働く時間が長く、移動時間や隙間時間を自由に使える業務だと、実際にその従業員が何時間働いているのか確認するのが難しい場合があります。たとえば、タイムカードでは1時間は残業していたように見える場合でも、実際には客先の都合で2時間ほど空いてしまい、その間、車内で寝てましたとなると、残業代が発生するのはおかしいですよね。

そこで、労働基準法は、①事業場外で労働し、かつ②労働時間を算定し難いときには、みなし残業制を認めています。

そのみなし残業、本当に有効?

ただし、外回りの業務があるからといって、絶対に事業場外労働のみなし残業制が有効になるというわけではありません。
もし、

  • 客先やルート、対応内容を会社に細かく指示されていて自由になる時間がない
  • 携帯で常に指示を受けている
  • 会社はみなし残業時間を8時間と定めているけれど、実際にはみんな10時間は働いている

など、おかしな点があれば、事業場外労働のみなし残業制は無効となり、実際に働いた時間について残業代を請求できる場合があります。

【2】専門業務型裁量労働のみなし残業制(労働基準法第38条の3)

対象となる職業の例)システムエンジニア、デザイナー、証券アナリスト、税理士

この場合のみなし残業とは?

専門性が高いために、仕事の進め方や時間配分を会社が決めるのが難しい業務については、労働を時間で区切って残業代を支払わせるという仕組みに合わないものがあります。

そこで、労働基準法は、①厚生労働省が定めた19の業務について、②仕事の仕方を従業員の裁量にゆだねる必要があって、③会社が仕事の仕方や時間配分を決めるのが難しいときには、みなし残業制を認めています。

そして、裁量労働時間制については、労使協定で定めておく必要があります。

そのみなし残業、本当に有効?

ただし、

  • デザイナー業務ではあるけれど、会社や客先から出された細かい指示に基づいて作業をするだけなので、仕事の進め方や時間に自由がない
  • 裁量労働の労使協定がない

など、おかしな点があれば、専門業務型のみなし残業制は無効となり、実際に働いた時間について残業代を請求できる場合があります。

また、会社はみなし時間を10時間と定めているけれど、残業代が足りない、支払われないという場合にも、不足分の残業代を請求できます。

【3】企画業務型裁量労働のみなし残業制(労働基準法第38条の4)

対象となる職業の例)経営企画

この場合のみなし残業とは?

【2】の専門業務型裁量労働に似た制度ですが、①事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務について、②仕事の仕方を従業員の裁量にゆだねる必要があって、③会社が仕事の仕方や時間配分を決めるのが難しいときには、④相応の知識経験を有する者について、みなし残業制を認めています。

企画業務型裁量労働については、【2】の専門業務型裁量労働に比べ、より厳格な要件が定められており、労使協定のほか、労使委員会の設置などが義務づけられています。

そのみなし残業、本当に有効?

ただし、

  • まだ新卒で、いきなり経営企画の立案をする能力がない
  • 労働者と個別の合意をしていない
  • 労使委員会が設置されていない

など、おかしな点があれば、こちらも無効となります。

(2)固定残業代制

実は、労働基準法で言うところの「みなし残業」は、上の3つだけです。
ただ、普段の生活でみんなが正しく法律用語を使っているわけではなく、何時間分の残業代として固定額を支払うといった仕組みの固定残業代のことを、「みなし残業」と呼んでいる会社も多くあります。

会社としては、雇用契約書や就業規則に「〇〇手当は、月30時間分の残業代として支払う」と書いて、30時間分の残業代を支払っておけば、実際には月40時間残業させていようが、30時間分を超える残業代は支払わなくていいと考えているのだと思いますが、実際にはそんなことはありません。

固定残業代制とは?

固定残業代について、労働基準法に明確な定めはありませんが、判例上、①固定残業代のルールが定められており、②手当が残業代としての性質を有しており、③給料のうちどの部分が残業代か区別できる場合、固定残業代制は有効とされています。

労働基準法上のみなし残業との違い

ただし、労働基準法が定めるみなし残業とは違い、労働時間を実際よりも短いものとみなすことはできません。そのため、固定残業代が有効であっても、長時間の労働が発生した場合、固定残業代を超える部分については、会社は残業代を支払わなければなりません。

たとえば、時給1,000円で、一日2時間分の固定残業代(2,500円)をもらっている人が、ある日、11時間働いた(=3時間残業した)場合を考えてみましょう。

一日10時間のみなし残業を定めた労働基準法上のみなし残業が有効だと、実際に11時間働いていても、労働時間そのものが10時間とみなされてしまうため、2時間分の固定残業代が支払われていれば、それ以上残業代の請求はできないことになります。

対して、一日2時間の固定残業代制が有効だと、2時間分の残業代は支払われたことになります。しかし、労働時間そのものが変わるわけではないため、1時間分の残業代1,250円が不足していることになり、会社に対して1,250円を支払うよう請求することができます。

ややこしいですが、労働基準法上のみなし残業制は「労働時間」に影響するもので、固定残業代制は「金額」に影響するものと整理できます。

そうすると、固定残業制が有効だったとしても、会社が思うように何時間働いても30時間分の残業代さえ支払えば、それでOKということにはならないのです。

(3)会社独自のみなし残業

上記の労働基準法上のみなし残業、固定残業代制のほか、単純に会社が「うちはみなし残業だから」といって、残業代を支払わないケースもあります。

しかし、労働基準法に何の根拠もないのに、会社がみなしと言ったからみなし残業代となったり、残業代を支払わなくてよいことになったりすることはありません。契約書に書いてあったとしても無効です。

会社が根拠なく、「うちはみなし残業だから」と言っているだけであれば、働いた時間について残業代を請求することができます。

会社のテキトー発言に騙されないで

「うちは何十年もこのやり方でやっている。いままで誰も残業代なんか請求してきたことはない!」、「契約書にも書いてあるじゃないか!」、「労働基準監督署にもちゃんと提出しているので、問題ない!」と言われると、そうなのかなと思ってしまうかもしれません。

しかし、実際には、きちんと要件を満たしていなかったり、会社が勘違いしていたり、残業代が支払われているように見えても足りなかったりして、適切な残業代が支払われていないというケースもたくさんあります。

モヤモヤしたまま働き続けるのは、自分にとってもよくないですよね。弁護士には守秘義務があるので、相談された方の意向を無視して、勝手に会社に連絡をするようなことはありません。弁護士に相談してみて、きちんと支払われているのであれば、モチベーションを維持して働き続けることができますし、支払われていないのであれば、残業代を請求するという選択肢も出てくるでしょう。

「会社からみなし残業と言われたけど、本当にそうなのかな?」と気になったら、ぜひ弁護士などの専門家に相談してみてください。

弁護士  正木 裕美  [愛知県弁護士会]

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