労働基準法の改正で,残業代がアップするって本当ですか?

過労死などの一因とされる長時間残業を抑制することで,労働者の健康を確保したり,ワークライフバランスがとれた社会を実現するため,2008年12月,労働基準法が一部改正されました。

その約1年4ヵ月後に施行された改正労働基準法は,これまで月の残業時間にかかわらず一律で25%以上であった残業代割増率を改正し,1ヵ月に60時間を超える時間外労働が行われた場合,その超えた部分の残業代割増率を50%に引き上げることにしました。

また,残業代の一部を有給休暇として取得できる制度も新たに設けられました。労使協定が締結された場合,1ヵ月60時間以上の時間外労働については,時間数に25%を乗じた時間分を有給休暇として取得することができるのです。

つまり,時間外労働を月に80時間行った場合,まず,60時間までの分の残業手当が基本給の25%割増で支払われます。加えて,60時間を超えた残りの20時間分に関しては,基本給の50%割増で全額を残業代として受け取ることもできますし,20時間に25%を乗じた5時間分を有給休暇として取得することも可能です。

ただし,中小企業に関してはその経営を圧迫しかねないので,現状では適用が猶予されており,施行から3年後に改めて導入が検討されることになっています。適用が猶予される中小企業は,業種によりその規模が区別されています。

(1)小売業

資本金の額もしくは出資の総額が5000万円以下,または,常時使用する労働者が50人以下の事業主

(2)サービス業

資本金の額もしくは出資の総額が5000万円以下,または,常時使用する労働者が100人以下の事業主

(3)卸売業

資本金の額もしくは出資の総額が1億円以下,または,常時使用する労働者が100人以下の事業主

(4)その他の業種

資本金の額もしくは出資の総額が3億円以下,または,常時使用する労働者が300人以下の事業主

弁護士 篠田 恵里香

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