示談による解決

近年,従業員と会社との間の労働トラブルが著しく増加しています。この背景には,終身雇用制の崩壊や長引く不況などさまざまな要因があるとは思いますが,従業員(労働者)が会社の対応や処遇について,声を上げざるを得ないような労働環境になってきているのではないでしょうか。

民事上の個別労働紛争の件数の推移

上記のグラフは,民事上の個別労働紛争の件数の推移を表したものです。個別労働紛争とは,会社と労働組合といった団体同士の労働問題ではなく,ひとりの従業員と会社との間の労働問題のことをさしています。

この相談件数は,都道府県の労働局や労働基準監督署等の窓口に対して正式な相談が行われた件数の統計資料となっています。ですから,そのような行動をまだ起こしていない,この統計には表れてきていない潜在的な労働問題は,はるかに多いものと思われます。

会社から受けた不当な処遇や対応について自分の権利を主張したり,職場環境について改善を求めたりすることは,決して恥ずかしいことではありません。

私たち弁護士は,会社との労働トラブルで悩んでいる皆さまをサポートします。決して,泣き寝入りにはさせません。

1.解決方法としての示談

会社との間で起こった労働トラブルについて,労働者と会社との間の話し合いによって解決することを示談と呼びます。

示談は,当事者同士がお互いに話し合い,歩み寄る中で一定の取り決めをして解決を図りますので,そもそも話し合いがまとまらなければ示談できません。

その意味で,強制力のある裁判所の法的手続を利用しないことから,示談に向けた話し合いは「任意での交渉」とも呼ばれます。

示談は,お互いの話し合いの中で解決を図りますので,裁判所を利用するための手続のような決まりごとがあるわけではないので,一見すると簡単なように見えます。しかし,弁護士を間に入れず,当事者同士のみで行う示談は簡単なように見えて大きな落とし穴があるのです。

2.当事者直接の示談による落とし穴

手続や形式が決まっていない自由な反面,当事者同士のみで行う示談については,多くの落とし穴があります。ここでは,示談をする際に陥りがちなミスとその対処法についてお教えします。

(1)会社への請求における落とし穴

示談をする際に話し合いによって取り決めた内容は,「示談書」(あるいは和解書,合意書など)を作成するのが一般的です。そのため,示談においては,示談をした内容がたとえ自分の本意ではなかったとしても,その内容について後から覆すことが極めて難しいものになります。

たとえば,会社に対して未払い残業代の支払義務を認めさせたとして,その前提としていた未払い残業代の計算方法が間違っていた場合でも,会社には示談した金額以上の支払義務はまったくないのです。これでは,せっかく請求することはできたものの,後日後悔することになりかねません。この問題は,未払い残業代の請求に留まらず,未払い給与や退職金の請求,不当解雇などでも同じように起こり得る問題です。

この点,弁護士であれば,労働基準法等の法律に基づいた正しい計算方法により,未払い残業代や給与を算出することができますし,また,請求漏れがないように手厚いケアをすることができます。

(2)会社との交渉における落とし穴

会社との交渉の中で,相手方から反論された内容や提示された金額について,どのように対応すればよいのか,また,どの程度までは妥協すべきなのかがわからないということも多々あるかと思います。

ひどい場合には,会社が交渉のテーブル自体につかず,請求が無視されるということさえも少なくありません。また,そこまでいかなくても,会社には顧問の社労士や弁護士がいる場合もありますので,そのような相手方と,自分で交渉していくのは,多くの時間とストレスがかかります。

安易な示談をしてしまうと,後日,後悔するようなことになりかねません。特に,不当解雇やセクハラ,パワハラ等,解決金や慰謝料の金額がはっきりとした基準で表せないものについては,気を付けなければなりません。

この点,弁護士であれば,相手方も交渉のテーブルに付かざるを得ないのが一般的ですし,弁護士は証拠資料に基づいて主張と反論を行っていく,示談交渉のプロフェッショナルです。また,示談すべき金額についても,裁判例に基づいた妥当な金額の基準を示すことができます。

(3)示談書の作成における落とし穴

示談をする際に話し合いによって取り決めた内容は,示談書を作成することが一般的ですが,示談書を作成する手続やその記載内容が決まっているわけではありません。

そのため,どのような表現による記載をしても自由な分だけ,記載内容によっては,後々その示談書が原因で誤解が生じたり,トラブルが再発してしまうことも十分に考えられます。

そのような事態を招かないように,示談書への記載内容は細心の注意を払うことが求められます。たとえば,示談書に記載された内容の中に,意図せずに法令に違反してしまうような内容が盛り込まれていた場合には,その内容は無効となります。また,肝心の取り決めた内容についても,曖昧な表現になっていたばかりに法的には権利や義務が発生しない(法的な効力をもたない)ということも考えられます。さらに,取り決めた内容に会社側が違反した場合に,どのような制裁が課されるのかについても慎重な検討が必要です。

これらのような問題は,どのようにすれば解決できるのでしょうか。答えは簡単です。法律の専門家である弁護士が間に入れば,示談書に記載すべき内容に漏れがないかどうか,また,その表現等について,一言一句に至るまでチェックすることができます。

弁護士がチェックをすれば,ご依頼者(労働者)の方にとって不利な内容となる示談や,示談書の内容が曖昧で後に誤解や紛争の火種となるような示談は避けることができます。

なお,労働トラブルは,時間をおいても解決するものではありません。むしろ逆に時効の問題が生じてしまいます。たとえば,残業代や未払給与の請求権は2年間で時効消滅してしまいますし,退職金の請求権の時効は5年間です。

別の会社に再就職した場合であっても,退職した前の会社に請求することはもちろん可能ですので,迅速に行動することが大切です。お心当たりがある方は,はぜひ,弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士 篠田 恵里香

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